爪に現れる「点状の赤黒い線」…あなたの体に何が起きている?医師が解説
ふと手元を見たとき、爪の中に細い赤黒い線が入っているのに気づいたことはありませんか?「どこかでぶつけたかな」「気づかないうちに挟んだかも」多くの人は、まずそう考えます。しかし、外傷ではなく、体中に異変があって出血している場合もあります。医師が解説します。
爪に赤黒い線?ただのケガと思っていませんか?
確かに、軽い外傷で爪の下に出血が起きることはよくあります。ただ、その線が針で引っかいたように細く、縦にスッと伸びている場合、少し注意が必要です。
これは「スプリンター出血」と呼ばれる所見で、単なるケガだけでなく、体の中で起きている異変のサインとして現れることがあります。
特に、
- 何本も同時に出てくる
- しばらく経っても消えない
- ぶつけた記憶がない
といった場合は、「爪だけの問題」とは言い切れません。
爪は、毛細血管が豊富で血流の変化を反映しやすい場所。つまり、体の中のトラブルが“見える形”で表れやすいのです。
「感染性心内膜炎」と爪の線がつながる理由
爪のスプリンター出血で、医師が真っ先に頭に浮かべる病気のひとつが、感染性心内膜炎です。
感染性心内膜炎は、心臓の中にある弁や内膜に細菌が付着し、炎症を起こす病気。
血液の流れに乗った細菌や炎症のかけらが全身に飛び、小さな血管を詰まらせる“微小塞栓”を起こすことがあります。
爪の下の毛細血管はとても細いため、この微小塞栓の影響を受けやすく、その結果、爪の中に細い出血として線状に現れるわけです。
感染性心内膜炎の場合、爪の変化以外にも、一見すると風邪や疲労と区別しにくい症状が重なることがあります。
・原因不明の発熱が続く
・全身のだるさ
・体重減少
・関節痛
・皮膚の小さな点状出血
特に、以下のような背景がある人では、爪のサインを見逃さないことがとても重要です。
・心臓に持病がある
・人工弁が入っている
・歯科治療後に体調が悪い
・原因不明の発熱が長引いている
爪の線を見つけたら、どう判断すればいい?
では、爪に赤黒い線を見つけたら、すぐに病院に行くべきなのでしょうか?
判断の目安として、次のポイントをチェックしてみてください。
早めに受診を考えたいサイン
・複数の爪に同時に出ている
・左右どちらの手にもある
・何週間たっても消えない
・発熱やだるさなど、体調不良を伴う
・心臓病の既往がある
このような場合は、内科や循環器内科での相談をおすすめします。血液検査や心エコーなどで、原因を探ることができます。
一方で、
・明らかにぶつけた記憶がある
・1本だけで、爪の成長とともに先端へ移動している
こうしたケースでは、外傷による可能性が高く、経過観察で問題ないことも多いです。
大切なのは、「自己判断で決めつけない」こと。爪は小さな変化ですが、全身の状態を映す“健康の窓”でもあります。
まとめ:爪は、体の中の異変をそっと教えてくれる
爪に現れる細い赤黒い線。それは単なるケガの跡かもしれませんし、感染性心内膜炎のような重い病気のサインであることもあります。
- ぶつけた覚えがない
- 何本も出ている
- 体調不良が続いている
こんなときは、「様子見」で済ませず、一度医療機関で相談してみてください。早く気づけば、重症化を防げる病気も少なくありません。
毎日目にしているはずの“爪”。実はそこに、体からの大事なメッセージが隠れていることがあります。たまには手元をじっくり眺めて、自分の体の声を聞いてみてください。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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