「手帳が続かない」と悩む人へ。手帳研究家が語る「書けなかった日」の捉え方と手帳を使う本当の目的
『感情が整う気持ち手帳』(フォレスト出版)著者で、手帳研究家®のてらたまさんにお話を伺いました。本書の中で、てらたまさんは1日の振り返りとして、その日の点数を5段階でつけ、その点数になった理由と感情を書き出す「気持ち手帳」を提案しています。1日30秒でできるため、忙しい人や疲れている人でも続けやすい方法です。後編では、てらたまさん自身が手帳を使うことで感じた変化や、「手帳が続かない」という悩みにご回答いただきました。
手帳を使うことで感じた変化
——てらたまさんご自身は手帳を使うことでどんな変化を感じたのでしょうか?
今思えば、最初はジャーナリングをしていました。1人目の育休中がコロナ禍と重なって、孤独な中、誰かと会話をして浄化することもできず、1人で「モヤモヤする」「イライラする」などと書き続けていました。
書けば書くほど「1人になる時間が欲しい」「カフェに行きたい」など、「本当はこうしたいのに」という自分の本心に気づけるようになってきたんです。書くことによって自分の本当の気持ちが明確になってきたことが一番の大きな変化でした。
——その日の感情を記録する「気持ち手帳」を始めて、夫さんとの衝突も減ったそうですね。
産後のホルモンバランスの変化の影響もあったと思うのですが、当時は自分の思いや願いを不明確なまま感情を夫にぶつけてしまうことがよくありました。夫は私にどうしてあげればいいのかわからない状態でした。
でも私がどうしたいのかを具体的に伝えられるようになってからは、建設的な話し合いができるようになり、打開策が見えるようになりました。
——どうしたいか・どうしてほしいかがうまく言葉にできなくて悩んでいる方は多いのでしょうか。
そうですね。フォロワーさんや講座の受講生さんたちと話していると、我慢して自分の気持ちに気づかないようにしていたり、出てきてしまった本心に蓋をしている状態の方が多いです。
元々伝えることに慣れていなかったり、言葉にしようと思ってもできなかったりします。パートナーが「どうしてほしいの?」と優しく聞いてくれてはいるものの、どうしてほしいかを言語化できず、説明できないというお話もよく伺います。
教員から手帳研究家®へ
——教員から手帳研究家®として独立されるまで、どういった経緯があったのでしょうか。
自分が親になって、働き方について考えるようになりました。また、手帳を書いていく中で、別の角度から私の思いやできることを届けられる可能性があることを感じました。学校現場ではやりたかったけれどもできなかったことや、やりきれなかったことをフリーランスだからこそできるという未来も予測できたんです。
タイミングとしてもコロナの影響で、オンラインでのやりとりが当たり前になり始め、色々な人との繋がりができて、新しい世界があるかもしれないと思い、挑戦してみようと思いました。
——公務員をやめるのは怖くなかったのでしょうか。
フリーランスがうまくいかなかったとしても、教育現場が人手不足というのもあって、戻るという選択もあるとは思いましたし、うまくいかなかったときはそのときでまた違う方法もあるんじゃないかって。
自由な時間が獲得できたら、家族との時間を含め、自分で調整することができると思いました。手帳に理想の生活や夢を書いたときに「楽しそうだな」と思ったのでやってみようと。
私立の小学校で非常勤講師として働きながら、手帳講師をして、少しずつ手帳研究家®の仕事に絞っていきました。
——どういう経緯で手帳講師というお仕事を始めたのでしょうか?
