発酵食品で内側から整え、温泉で外側から温める〈梅雨の養生〉納豆と温泉で整える福島リトリートのススメ
私は東京と郡山の二拠点生活をしています。 朝から体が重い。頭がぼんやりする。梅雨の季節には、そんな「なんとなく不調」を感じる日が増えます。管理栄養士として考えると、その原因のひとつは梅雨の湿気。東洋医学では、余分な水分が体にたまる「湿邪(しつじゃ)」とも言われています。 そんな時期に私が頼るのが、福島の納豆と温泉です。発酵食品で内側から整え、温泉で外側から温める。実はこの組み合わせ、梅雨の養生として理にかなっています。 今回は、福島に根付く納豆文化と土湯温泉から、「湿気疲れ」と上手につきあうヒントを探ってみます。
梅雨の不調は「湿気疲れ」
梅雨の時期、朝起きても疲れが残っている。頭が重い。むくみやすい。そんな経験はないでしょうか。
高い湿度や気圧の変化は、自律神経の働きに影響を与えることが知られています。体温調節や血流調節がうまくいかず、だるさや睡眠の質の低下につながることもあります。
薬膳では、こうした状態を「湿邪(しつじゃ)」という言葉で表現します。体に余分な水分が滞り、重だるさや胃腸の不調を引き起こすという考え方です。
現代医学と薬膳では説明の仕方は異なりますが、「梅雨は体が重くなりやすい」という感覚は共通しています。
福島に根付く納豆文化

実は福島市は納豆消費額日本一のまち。朝食に納豆と温泉卵が並ぶ光景は、日常の一部です。
納豆は良質なたんぱく質を含み、発酵によって消化吸収もしやすい食品です。食欲が落ちやすい梅雨時期でも取り入れやすく、胃腸への負担が比較的少ないのも魅力です。
私自身、梅雨時期は「何を食べようか迷ったら納豆」と思っています。特別な健康法ではなく、昔から地域に根付いてきた食文化の中に、季節を乗り切る知恵があるように感じています。
温泉と発酵が共存する土湯温泉

福島市の西部にある土湯温泉は、荒川沿いに広がる温泉地です。派手な観光地というより、昔ながらの湯治場の雰囲気が残る温泉街です。山々に囲まれ、梅雨時期は雨が風景に溶け込み、しっとりとした表情を見せてくれます。
この地域では古くから温泉熱を暮らしに活用してきました。発酵食品づくりにも温泉の熱が利用されており、温泉と発酵文化は切り離せない関係にあります。
そして土湯温泉の魅力は、ひとつの泉質では語れないことです。単純温泉や炭酸水素塩泉、硫酸塩泉など複数の源泉があり、宿によって特徴も異なります。
ゆっくり休みたい時は、刺激の少ない単純温泉。
肌の乾燥が気になる時は、「美肌の湯」とも呼ばれる炭酸水素塩泉。
冷えや血行不良が気になる時は、保温効果が期待される硫酸塩泉。
宿の食事を選ぶように、その日の体調や気分に合わせて温泉を選べるのも、土湯温泉の面白さです。
土湯の先にある山の温泉へ

土湯温泉からさらに山を登ると、標高の高い山岳温泉地が点在しています。野地温泉や鷲倉温泉、新野地温泉などは、白濁した硫黄泉で知られる名湯です。
硫黄泉は温泉医学の分野では、皮膚の角質軟化作用や末梢循環への作用が知られています。もちろん温泉が梅雨の不調を治してくれるわけではありません。
けれど、硫黄の香りに包まれた静かな自然環境に身を置くことで、呼吸が深くなり、緊張がゆるむ感覚を得ることがあります。都市生活で高まりがちな交感神経優位の状態から、休息モードへ切り替わることも、温泉の大切な価値のひとつです。
梅雨は「整える」季節
梅雨は無理に頑張る時期ではなく、整えることを意識したい季節です。体が重い日や食欲が落ちる日があっても、その日の状態に合わせて食事や過ごし方を選ぶことが大切です。
福島には納豆という日常的な発酵食品があり、土湯温泉には多様な泉質があります。どちらも特別なものではなく、この土地で育まれてきた生活の知恵です。
私自身、今年も納豆を取り入れ、土湯の湯に身を委ねながら、来る夏に向けて体調を整えています。
参考文献
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く







