冷凍は万能じゃない?おにぎりを冷凍する時に注意したいことは|管理栄養士が解説
お弁当や軽食、アウトドアのおともなど、普段からなじみのあるおにぎり。子どもから大人まで手軽に食べられるので、作って冷凍保存するという方も多いのではないでしょうか。 今回は、そんなおにぎりを冷凍する時に注意したいことについてご紹介いたします。
「黄色ブドウ球菌」に注意!
黄色ブドウ球菌は健康な人の鼻や喉など、身近に存在している菌です。この菌は、食べ物の中で増殖する際に「エンテロトキシン」という毒素をつくります。
特におにぎりは黄色ブドウ球菌による食中毒が多いため、おにぎりを作る際は注意が必要です。
黄色ブドウ球菌の潜伏時間は30分〜6時間(平均約3時間)で、吐き気やおう吐、腹痛、下痢などの症状が出ます。菌自体は熱に弱く加熱することで死滅しますが、黄色ブドウ球菌がつくる「エンテロトキシン」は100℃で30分以上加熱しても分解されません。
おにぎりの冷凍で注意すること
黄色ブドウ球菌による食中毒を防ぐために、おにぎりを冷凍する時に注意したいことをご紹介いたします。
1.常温で放置しない
おにぎりを作る際、常温で置いておくのは避けた方が安全です。黄色ブドウ球菌は5〜47.8℃で増殖し、特に30〜37℃で増殖が活発になります。また、毒素であるエンテロトキシンが産生される温度は10℃〜46℃と言われています。
黄色ブドウ球菌を増やさないためにも、おにぎりを作る際は平らな皿にご飯を広げて素早く粗熱を取るなど、菌が増えやすい時間帯をなるべく短くするようにしましょう。
また作り終わったおにぎりは粗熱が取れたらすぐに冷凍庫へ入れるようにしましょう。
2.素手で握らない
黄色ブドウ球菌は手についている場合があるため、おにぎりを握るときはラップやおにぎりの型を使うのがおすすめです。一度毒素ができてしまうと、加熱や冷凍をしても食中毒は防げません。
特に指を切った後やささくれがある場合は、傷口で黄色ブドウ球菌が増殖している可能性があり、そのまま触れるとおにぎりに菌がついてしまいます。手にケガをしているときは手をしっかりと洗う、手袋をするなど、傷についている菌を食品に移さないように注意しましょう。
まとめ
おにぎりを冷凍する時に注意したいことをご紹介いたしました。黄色ブドウ球菌は身近に存在しています。おにぎりを作る際は菌がつかないように注意しましょう。
冷凍をしても毒素は残ってしまうため、まずはつけないことが大切です。食中毒にかからないためにも、おにぎりを冷凍保存する際の参考にしていただければと思います。
【参考資料】
AUTHOR
津端奈緒美
管理栄養士/ライター。大学卒業後、病院の管理栄養士として栄養指導などに従事しながら社会人学生として修士課程を修了し、現在は博士課程を履修中。ライターとして栄養や健康に関する分野で科学的根拠に基づいた記事やコラムを執筆している。
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