最初は趣味の延長くらいでした。ただ、教員だったので毎日児童生徒の記録を細かくつけるなど、書くことを当たり前にやっていたんです。
子どもが生まれてからは、子どもの記録や自分の読書記録をインスタグラムに投稿したところ、「書き方を教えてほしい」という要望をいただくようになりました。
それでZoomで1時間ほどお話を伺うようになって、手帳の書き方やジャーナリングに限らず、その方の困りごとを伺って一緒に解決策を考えていたことが始まりでした。
自分を大切にする時間の増やし方
——特に子育て中ですと、どうしても自分を後回しにしてしまう女性は多いと思います。てらたまさんは、自分を大切にする時間をどのように増やされていったのでしょうか。
最初はモヤモヤなどの感情を書き出して、少しでもいいから時間を取りたいということを、自分の中で明確にしました。それを協力してくれる人……私の場合は夫でしたが、誰かに伝えていく。場合によっては保育士さんや母親、行政の人かもしれません。
また、手帳を書いている時間が、私にとってはちょっとした息抜き、自分のための時間になっていました。
——時間ができても、どうしたいかわからなくてうまく使えない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうですね。自分はどんな時間を持ちたいのかが明確になっていないと、たとえ時間ができても満足できるかというと難しいところがあります。
15分時間ができたら、1時間できたら、半日なら、3日なら、といったように時間のレベルに分けて色々と考えておくと、時間ができたときに迷わずに実行できるようになります。
——1日の振り返りで、「気持ち手帳(その日に点数をつけ感情を記録する手帳術)」以外におすすめの手帳の活用方法はありますか?
著書の『感情が整う気持ち手帳』でも紹介していますが、「できたことリスト」は有効だと思います。私も育休中のときは、3時間ごとに同じルーティーンをこなしているだけで、自分は社会的なことが何もできていないと、毎日イライラとモヤモヤを募らせていました。
でも「今日できたことは何かな」と振り返って、「ミルクをあげられた」「オムツを替えられた」「ご飯を食べられた」など、当たり前のようにやっている日常の些細なことを手帳に記録するようにしたんです。
すると、手帳を見返したときに「意外とできていることはたくさんある」と思えたり、楽しくなったりして自己効力感も自己肯定感も上がってきました。
「手帳が続けられない」と悩む人へ
——手帳を続けられなくて自分を責めてしまう人にメッセージをいただけますか。
そもそも手帳を書こうと思っている人は真面目な人が多いです。ですので、まずは「真面目な人が真面目なことをやろうとしている」のだと心に留めておくこと。次に、手帳を書きたいのに書けなかった日は、「他の何かを頑張った日」だと思うようにすることです。
手帳が書けなかったその日は、仕事がハードで疲れていた日かもしれないし、子育てが大変だった日、もしくは体調が悪くてご自愛タイムにした日かもしれない。そうすると「この日は別のことを頑張っていたんだな、よしよし」と自分を認めることができます。
——必ずしも続ける必要はないのでしょうか。
習慣化の力を伸ばしたいのであれば良いですが、そうでないのであれば「手帳を続けること」自体には、そんなに意味はないと私は思っています。
もちろん、しっかりと書けたら満足感はあります。でも多くの場合、手帳とは「書く」ことが目的なのではなく、手帳を活用して「タスク管理をしたい」「スケジュールミスをなくしたい」「時間を有効活用したい」など、何かしら生活を良くしたいという思いがあるのではないでしょうか。
手帳を使うことの目的が曖昧なままだと、インスタグラムなどで見る美しく作り込まれた手帳を見て落ち込んでしまいます。
「自分はどうなりたいのか」というところに立ち返って目的が明確になれば、毎日続けること自体の優先度は下がります。すると必然的に、「しばしば忘れてしまうけれど、時間の使い方がうまくなったからよかった/夢を叶えられた」と捉えられるようになるのではないでしょうか。
【プロフィール】
てらたま(寺田真弓てらだ・まゆみ)
手帳研究家®/株式会社Dreamist・株式会社EducateJapan代表取締役
1987年岐阜県生まれ、3児の母。岐阜大学教育学研究科・教職大学院を卒業後、約10年間にわたり小中学校の教員として教壇に立つ。
第一子の出産・育休とコロナ禍が重なり、孤独な育児や過労による心身の不調を経験。感情をコントロールできずに苦しむなか、手帳に感情を綴りはじめる。やがて、フォロワー向けの手帳講座を開始するようになり、教員を退職する。
その後は、手帳研究家として精力的に活動を開始し、手帳のオンライン講座を開講。時間管理・目標達成・感情ケアの3つを軸にしたプログラムは好評を博し、3年間で延べ2400人以上の女性が受講。
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