手帳研究家が提案する「気持ち手帳」の始め方。1日30秒でモヤモヤが消える振り返り術|インタビュー
『感情が整う気持ち手帳』(フォレスト出版)著者で、手帳研究家®のてらたまさんにお話を伺いました。本書の中で、てらたまさんは1日の振り返りとして、その日の点数を5段階でつけ、その点数になった理由と感情を書き出す「気持ち手帳」を提案しています。1日30秒でできるため、忙しい人や疲れている人でも続けやすい方法です。前編では、手帳の選び方や、手帳を使ったモヤモヤした気持ちの解消方法について伺いました。
手書き手帳のメリット
——デジタル化が進む中で、手書き手帳を使うことにはどんな意味がありますか?
一番はいい意味で情報が入ってこないことです。例えば、ジャーナリングのようなことをスマホでするとなると、書いている途中で色々な通知がきて中断されてしまいます。
紙だったら、基本的にはその場には情報が何もないので、自分の中にあるものを出す時間にしやすいと思います。
スマホは誰かと広く繋がるツールで、手書き手帳は自分と深く繋がるツールです。自分のことが全くわからないのに、人と広く繋がっても迷子にしかなりません。一方、自分とだけ深く繋がりすぎても、孤立してしまって本当につらいときにヘルプを出せなくなると思います。
なので、他人とも自分ともどちらの繋がりも必要で、スマホと手書き手帳どちらもあることで縦軸と横軸のように繋がりが立体的に広がっていきます。
——手帳の選び方について、てらたまさんが大切にされているポイントを教えていただけますか。
私の場合はレアかもしれないのですが、一番は紙質にこだわっています。ペンとの相性もあるので、書いてみないとわからないところもあるのですが、使っていく中で書きづらさを感じると手帳から自然と離れてしまうんです。
特にジャーナリングの場合は、思考をスムーズに出すために、書くときにストレスのないものを選んでいます。たとえば、紙が薄すぎると裏移りして汚く見えてしまったり、ざらざらしたものだと、ペンとの相性でキレイに発色がしないことなどもあるので、そういったところもチェックしていますね。
ペンについては、書き味のいいペンはたくさん売られていますが、私は持ちやすさや握りやすさを重視しています。たとえば、ジャーナリングをするのには、単色ボールペンだと書きづらく感じます。ですので、私は4色ボールペン+シャープペンシルの太めのものを使っています。逆に、人によっては太いペンで書くと疲れる方もいらっしゃると思いますので、色々と試してみて自分に合うものを見つけるのがいいと思います。
女性は小さいバッグを愛用している人も多いので、小さいサイズの手帳も多いのですが、私は手帳に色々なことを書きたいので、しっかり書き込むことのできるA5サイズを使っています。
——「気持ち手帳(その日に点数をつけ感情を記録する手帳術)」は最初はA5サイズから始めた方がいいでしょうか。
そうですね。小さい手帳は持ち運びのしやすさがメリットですが、持ち運びをしないのであれば、大きい手帳の方が存在感があって書くことを忘れにくくなりますし、書き込みやすいのでA5サイズから始めてみるといいと思います。
「気持ち手帳」の大事な点は、記録をして振り返ることで、自分のご機嫌と不機嫌を客観視することです。その点で、点数や感情はマンスリーページに書くことをおすすめしています。私自身、ウィークリーページに書いたこともあったのですが、やはり月の記録全体を一目で把握できた方が自分の気分の波が見えて、俯瞰的に振り返ることができました。
月単位で見るという点では、カレンダーでも可能ですが、「誰かに見られたくない」という方も多いです。見られてしまうかもしれないと思うと心理的なブロックがはたらいて、良いことだけ書いてしまうので、手帳の方がよいかと思います。
手帳は「自分を整えるためのツール」
——手帳の王道の使い方として予定管理がありますが、本書では「手帳は、予定を書くものではなく、“自分を整える”ためのツール」と書かれています。どういった思いがあるのでしょうか。
