4)難しい施設入居の見極めのタイミング。後悔ばかりではあるけれど【父の認知症から学んだ、幸せの秘密|番外編】

4)難しい施設入居の見極めのタイミング。後悔ばかりではあるけれど【父の認知症から学んだ、幸せの秘密|番外編】
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Saya
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2026-04-11

親の老いに向き合うというのは、ある日突然はじまるものです。わたしの場合、それは父の“夜間の徘徊”というかたちでやってきました。これまでは京都での暮らしや移住生活のことを書いていましたが、その裏では東京にいる父の認知症が進行し、家族で介護体制をどう整えるかに奔走していました。介護というと、大変そう、重たそう…そんなイメージがあるかもしれません。でも、わたしにとっては、家族とのつながりを見つめ直し、人の優しさに心動かされることが増えた、そんな時間でもありました。 この連載では、認知症介護の体験を通して、わたしが出会った「幸せの秘密」を、少しずつ綴っていきたいと思います。

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わが家の場合は、以前にも書いたように、在宅での認知症介護から1年半で、施設入居につなげることができました。公共の特別養護老人ホームでしたが、地元で非常に評判がよく、ケアマネジャーが「自分の親なら入れたい」と言ってくださったことが決め手でした。見学に行ったときも、入居者のみなさんはユニットタイプの眺めのよい個室で、思い思いに過ごされていたのが印象的でした。

あれほど嫌がっていた父も、直前の入院で認知症状がかなり進んでしまったのもあって、入ってからは抵抗を示すことはありませんでした。施設を単身赴任時代のマンションか何か、施設の相談員さんを取引先の社長と思い込んで、「社長がとてもよくしてくれるんだ」と楽しそうにして、信頼を寄せていたのがせめてもの救いです。入ってすぐに施設の夏祭りがあって、相談員さんが写真を撮ってくださったのですが、ヨーヨーや射的を笑顔で楽しんでいたのも嬉しい驚きでした。病院で寝かせきりにしたまま、逝かせなくてよかったというのだけはあります。

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費用面では公共の施設とは言え、初めは要介護2のショートステイで入れていただいたので、負担額は月19万近くありました。父の厚生年金の支給額になんとか収まりましたが、それでも、入居のタイミングの見極めは、本当に難しいと感じます。

これも以前も書いたことですが、踏ん切りがついたのは、父が深夜に起き出すようになってしまい、冷蔵庫を漁ったりしては、誤嚥につながるというなかで、とろみをつけないと水も飲めないという診断が下されたこと。また、急性期の病院にひと月も入院していると、医療スタッフの扱いもぞんざいになることを目の当たりにし、ともかく父を大事にしてくださる場所に移したいという思いがわたしのなかで強くなったことでした。

介護に絶対的な正解はなく、またわたしたち家族には初めての介護体験だったので、今思い返しても後悔ばかりですが、それでも、最後に父の魂と触れ合える時間があったことだけが心を慰めてくれます。

お話を伺ったのは…山田真哉さん

プロフィール

公認会計士・税理士。芸能文化税理士法人 会長。。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール勤務を経て公認会計士試験に合格。大手監査法人を経て独立し、芸能・エンタメ業界に特化した会計事務所を設立。現在は法人・個人合わせて多数の顧客を持ち、政府有識者や企業監査役も務める。著書は累計100万部超のヒット作を持ち、YouTubeチャンネル「オタク会計士ch」でも人気を集める。

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