〈東京⇔伊豆〉平日と休日の境界線がない二拠点生活 #暮らしの選択肢

〈東京⇔伊豆〉平日と休日の境界線がない二拠点生活 #暮らしの選択肢
写真: おまみ

近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市と地方の二拠点で生活する人々が増加傾向にあるということをご存知でしょうか。国土交通省の調査によれば、二地域居住等を実践する人は約6.7%に達し、約701万人と推計されているんだとか。また、複数拠点生活を行っている人は全体の5.1%に上るとの報告も。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」二拠点生活者たちから、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。

広告

今回、お話を伺ったのは、2025年4月より東京と伊豆にある松崎町で二拠点生活を送る、ライター兼イラストレーターのおまみさんです。夫婦揃って無類の旅好きが、トレイルランや自転車、ハイキング、釣りにハマり、自然の中での遊びを求めて行き着いたのが二拠点生活でした。松崎町での生活では、「平日と休日の境界線が消えた」と話す、おまみさん。一体どういうことでしょうか。おまみさんの二拠点生活に迫ります。

〈プロフィール〉 おまみ

フリーランスライター/イラストレーター。

2025年4月より、東京⇔伊豆・松崎町で二拠点生活を夫婦で送る。

趣味は、自転車(グラベル/トレイル/ロード)、ランニング、ハイキング、釣りなど外遊び。

Instagram: @izu.log

1ヶ月間の「お試し移住」がきっかけで二拠点生活へ。二拠点生活にこだわった理由は?

– 二拠点生活のきっかけについて教えてください。

おまみさん:2024年に南伊豆で「お試し移住」(※)をしたのが、二拠点生活の大きなきっかけとなりました。最初から移住を決めていたわけではありませんが、もともと夫婦で旅をするのが好きで、長い間、月に数回のペースで、国内外を行き来する暮らしをしていたんです。加えて、旅と言っても、いわゆる観光地に旅に行くのではなく、その土地の日常に溶け込むような、「暮らすように旅をする」というスタイルが好きなんです。南伊豆のお試し移住は、実際の生活を体験しながら、自分たちの暮らし方との相性を確かめるのに最適な機会だと感じたんです。

※お試し移住: 地方移住を検討している人が、実際に移住したい地域に短期間(数日〜数ヶ月)滞在し、現地の暮らしや文化、環境を体験する制度。自治体などが提供する「お試し住宅(体験住宅)」などを利用し、移住後のミスマッチを防ぎ、具体的な移住計画を立てるための「生活者目線での体験」を目的としている。

 

– 1ヶ月間、旅をしたいと思ったのはどうしてでしょうか?

おまみさん: 週末を利用して東京から数時間かけて移動するとなると、どうしても時間に制約があるじゃないですか。加えて、ここ数年は夫婦で自然の中で、トレイルランや自転車、ハイキングをしたり、旅先で、そういったアクティビティをして過ごすようになりました。それで、「平日仕事をしながらも、もっと自然の中で遊べたらいいよね」というような会話が自然と夫婦の中で交わされるようになっていったんです。

また、コロナ禍以降、夫が在宅で仕事をすることが基本になったことも大きいですね。私はもともとフリーランスのため、場所を問わずに仕事をしていましたが、会社員の夫も場所と時間の制約がなくなり、その生活ルーティンが定着したことで、長期の旅に出たいと思ったんです。

更には、愛犬の存在も大きなきっかけでした。旅のたびにシッターさんに預ける必要があり、どうしても短期滞在が中心になってしまって。時間の制約だけでなく、出発のたびに後ろ髪を引かれるような気持ちが残っていたんです。愛犬がシニア期に入ったことをきっかけに、長期滞在であれば移動の負担を抑えつつ、一緒に過ごせるのではないかと考えるようになりました。旅と生活を切り分けない暮らし方に、可能性を感じたんです。

– 長い時間自然の中で遊ぶことを求めていたことと、条件的にそれが可能になったということですね。

おまみさん: 平たく言うとそういうことですね。それで、実際に、南伊豆で1ヶ月間過ごしてみたら「すごく良い!自然のそばに拠点がある暮らしって、こんなに豊かなんだ」という気持ちになったんです。

 

– 南伊豆の生活のどのような所に惹かれたのでしょうか?

おまみさん: それまでの生活ルーティンですと、平日は労働をして、土日に遊ぶというのが当たり前でした。けれど、伊豆での生活は、自然が身近にあるので、平日の仕事前後だったり、仕事の合間に、走りにいったり、自転車に乗ったりと、気軽に遊びに行けるんです。私たちが理想としていた暮らしが、伊豆でならできると思いました。

– 長期滞在の旅の延長から「暮らしたい」となったわけですね。

おまみさん: はい。それで、東京に戻ってから、いろいろ夫婦で話し合ったんです。南伊豆はすごい良かったけれど、一箇所だけで判断してしまっていいものかと思って。それで、以前から自転車に乗りによく訪れていた富士吉田の方にもお試しで1ヶ月間滞在したんです。結果として、伊豆の方が私たちにはフィットしていると思い、伊豆で本格的に家を探し始めました。

– 伊豆のどういったところがフィットしていると思ったのでしょうか?