手帳でスケジュール管理をすることは王道の使い方ですよね。「予定」には、2種類あると思っています。1つ目は、「誰かと決めているもの」です。仕事であれば上司や取引先であったり、子どものための歯医者の予約だったり、「誰かとの予定のために自分の時間を抑えている」という感覚です。
もちろん社会で生きていく中で必要なことです。ですが、感情を整えるうえで特に大事にしたいのは、2つ目の「予定」である、「自分自身の予定(約束)」です。自分をご機嫌にする予定や、自己実現をするための未来の予定など、自分が自分と決めた約束を予定に入れていくと、充実した毎日になるのではないのでしょうか。
生活のほとんどが誰かとの約束で占められていて、自由の効かないレールの上を走っているような日々に不満を感じている人は多いと思うんです。手帳が「未来の自分を作っていくためのマップ」になるといいのではないかと思い、日々発信しています。
「モヤモヤ」との向き合い方
——現在「なんだかモヤモヤする」と悩んでる方にアドバイスをいただけますか。
前提として、「モヤモヤする気持ちは悪いものではない」というマインドセットを持っていただきたいです。
そのうえでモヤモヤを吐き出していく中で、何が嫌なのかを自分に問いかけていきます。箇条書きでも、文章でも、話し言葉でもいいので、ばーっと書き出してみます。モヤモヤを書き出して正体を明らかにするだけでもスッキリするという方もいるので、一旦書き出してみることはオススメです。
応用編として、次にモヤモヤを少しでも減らせる方法がないかを考えてもいいと思います。このときのポイントは、「他人と過去は変えられない」ということを踏まえて今後のことを考えことです。
たとえば、書き出した内容が上司の話し方や夫の素振り、子どもの泣きわめく声だったとしましょう。モヤモヤの原因を明確になったら、相手にも色々な事情や背景があり変えられないことも多いと念頭に置いたうえで、「自分はどうするのか」「どう捉えるようにするのか」を考えます。
もちろん相手の事情を全部受け止める必要はありません。上司が近くに来たら席を立つとか、夫には伝えてみるとか、子どもの泣き声は安全性が確保できる前提で、片耳にイヤホンをつけるとか、何かしら少しでも自分を守れる方法はあると思います。
——「べき思考」の強い方で、子どもの声にイライラしてしまったときに、「自分は親としてダメかもしれない」と落ち込みを深めてしまうといったお悩みを聞くこともありますか?
そうですね。手帳講座で出会うお母さんたちは、最初は自分をマイナスに見繕うプロがいっぱいいらっしゃって、自信満々の方はほとんどお会いしたことがないです。
「~べき」「~しなければ」の「べきねば思考」だからこその良さもあるので、ご自身のそういった部分も一旦受け止めていただくとよいかと思います。
「べきねば思考」だからこそ、真面目に仕事も家庭のことも頑張れるんだ。自分は努力家なんだと捉え方を変える(リフレーミング)こともできます。
とはいえ、「べきねば思考」が強すぎると、自分を苦しめてしまう部分はあるので、自分は「べきねば思考」が強いと認識したうえで、「べきねば思考」がやってきたときに「これはいつものやつだ」と少し自分と切り離した存在として捉えると、振り回されにくくなるかと思います。
【プロフィール】
てらたま(寺田真弓てらだ・まゆみ)
手帳研究家®/株式会社Dreamist・株式会社EducateJapan代表取締役
1987年岐阜県生まれ、3児の母。岐阜大学教育学研究科・教職大学院を卒業後、約10年間にわたり小中学校の教員として教壇に立つ。
第一子の出産・育休とコロナ禍が重なり、孤独な育児や過労による心身の不調を経験。感情をコントロールできずに苦しむなか、手帳に感情を綴りはじめる。やがて、フォロワー向けの手帳講座を開始するようになり、教員を退職する。
その後は、手帳研究家として精力的に活動を開始し、手帳のオンライン講座を開講。時間管理・目標達成・感情ケアの3つを軸にしたプログラムは好評を博し、3年間で延べ2400人以上の女性が受講。
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