〈意外と知らない〉肝臓が出すSOSとは?爪や尿などに現れるサインは|医師が解説

 〈意外と知らない〉肝臓が出すSOSとは?爪や尿などに現れるサインは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-05-02

肝臓に関して心配な症状があり、以下に挙げるサインが見受けられる場合には、最寄りの消化器内科クリニックや肝臓専門医などを受診して、相談してみましょう。

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「肝臓が出す危険信号」とは?

「肝臓が出す危険信号」のひとつとして、爪が黄ばむ黄疸症状があります。

黄疸は、ビリルビンという色素が何らかの原因で血中に増加する結果として、全身の皮膚や眼球粘膜に過剰に沈着した状態を指しています。

ビリルビンという色素は、赤血球のヘモグロビンという色素から肝臓で合成される物質ですが、肝硬変や肝炎の疾患などによって血液中のビリルビン濃度が増加して、皮膚や目の白い眼球結膜部が黄色く見える黄疸状態を引き起こします。

ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する過程の中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成されて、血流によって肝臓に運ばれ、そこで胆汁(肝臓で作られる消化液)と結合します。

そして、ビリルビンは胆管を通って消化管に移動して、大部分のビリルビンは便中に排泄されますが、少量は尿中に排泄されますが、万が一ビリルビンが肝臓や胆管を正常に通過できない場合にはビリルビンは血液中に蓄積して、皮膚に沈着して黄疸を引き起こします。

黄疸とは目に見える皮膚の黄染の意味ですが、正確にはビリルビンという物質による皮膚の黄染と考えられます。

黄疸では、血中にビリルビン(黄色の色素)が過剰になって高ビリルビン血症を発症することで、一般的に皮膚や白眼が黄色くなります。

多くの黄疸の患者では、便とともにビリルビンが排除されず、尿中に排泄されるビリルビンの量が増加することによって尿の色が濃くなり、便の色が薄くなるとも言われています。

成人では、黄疸自体はあまり自覚的な症状を引き起こしませんが、患者さん自身は黄疸に気付かずにしばしば家族や職場の同僚から指摘されることもあります。

ビリルビンの血中濃度が高くなると、胆汁が分解されたときにできる物質が体内に蓄積することで、全身にかゆみや掻痒感、爪が黄ばむ黄疸症状などを認めることがあります。

「肝臓が出す危険信号」とは?

「肝臓が出す危険信号」のひとつに、尿の色調異常が知られています。

肝臓が悪くなると、尿の色調がオレンジ色から茶褐色に変化することがあります。

尿
尿の色調(イメージ)/Adobe Stock

肝機能低下に伴って、血液中のビリルビンが増えて、目や皮膚など身体中が黄色くなる黄疸という状態になることがあります。

通常であれば、肝臓はビリルビンを胆汁の成分として腸の中へ排出しますが、肝臓の働きが低下して障害を起こすと、胆汁中にビリルビンを排出できなくなり、血液中のビリルビンが増加して、尿の中にもビリルビンが入り混じります。

ビリルビンは、茶褐色から緑色を呈しており、ビリルビン尿は肝臓病によって増加したビリルビンが尿にも含まれることによって生じ、濃い黄色から褐色の尿に変化します。

まとめ

肝臓は右の肋骨に守られるようにして存在するヒトの体で最も大きい臓器であり、体重の約50分の1を占めています。

肝臓の主な働きとして、1つ目は、私たちの体に必要な蛋白の合成・栄養の貯蔵、2つ目は、有害物質の解毒・分解、それと3つ目が、食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌です。

肝臓の機能障害は、肝臓の様々な病気や過剰な飲酒習慣などによって肝臓の細胞が破壊され続けることでも引き起こされます。

肝臓に関して心配な症状があり、例えば、爪が黄ばんでいる、尿の色調異常を認めている場合には、最寄りの消化器内科クリニックや肝臓専門医などを受診して、相談してみましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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