親としてなんとかしてあげたいけれど。〈子どもの不安〉に巻き込まれないためにできること|心理師解説
子どもが学校や保育園・幼稚園に「行きたくない」と泣く。親となかなか離れられない。今回は、子どもの不安に巻き込まれないための関わりについて考えます。
子どもが強い不安を示しているとき、親はなんとかしてあげたくなります。学校を休ませる、代わりにやってあげる、不安な場面を先回りして避けさせる——どれも愛情からくる行動です。でも、こうした対応が積み重なることで、子どもの不安はじわじわと育ってしまうことがあります。
「不安は悪いもの」という思い込み
不安を感じている子どもを見ると、「この子を傷つけてはいけない」「できるだけ快適にいさせてあげたい」という気持ちが湧いてきます。不安を取り除いてあげることが、親としての仕事だと感じる人も少なくありません。
でも、不安は本来、人間に備わった自然な感情です。それ自体が子どもを傷つけるわけではありません。問題になるのは、不安そのものではなく、「不安は危険なもの、自分には対処できないもの」という学習が積み重なっていくことです。子どもが不安を感じるたびに誰かが助けに来る環境では、「自分一人では無理だ」という経験が蓄積されていきます。
守りすぎることが、成長を妨げることも
障害を取り除いてあげる、苦手な場面を避けさせる——その積み重ねが子どもに伝えてしまうのは、「不安な場面には近づかないほうがいい」「自分ひとりでは無理だ」というメッセージかもしれません。
親が先回りして不安を取り除き続けた結果、子どもは「不安な場面は避けるべきもの」として学習してしまうことがあります。愛情があるからこその行動が、意図せず子どもの世界を狭めていくかもしれません。
子どもに育てたい3つのこと
まず、不安を感じることは普通のことだと知ること。怖いと感じる自分はおかしくない、親でも誰でも不安になることがある、という安心感です。次に、不安は怖いけれど、やり過ごせるものだと体験すること。その場から逃げずにいると、不安はやがて落ち着いていく。その経験の積み重ねが、不安への耐性になっていきます。そして、自分にはそれができる、という感覚を育てること。小さな「できた」を重ねることで、子どもは少しずつ自分の力を信じられるようになっていきます。
不安に共感し、力を信じて、一歩を支える
子どもの不安に寄り添うことと、不安を肩代わりすることは違います。大切なのは、まず不安な気持ちをそのまま受け取ること。「行きたくないんだね」「不安だよね」その共感が、子どもに「自分の気持ちはおかしくない」という安心感を与えます。
そして、「あなたにはできる」というメッセージを伝えながら、不安を感じている場面での行動を少しずつ促しましょう。不安を感じていても、乗り越えられる力がある。親がそれを信じていることが、子どもの背中を押します。
そして大切なのは、一気にではなく少しずつ、ということです。いきなり全部できなくていい。今日は一歩だけ。その小さな積み重ねが、「自分にはできる」という実感につながっていきます。
子どもを守りたいという気持ちは、親として自然なものです。その愛情の向け方を少し変えるだけで、子どもが育てる力は大きく変わります。不安を取り除いてあげることより、不安と向き合える子どもを育てること。それが、長い目で見たときの「本当の安心」につながっていくのかもしれません。
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