冷凍は万能じゃない?〈食中毒対策〉カレーを冷凍する時注意したいことは|管理栄養士が解説

 冷凍は万能じゃない?〈食中毒対策〉カレーを冷凍する時注意したいことは|管理栄養士が解説
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大人から子供まで人気のあるカレー。一度にたくさん作って冷凍保存をされる方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではカレーを冷凍する時に注意したいことをご紹介いたします。

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食中毒菌の「ウェルシュ菌」に注意!

大きなお鍋で作ることが多いカレーですが、食中毒菌である「ウェルシュ菌」に注意が必要です。

ウェルシュ菌は酸素が無いところを好むため、中心部に空気が入りにくいカレーは、ウェルシュ菌にとって繁殖に適した環境です。

また、ウェルシュ菌自体は加熱に弱いのですが、増殖しにくい環境では芽胞という固い殻を作って身を守ります。この芽胞は100℃で1時間以上加熱しても死滅しません。

ウェルシュ菌による食中毒は菌がつくる「エンテロトキシン」という毒素によって起こり、発症までは6~24時間ほどで、水っぽい下痢や腹痛などの症状が出ます。

ウェルシュ菌は冷凍をすると増殖は止まりますが、死滅することはありません。そのため、一度冷凍したからといって安心とはいえません。

カレー
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カレーを冷凍する時に注意すること

ウェルシュ菌による食中毒を防ぐために、カレーを冷凍する時に注意したいことをご紹介いたします。

1.常温のまま長時間放置しない

ウェルシュ菌は約10℃を超えると徐々に増殖し、43~45℃で一番増殖しやすくなります。

カレーの中心部は空気が無く冷めにくいため、ウェルシュ菌が増えやすい環境が整ってしまいます。そのため、カレーを作り終えてからすぐに食べない場合、常温で何時間も放置するのは避けましょう。

カレーを作り終えたら、素早く粗熱をとるのがおすすめです。夏場など気温が高い時期であれば、氷や保冷剤を底に敷くことで素早く温度を下げることができます。

カレーの量が多いなどで冷めにくい場合は、バットや底が浅い容器などに入れて薄く広げるとすぐに冷ますことができます。

2.冷凍保存は小分けにして

冷凍保存をする際は一度に食べられる量を小分けにして保存するのがおすすめです。小分けにすることで中心部まですぐに冷めやすく、食中毒の危険を減らすことができます。

カレーを冷凍保存する際はプラスチックの容器だと色やニオイ移りが気になります。そのため、保存容器にラップを敷きカレーを入れるか、冷凍用の保存袋を使うのがおすすめです。

3.解凍後にも加熱する

冷凍しても菌は死滅しないため、解凍時に常温で放置すると菌が増殖してしまう可能性があります。

しかし、ウェルシュ菌は熱に弱いため、加熱することでウェルシュ菌を減らすことができます。解凍したら中心部までしっかりと加熱し、早めに食べるのがおすすめです。

まとめ

カレーを冷凍する時に注意したいことをご紹介いたしました。冷凍をしてもウェルシュ菌は死滅しないため、常温で放置することは避けましょう。

食中毒にかからないためにも、カレーを冷凍保存する際の参考にしていただければと思います。

【参考資料】

食品安全委員会:ウエルシュ菌食中毒

農林水産省:ウェルシュ菌

農林水産省:煮込み料理を楽しむために~ウェルシュ菌による食中毒にご注意を!!~

MSDマニュアル家庭版:ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)

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津端奈緒美

津端奈緒美

管理栄養士/ライター。大学卒業後、病院の管理栄養士として栄養指導などに従事しながら社会人学生として修士課程を修了し、現在は博士課程を履修中。ライターとして栄養や健康に関する分野で科学的根拠に基づいた記事やコラムを執筆している。



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