100歳を超えても現役で患者を診つづけた“奇跡の医師”から学ぶ、どうでもいいことの手放し方
100歳を超えても現役で患者を診つづけた“奇跡の医師”が人生哲学を語った『102歳の医師が教える健康と幸せを保つ6つの秘訣』(辰巳出版)より、「どうでもいいことは手放す」について一部抜粋してお届けします。
生きていくなかで、ある考えや経験に固執して苦しくなることがある。チャレンジしがいのあることに、全力で取り組んでいるとする。でもその過程で、行き詰まることがある。前に進めなくなってしまうのだ。
何かを進めていて、壁にぶつかる。同じことを何度も考えてしまったり、過去を思いだして苦しくなる。人間関係、キャリアプラン、プロジェクトなど、愛着を持っていたものが終わりを告げ、喪失感にとらわれる。そんなとき、素早く手放すことも必要だ。もう役目を終えたものを見極めて、手放すだけでいい。
ほとんどの人は、自分にはいらないものを手放して、すっきりした経験があるだろう。不要なものに背を向けることで、自分らしくいられる。穏やかにかつ毅然と「ノーサンキュー」と言って、自分の人生を歩み続ければいい。
母は、この原則を深く理解していた。姉のマーガレットと私はだいぶ年を取ってから、ある日話しているときに、お互いに同じ不思議な手のジェスチャーをしているのに気づいた。手を静かに身体の前に出す。手のひらは上に向け、指は軽く握っている。それから、その手をひらひらと前後に動かす。ちょうど花びらを、下にある水に流しているように。これってどういうこと?私たちは考えた。誰が始めたの?
そして思いだした。「ママがやってた!」
母はこの動きをしながら、「クッチ・パー・ワ・ネー」と言っていた。ヒンドゥスターニー語で〝気にしない〞という意味だ。そうやって、物事を手放すことを教えてくれた。母にとっては自然な動きで、それでさまざまなことを乗りこえてきたのだろう。母は決して不愛想でも冷淡でもなく、深い思いやりを持っていた。ただ為すべき大切な仕事があり、〝クッチ・パー・ワ・ネー〞のおかげでそこに集中できたのだと思う。
人生を通じて、私もこの習慣に助けられてきた。マーガレットといっしょに、それがなんなのか気づく前から、ずっと行っていた。自分にはいらないと思うと、手の指を開いて、ひらひらと隙間からそれを手放していた。動作を意識的に行うようになってからは、自分に向かってくるものを、受けとめるかどうか選べるのは、大きな力だと気づいた。ほしいものでなければ、エネルギーをもとの場所に意識的に返すようにしている。手でしっかりと握りしめたりはしない。水のなかに花びらを落とすように、手放す。
〝クッチ・パー・ワ・ネー〞を実践する機会には、まったく事欠かない。自分を許すことを学ぶ機会が多いということだ。自分が言ったこと、人を傷つけたこと、選んだことなど、さまざまなことを後悔してきた。以前持っていた考えを後悔することもあるが、そうした後悔にしがみつくことはしない。
100年のあいだ、とても多くのことを学んだ。あなたも自分の人生を通じて学び続けているだろうし、これからもそうであってほしい。考え方も進化してきた。生きていれば当たりまえだ。
昔は正しいと思っていたことでも、今では間違っていると思うこともある。あなたが今どんなに強い信念を持っていたとしても、100年以上生きてみたら、少しは疑問に思うことも出てくるかもしれない。
この本の著者
グラディス・マクギャリー:1920年生まれ。ホリスティック医学の母として、国際的に活躍、米国ホリスティック協会の創立メンバーのひとりであり、70年以上にわたって家庭医を営み、ホリスティック医学、自然分娩、医師と患者のパートナーシップを精力的に提唱。米国ホリスティック医学協会(現総合医療と健康のアカデミー)の共同設立者・元会長、超心理学と医学のアカデミーの共同設立者であり、西洋の医師としてアメリカにおいて定期的に鍼灸治療を採りいれたひとり。100歳を超えては玄孫も誕生し、ライフコーチングを実践、健康的な食生活を維持しながら歩行器を使って毎日3800歩歩くのを日課とする。またレッドバードと名づけた三輪車に乗り、ときおりおいしいケーキを楽しむ毎日を送っていたが、104の誕生日のわずか2ヶ月前、2024年9月28日惜しまれながら生涯を閉じた。
【訳者プロフィール】
稲垣みどり:翻訳者。上智大学文学部英文学科卒業。主な訳書に『AIは私たちの学び方をどう変えるのか』『世界最高の学級経営』(東洋館出版社)、『成功する「準備」が整う世界最高の教室』(飛鳥新社)、『ザ・フューチャー・オブ・マネー』(ビジネス教育出版社)、『ボブが遺してくれた最高のギフト』(辰巳出版)などがある。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く






