2)介護費用を貸すことで、相続税が発生しない可能性も?【父の認知症から学んだ、幸せの秘密|番外編】
親の老いに向き合うというのは、ある日突然はじまるものです。わたしの場合、それは父の“夜間の徘徊”というかたちでやってきました。これまでは京都での暮らしや移住生活のことを書いていましたが、その裏では東京にいる父の認知症が進行し、家族で介護体制をどう整えるかに奔走していました。介護というと、大変そう、重たそう…そんなイメージがあるかもしれません。でも、わたしにとっては、家族とのつながりを見つめ直し、人の優しさに心動かされることが増えた、そんな時間でもありました。 この連載では、認知症介護の体験を通して、わたしが出会った「幸せの秘密」を、少しずつ綴っていきたいと思います。
山田真哉先生が介護費用を払っていたのは、義理のお父さま。亡くなる5年前、2019年あたりからせん妄の症状が目立つようになられたそうです。
「義父はひとりで行動できるのですが、スーパーで会計をしないまま店を出てしまい、通報されることもありました。たびたび義母が迎えに行くとか、トラブルも起こるようになりました」
幸い、わたしの父のように介護保険の利用に抵抗を示すことはなかったので、1日のデイサービスも週に何度か利用しつつ、お義母さまがケアされる日々。山田先生の奥さまも週2~3回は、片道1時間かけて、東京から埼玉の実家まで通っていたそうです。
「そのうち、自転車でコケてしまって入院したら、せん妄の症状も強くなってきて。義父は180cm以上あるし、義母は小さいから、物理的に自宅での介護は無理だろうとなったんです」
施設に入ってもらうしかないとなったときも、ご本人はすんなり。
「義父はもともと労働関係の公務員で、システムを作る側でしたからね。そこは大丈夫だったんですが……」
費用面がハードルに。
「退職金や貯金などもあるし、お金はないわけではないんですよ。でも、せん妄がどれくらい続くかわからないから、義母にしてみたら、不安もあったんでしょうね。施設入居に踏み切れないところがあった。介護に莫大なお金がかかるイメージがあったのかもしれない。それで、〝僕が出します〟って」
なんて太っ腹!
「そうじゃないんですよ。貸しているだけなんです。結果として、相続税が安くなることもありますし」
え、どういうことでしょうか。
「では、金額は仮の話ですが、義理の家族の相続を例にして、ご説明してみます」
はい。
「義父の相続財産として、埼玉に5000万の価値があるマンションがあると仮定します。将来、義母も亡くなり、相続人が妻と兄のふたりだけになったケース(二次相続)で考えてみましょう。相続財産がそのマンションのみだった場合、基礎控除は『3000万+600万×法定相続人の数』なので、合計で4200万が控除されます。つまり、5000−4200万で、差額の800万に対して、10パーセントの相続税がかかることになる。つまり80万ですね」
はい。
「でも、ここで、僕が800万、施設の入居費用を払ったとします。仮の金額ですが」
はい。
「亡くなった本人に借金があると、それは相続財産の計算上、差し引かれることになります」
なるほど。5000万だったものが4200万になり、そこから控除分を引くと、ゼロ。つまり、相続税が発生しない!
「そうなんです」
さらに、お金のプロである山田先生は、義理のお父さまとの間に貸借契約書を作ったそうです。
「贈与だと贈与税が発生しますからね。〝施設に入る入居費を貸します〟〝介護費用を貸します〟というような感じでが、貸借関係を書類として、残しておきました。」
こうしておけば、将来のトラブルの芽も摘んでおけるというわけですね。
→【記事の続き】3)介護の場面ではお金や税、相続の知識があると、判断のスピードが変わってくる!はこちらから。
お話を伺ったのは…山田真哉さん

公認会計士・税理士。芸能文化税理士法人 会長。。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール勤務を経て公認会計士試験に合格。大手監査法人を経て独立し、芸能・エンタメ業界に特化した会計事務所を設立。現在は法人・個人合わせて多数の顧客を持ち、政府有識者や企業監査役も務める。著書は累計100万部超のヒット作を持ち、YouTubeチャンネル「オタク会計士ch」でも人気を集める。
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