「1日1万歩」は歩きすぎ?膝と心臓を壊さず健康寿命を延ばす「黄金の歩数」とは

「1日1万歩」は歩きすぎ?膝と心臓を壊さず健康寿命を延ばす「黄金の歩数」とは
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-05-23

誰でも「毎日1万歩がベスト」とは言い切れません。“歩きすぎ”が逆に体を痛めるケースもあります。歩数より大事なことについて、医師が詳しく解説します。

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「1日1万歩」が健康の正解とは限らない

「健康のために毎日1万歩歩きましょう」
この言葉、一度は聞いたことがある方が多いと思います。

スマートウォッチやスマホでも、「今日あと3000歩です」と表示される時代です。

そのため、「1万歩に届かないと不健康」と感じている人も少なくありません。

ただ実は、この「1万歩」という数字、医学的に絶対の正解というわけではないんです。

最近では、「無理に歩きすぎること」のデメリットも注目されています。

特に、
・高齢者
・膝痛がある人
・心疾患がある人
では、“歩きすぎ”が逆に体を痛めるケースもあります。

そもそも「1万歩」はどこから来た?

実は「1万歩」という数字、もともとは日本の歩数計の商品名がきっかけと言われています。

もちろん、歩く習慣自体はとても大切です。
運動不足解消、血流改善、筋力維持にもつながります。

ただ、「誰でも毎日1万歩がベスト」とまでは言い切れません。

体力や年齢、持病によって適切な運動量は変わります。

歩きすぎで「膝」が悲鳴を上げることも

外来でよくあるのが、「健康のために歩いていたら膝が悪化した」というケースです。

60代女性

健康番組を見て、「毎日1万歩以上歩こう」と決意。かなり真面目に続けていました。

ただ数か月後から、
・膝の痛み
・階段のつらさ
・歩行時の違和感
が出現。

検査すると、変形性膝関節症の悪化が見られました。

歩行
photo/Adobe Stock

もちろん運動不足も問題ですが、「関節が耐えられる範囲」を超えてしまうと、逆効果になることがあります。

心臓に負担がかかる人もいる

さらに注意したいのが、心疾患を持つ方です。

「健康のためだから」と急に長距離を歩き始める。
これは意外と危険なことがあります。

特に、
・高血圧
・不整脈
・狭心症
・心不全
がある方では、無理な運動が心臓の負担になることもあります。

実際、外来でも、「歩き始めてから息切れが強くなった」という相談は少なくありません。

ケース①「頑張りすぎた」70代男性

70代男性で、健康意識がかなり高い方がいました。
退職後、「とにかく歩こう」と決め、毎日2時間近くウォーキング。

ただ、途中から、
・胸の圧迫感
・息切れ
・疲労感
が出現。

検査すると、狭心症が見つかりました。
もちろん歩行そのものが原因ではありません。

ただ、「体力以上の負荷」が症状を表面化させた可能性はありました。

ケース②「歩数ノルマ」がストレスになっていた

40代女性で、「1万歩に届かないと不安」という方もいました。

夜遅くても無理に歩く。疲れていても数字を優先する。

結果として、
・慢性疲労
・睡眠不足
・足底痛
が悪化していました。

健康管理が、いつの間にか“義務”になっていたんです。

最近注目される「黄金の歩数」

最近の研究では、「健康効果が高い歩数」は、必ずしも1万歩でなくても良いと言われています。

むしろ、7000〜8000歩前後でも、死亡リスク低下や健康維持効果が十分期待できるという報告もあります。

特に大事なのは、「毎日無理なく続けられること」です。

無理しない
photo/Adobe Stoock

1日だけ2万歩歩くより、適度な運動を継続するほうが、体には優しい。

「歩数」より大事なこと

個人的には、「何歩歩いたか」だけに縛られすぎないことが大事だと思っています。

例えば、

◎ 姿勢良く歩く
◎ 少し息が上がる程度
◎ 無理なく継続する

こうしたほうが、健康効果としては重要です。

逆に、以下はあまり健康的とは言えません。

✖️ 痛みを我慢しながら歩く。
✖️疲労困憊なのにノルマを達成する。

高齢者は「筋力維持」も重要

高齢者では、「歩数」だけでなく筋力維持もかなり重要です。

ただ歩くだけでは、筋肉量低下を十分防げないこともあります。

そのため、

・軽い筋トレ
・バランス運動
・ストレッチ

などを組み合わせるほうが、転倒予防にもつながります。

医師として感じること

最近かなり増えたのが、「健康を頑張りすぎて疲れている人」です。

スマホや時計で数字が見える時代だからこそ、「達成しなきゃ」というプレッシャーも強くなっています。

ただ、本来の健康は、数字に追われることではありません。

健康寿命を延ばすのは「ちょうどいい運動」

運動は、少なすぎても問題です。
でも、多ければ多いほど良いわけでもありません。

特に中高年以降は、「頑張りすぎない運動」が大切です。

  • 翌日に痛みや強い疲労を残さない。
  • 気持ちよく続けられる。

実は、それくらいが体にはちょうどいいことも多いんです。

「1万歩」に縛られすぎるより、自分の体と相談しながら続ける。
そのほうが、結果的に健康寿命を伸ばしやすいと感じています。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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