3)「水も飲めない」という父の現実に、自宅での介護をギブアップ【父の認知症から学んだ、幸せの秘密】
親の老いに向き合うというのは、ある日突然はじまるものです。わたしの場合、それは父の“夜間の徘徊”というかたちでやってきました。これまでは京都での暮らしや移住生活のことを書いていましたが、その裏では東京にいる父の認知症が進行し、家族で介護体制をどう整えるかに奔走していました。介護というと、大変そう、重たそう…そんなイメージがあるかもしれません。でも、わたしにとっては、家族とのつながりを見つめ直し、人の優しさに心動かされることが増えた、そんな時間でもありました。 この連載では、認知症介護の体験を通して、わたしが出会った「幸せの秘密」を、少しずつ綴っていきたいと思います。
さて、少し気を緩めると、また大変なことになるというのが父の介護のパターンで、7月中旬に、またも父が誤嚥を起こし、肺炎になりかけていると言うので、看護師の判断で、救急搬送されてしまいました。きっかけは、またも、母が食べさせた人参。「やわらかく煮て、刻んだのに……」と残念そうではありましたが、「人参は、諦めるしかないでしょ。成長期の子どもじゃないんだから、食べなくても平気よ」などと諌めていると、事は人参どころではありませんでした。
またも同じ病院の総合診療科に入院したものの、何度も誤嚥を繰り返しているからと、嚥下評価が行われることになったのですが、とろみをつけないと水も飲めないことが判明しました。これから暑くなるなか、脱水症状を起こさないためには水分を取らないといけないけれど、その水分が取れないと言うのです。入れ歯も作り直そうと、訪問歯科の導入にもケアマネジャーが動いてくれ、型を作りかけていたのですが、いくら噛めるようになっても、飲み込めなくては意味がありません。また、入院の直前は、流動食しか食べていないので、お腹がすいて夜中に目が覚めてしまう。それで、冷蔵庫を開けようとするなど、問題行動が増えてきていました。とろみをつけたもの以外を摂ってしまうのは時間の問題に思えます。ここで、さすがのわたしもギブアップ。施設入居に向けて、動き出すことにしました。

この入院中、心筋梗塞のあとがあることから、心臓のカテーテル検査も行われましたが、そちらは当座、問題ないという診断。ニトロをもち歩くように言われたくらいでした。ケアマネジャーは前回の入院時点で、介護区分申請をして、要介護度を2から3に変えようと提案してくださっていたので、7月下旬にわたしが上京する頃には介護度も3に上がっているのではないかとのこと。その際に、母とともに、介護施設を見学することになりました。
→【記事の続き】4)母とわたしで介護施設を見学。入居の方向で進み始めるはこちらから。
文/Saya
東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。
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写真/野口さとこ
北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
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