仕事量や人間関係だけが原因じゃない。ストレスが増える人が無意識にやっている3つのこと|臨床心理士が解説

仕事量や人間関係だけが原因じゃない。ストレスが増える人が無意識にやっている3つのこと|臨床心理士が解説
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狩野淳
狩野淳
2026-04-14

「最近、疲れやすい」「気持ちに余裕がない気がする」そんな感覚が続くと、「仕事が忙しいから」「周りの人と上手くいっていないから」など仕事や人間関係といった外の出来事に原因を求めたくなるものです。ただ、ストレスは出来事そのものだけで強さが決まるわけではありません。同じ状況でも、強く負担を感じる人と、そこまで気にならない人がいるように、私たちの“受け止め方”や“日々の過ごし方”も大きく影響しています。

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日常の中には、知らないうちにストレスを増やしてしまう習慣が紛れ込んでいることがあります。それらは特別なものなどではなく、多くの人が無意識のうちに繰り返しているものです。ここでは、その中でも見落とされやすい3つの傾向について、紹介していきます。

「何事も自分のせいだと決めつけること」

何かうまくいかなかったとき、「自分の努力が足りなかった」「もっとちゃんとできたはずだ」と考えることは珍しくありません。責任感がある人ほど、このように自分に原因を求めやすい傾向があります。しかし、この考え方が続くと、必要以上に自分を追い込んでしまいます。

例えば、職場でのトラブルやミスは、多くの場合、複数の要因が重なって起きています。環境やタイミング、周囲との関係など、さまざまな要素が影響しているにもかかわらず、それらを切り分けずに「すべて自分の問題だ」と受け止めてしまうと、心の負担は大きくなります。

このような状態が続くと、「また同じことが起きるのではないか」という不安や、「どうせ自分はうまくできない」という気持ちに繋がりやすくなります。結果として、自信を持ちにくくなり、さらにストレスを感じやすい状態に近づいてしまいます。本来であれば、出来事を少し引いた視点で見直すことが大切ですが、無意識のうちに続いていると、そんな気持ちの余裕が持ちにくくなってしまうのです。

「未来のことで不安になる」こと

私たちは、これから起こるかもしれないことを予測することで、危険を避けたり準備をしたりしています。この力自体はとても大切なものですが、その働きが強くなりすぎると、まだ起きていない出来事に対して、強い不安を感じるようになります。

「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったら取り返しがつかないかもしれない」このような考えが頭の中で繰り返されると、実際には何も起きていなくても、心と体は緊張した状態になります。すると、気持ちが落ち着かなくなったり、目の前のことに集中しにくくなったりしてしまいます。

また、不安が強くなると、「やらないほうが安心だ」と感じる場面が増えます。その結果、新しいことに挑戦する機会が減り、経験を積むチャンスが少なくなります。そして、「やっぱり自分はうまくできないのではないか」という思いが強まり、さらに不安が増えていくという流れが生まれやすくなるのです。

未来について考えること自体は自然なことですが、まだ起きていない出来事に気持ちを引っ張られ続けると、それだけで大きなストレスに繋がってしまうのです。

「生活にメリハリを作らない」こと

忙しい毎日を過ごしていると、仕事や家事に追われ、気づけば一日があっという間に終わってしまうことがあります。「しっかり休もう」と思っていても、実際にはスマートフォンを見続けていたり、なんとなく時間を過ごしてしまったりして、心と体が十分に休まっていない場合も少なくありません。皆さんのなかにも心当たりのある方はいるのではないでしょうか。

本来、私たちの心と体は、活動と休息を繰り返すことでバランスを保っています。しかし、その切り替えがうまくいかないと、疲れが少しずつ積み重なっていきます。特に、休んでいる時間にも仕事のことや気になることを考え続けていると、体は休んでいても心は緊張したままになり、回復しにくくなります。

また、生活にリズムがない状態は、気分の切り替えを難しくします。仕事のあとも同じ環境で過ごし続けていると、「休む時間に入った」という感覚が持ちにくくなり、結果として疲れを翌日に持ち越しやすくなります。短い時間でも区切りを意識することで、心の状態は少しずつ変わっていきますが、そのきっかけがないまま過ごしていると、ストレスが抜けにくい状態が続きやすくなります。

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ここまで見てきた3つの傾向は、どれも特別なことではなく、多くの人が日常の中で無意識に行っているものです。そのため、「自分にも当てはまるかもしれない」と感じたとしても、それは自然なことです。

ストレスを完全になくすことは難しいものですが、感じ方や積み重なり方は変えていくことができます。その第一歩は、「自分がどのように受け止め、どのように過ごしているのか」に気づくことです。ほんの少し立ち止まって自分の状態を振り返るだけでも、同じ出来事に対する感じ方は変わっていきます。

日々の中で無意識に繰り返している習慣に気づくことは、ストレスとの距離を見直すきっかけになります。大きく変えようとしなくても、「こういう傾向があるかもしれない」と意識すること自体が、心の負担をやわらげる一歩に繋がっていくのです。

 

参考文献:

厚生労働省「ストレスとこころ」 (2026.4.10参照)
厚生労働省「こころの耳:ストレスに関する基礎知識」(2026.4.10参照)
厚生労働省「こころの耳:ストレス対処」(2026.4.10参照)

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