食中毒を防ぐために「手洗いすべき6つのタイミング」とは?食品衛生のプロが解説

 食中毒を防ぐために「手洗いすべき6つのタイミング」とは?食品衛生のプロが解説
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瑞樹 管理栄養士
瑞樹
2024-07-20

食中毒を予防するには手洗いはすべき!ということをご存知の方は多いことでしょう。しかし「いつ、どのタイミングで手洗いをするべきか」については、理解する機会はそれほど多くないように感じます。今回の記事では、食中毒を防ぐために効果的な手洗いのタイミングについて、食品衛生のプロである管理栄養士の視点から解説していきます。

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①外出から戻った後

まず、帰宅後の手洗いは欠かせません。1万人を対象に実施したある調査によると、9割の方が帰宅後の手洗いをする習慣があることが分かっていますが、そのうちほとんどの方が手洗いの前にテーブルやソファー、リモコンなどに触れていることも分かっています。ウイルスによっては、物の表面で数時間生存するものもあります。家族への感染を防ぐためにも、外出から戻ったら「すぐに」手を洗いましょう。

②トイレに行った後、排泄の後

トイレは、ノロウイルスや腸管出血性大腸菌(O-157など)命に関わる病原菌の二次感染のリスクが高い場所です。過去に消費者庁が実施した調査では、排泄の後に手洗いをしないと回答した人は15%程度という結果があります。また「大便後しか手を洗わない」という方は一定数いることがわかっています。便座やドアノブに菌が付着していることから、トイレに入った時点で確実に菌が付着しています。大小関わらず、また排泄をしていなくともトイレに行った後は必ず手洗いをしましょう。

トイレ
便座やドアノブに菌が付着していることから、トイレに入った時点で確実に菌が付着している。トイレの後は必ず手洗いを。photo by Adobe Stock

③生肉・生魚や野菜などに触れた後

鶏肉や牛肉に付着する細菌のカンピロバクター、大腸菌や、魚に寄生する寄生虫であるアニサキスは、体内に侵入すると重い症状を引き起こします。また、野菜が食中毒の原因になることも。近年、施設の給食で提供された「きゅうりの和え物」が原因で死者が出るほどの大きな事件がありました。殺菌や加熱する前の生肉、生魚、生野菜を調理した後も、手洗いは必要なタイミングです。

④ゴミやゴミ箱に触れた後

廃棄されたものにも細菌やウイルスが付着している可能性があります。生ゴミなどは細菌やウイルスの「エサ」になるため、食中毒の原因物質が増殖しています。ゴミから放たれる、あの不快な匂いがその証拠です。ゴミだけでなく、ゴミ箱、ゴミ袋にも多く付着しているため、少しでも触れた後は必ず手を洗いましょう。

ゴミ
ゴミだけでなく、ゴミ箱、ゴミ袋にも多く付着しているため、少しでも触れた後は必ず手洗いを!photo by Adobe Stock

⑤料理をする前

料理は、体内に入れるものに直接触れる行為です。手洗いすべきタイミングであることは、誰もが納得していることでしょう。どんなにおいしい料理を作っても、食中毒を起こしてしまっては台無しです。特に、家庭では「ながら家事」「ながら美容」など、他の行為と並行して料理をすることもあります。料理を効率的に進めるのは良いことですが、他の行為から料理を再開する時には都度手洗いをすることを忘れないようにしましょう。

⑥料理を盛り付ける前

一部のメニューを除いて、盛り付けをした後は加熱しない、そのまま室温に置かれることから、食中毒が増えやすい条件が揃っています。そのため、盛り付けで触れた手に細菌やウイルスが付着していると、食中毒が起こる可能性がとても高いのです。特にお弁当を盛り付ける時には、要注意。念入りに手を洗ってから、盛り付けをしましょう。

まとめ

食中毒は下痢や嘔吐だけでなく、命に関わる症状を起こす可能性がある危険なもの。自分だけでなく、大切な人の命を守るためにも正しいタイミングでの手洗いを実践していきましょう。

参考:

厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 資料

ライオン株式会社

消費者庁 平成27年消費者の手洗い等に関する実態調査について

NIID 国立感染症研究所 きゅうりのゆかり和えによる腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒事例―千葉県, 東京都

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瑞樹 管理栄養士

瑞樹

⼤学を卒業後、⼤⽇本印刷グループ⼊社。社員⾷堂運営、従業員の健康管理事業、特定保健指導。その後、レシピアプリを提供するIT系ベンチャー企業に⼊社し、栄養⾷事指導、記事執筆サービス企画など。現在は管理栄養士・琉球料理伝承人として、食・栄養に関する執筆やメディア出演、伝統料理の伝承・普及活動を行う。



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