梅雨や夏のおにぎり作りで気をつけたい。食中毒対策のポイント|管理栄養士が解説
お弁当やピクニックなど、暑い季節にも登場する機会が多いおにぎり。しかし、気温や湿度が高い梅雨の時期や夏場は、食中毒のリスクが高まる季節でもあります。食中毒予防の基本は、「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則です。なかでもおにぎりは、「つけない」「増やさない」工夫が特に重要になります。そこで本記事では、おにぎりで起きやすい食中毒の原因や、傷みにくくする作り方・持ち運びのポイントを管理栄養士が解説します。
夏のおにぎりで注意したい「黄色ブドウ球菌」による食中毒
夏のおにぎりで特に注意したいのが、「黄色ブドウ球菌」による食中毒です。黄色ブドウ球菌は自然界に広く存在する細菌で、健康な人の皮膚やのどなどにもみられます。特に、傷口や化膿している部分には多く存在するとされています。
問題となるのは黄色ブドウ球菌そのものではなく、菌が作り出す毒素「エンテロトキシン」です。この毒素を含む食品を食べると、比較的短時間で吐き気や嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。さらに厄介なのが、この毒素は熱に強く、一般的な加熱でもなくならないことです。そのため、食中毒対策の観点では、「おにぎりを食べる前に温め直せば大丈夫」とは言い切れません。
黄色ブドウ球菌による食中毒を防ぐには、菌を「加熱してやっつける」というよりも、調理の段階で菌を「つけない」こと、食べるまでに「増やさない」ことがカギになります。
夏でも傷みにくいおにぎりを!調理・保管のポイント
気温や湿度が高い夏場は、細菌が増殖しやすく、おにぎりが傷むリスクも高まります。ここでは、とくに夏に意識したいおにぎり作りと持ち運びのポイントを紹介します。
素手で握らない
黄色ブドウ球菌を「つけない」ためには、素手で直接握らないこと。おにぎりを作る際は、ラップや使い捨て手袋を活用しましょう。さらに調理前は石けんでしっかり手を洗い、特に手指に傷や絆創膏がある場合は、食品に直接触れないことも大切です。
温かいまま包まない
炊きたてのご飯をすぐラップで包むと、内部に蒸気がこもり、蒸れやすくなります。おにぎりの内部は見た目以上に湿度が高く、細菌が増殖しやすい環境につながるため注意が必要です。ご飯は粗熱を取ってから握り、十分に冷ましてから包みましょう。また、のりを巻いたままラップで包むと湿気がこもりやすくなるため、別添えにして食べる直前に巻くのがおすすめです。
生もの・水分の多い具材は避ける
加熱していない具材は傷みやすいため、長時間持ち歩くおにぎりにはあまり向きません。また、炊き込みご飯や混ぜ込みご飯も、水分が出やすいため避けましょう。おすすめの具材は、梅干し、塩昆布、おかか、塩鮭など、水分が少なくしっかり味付けされたものです。
なお、梅干しや大葉に含まれる成分には、菌の増殖を抑える働きが期待されています。その効果は有名なので、すでに活用される方も多いかもしれません。ただし、その働きは梅干しや大葉が触れている部分に限られることがわかっています。そのため、梅干しや大葉を具材として使う場合は、それぞれ細かく刻んでご飯に混ぜ込む方法がおすすめです。
持ち歩くときは保冷を意識する
おにぎりは、作った後の環境も重要です。車内やバッグの中は高温になりやすく、常温で長時間持ち歩くことで菌が増殖しやすくなります。持ち歩く際は、保冷バッグや保冷剤を活用し、できるだけ低温で保存しましょう。また、「朝作ったおにぎりを夕方に食べる」など長時間の持ち歩きは避け、なるべく早めに食べ切ることも大切です。
【参考文献】
・政府広報オンライン「食中毒予防の原則と6つのポイント」
・厚生労働省「家庭でできる食中毒予防!これから増える「細菌性食中毒」に気をつけて【第2回】」
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