おまみさん:一番の決め手は、海がすぐそばにあることでした。釣りをする私たちにとって、徒歩数分で釣りができる環境はとても魅力的でした。また、街はコンパクトなのに、自然がすぐ手の届くところにあるのも伊豆の良さだと思います。平日の朝や仕事の合間、夕方など、日常の中で気軽に自然を楽しめる点が、私たちにはとてもフィットしていました。

 

– 家は、お試し移住されたエリア周辺で探されたんですか?

おまみさん: 最初は、南伊豆で探していたのですが、なかなか条件に合う物件が見つけることができませんでした。最初は賃貸で家を探していたのですが、南伊豆には物件自体がとても少なくて。また、あったとして、田舎の家は、大きな家が多くて、夫婦二人と犬1匹で住むにはちょっと広すぎだったり。また、ペットNGという物件も多かったです。それで、少しエリアを広げて、隣町にある西伊豆の松崎町というエリアで探しはじめました。お試し移住のときにも何度か訪れていて、そのたびに『コンパクトでいい街』と感じていました。そうしたら、偶然良い物件が見つかったんです。こじんまりとした平屋建てで、ちょうど良いサイズのものが。賃貸ではなかったので、中古物件を購入することになったのですが、結果的に良かったと思います。そもそも南伊豆の方は、スーパーマーケットやコンビニまで車で数十分かかったりと、私たちの生活スタイルと買い物動線の面で工夫が必要に感じています。一方で、松崎町は、コンパクトな街なのに、スーパーマーケットや、100円ショップ、ホームセンターなどのインフラが揃っていて、住むのに最適だったと、実際に住んでみて感じています。非日常の中で暮らすというなら南伊豆がベストだったかもしれませんが、いざ暮らしをするとなると、松崎町の方が私たちにとっては住みやすかったなと思いますね。

– 移住ではなくて、二拠点生活にしたのはどうしてでしょうか?

おまみさん: 自然の中で過ごす時間も欲しいけれど、やはり都会の便利さや面白さは手放せないと感じています。出身は北海道なのですが、東京生活は約18年と長く、東京での暮らしも自分にとって欠かせないものなんです。

– では、よくある仕事の都合で、というわけではないということですね。

おまみさん: はい。私はフリーランスで活動していますし、夫も在宅ワークが基本なので、夫婦どちらとも、仕事で毎日東京にいなくてはいけないというわけではありません。仕事どうこうと言うよりも、ライフスタイルとして、二拠点生活という暮らし方を選択しました。

平日も休日も、毎日遊べる松崎町での暮らし

– 松崎町には、移住者だったり、おまみさんたちのように二拠点生活をされている方も多いのでしょうか?

おまみさん: 周りは地元の方が多く、世代的には私たちより少し上の方やファミリー層、シニア世代が中心という印象です。最初からご近所の方々には二拠点生活をしていることをお伝えしていて、挨拶や回覧板を通して、無理のない距離感でコミュニケーションをとっています。皆さんとてもあたたかく迎えてくださって、それがすごく嬉しかったですね。最近では、ご縁があって移住された方々との交流も増えてきました。

– 地元の方々にあたたかく迎え入れてもらえるといいですね。

おまみさん: そうですね。飲食店や自然を楽しむ中で出会った方々が、実は近所に住んでいたということも多くて。留守にしている間も、家の前を通るたびに気にかけてくださり、とても助けられています。

– 今はどれぐらいの頻度で行き来されてるんですか?

おまみさん: 時期や用事によっても異なるのですが、伊豆に1ヶ月ほど滞在して、東京に数週間滞在することが多いです。二拠点生活をされている方ですと、週末だけセカウンドハウスに滞在するというパターンが多いと思うのですが、私たちは特にそういったルーティンはありません。

– では、今の所は、松崎町の方で過ごされることの方が多いわけですね。

おまみさん: 今年は、そうでしたね。特に春から夏にかけては、松崎町に長くいました。松崎町の方は、東京よりも圧倒的に過ごしやすかったので。もちろん夏は、暑いのですが風通しが良いんです。東京の夏は体感的に厳しく感じることも多くて。松崎町は海や川、滝がすぐそばにあり、夏こそ遊びに夢中になれる場所。一方で、季節によって自然の表情も大きく変わるので、冬場は東京で過ごす時間を増やしています。自然と都市、それぞれの良さを活かしながら、季節に合わせて拠点を行き来するのが、今の私たちの暮らし方ですね。

 

– 松崎町と東京の暮らしで一番違うところはどんなところでしょうか?

おまみさん: 一番は時間の使い方ですね。特に平日の時間の使い方。先ほどの話とも重複するのですが、東京で一拠点生活をしていた頃は、平日は仕事をして、休日に遊ぶというルーティンでした。多くの方がそうだと思うのですが、東京では平日と休日には境界線が存在していると思うんです。一方で、二拠点生活をはじめてその境界線が消えましたね。例えば松崎町で暮らす中では、平日の空いた時間に、自転車に乗ったり、走ったりとか、釣りに行ったりするんですよ。それまで、週末に詰め込んでいたアクティビティを平日に分散できるので、そういう時間の使い方の概念が変わりました。

 

>>後編へ続く

広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

〈東京⇔伊豆〉平日と休日の境界線がない二拠点生活 #暮らしの選択肢
〈東京⇔伊豆〉平日と休日の境界線がない二拠点生活 #暮らしの選択肢
〈東京⇔伊豆〉平日と休日の境界線がない二拠点生活 #暮らしの選択肢
〈東京⇔伊豆〉平日と休日の境界線がない二拠点生活 #暮らしの選択肢