〈長野移住〉慣れ親しんだ都心の暮らしから田舎へ移住した理由とは? #暮らしの選択肢
二拠点生活者のリアルな日常を深堀りする連載企画「#暮らしの選択肢」。今回は、番外編として、地方へ完全移住を選択された移住者へお話を伺います。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」移住者たちが考える、魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。
今回の「#暮らしの選択肢」は、番外編。地方へ完全移住を選択された神奈川県・鎌倉市出身のmiroさんにお話を伺いました。ヴィーガンの料理教室/コミュニティを運営されているmiroさんは、夫の脱サラを機に、2025年7月に長野県軽井沢へ移住。慣れ親しんだ神奈川県を離れ、軽井沢に移住した経緯とは?また、中古物件を探す過程で驚いた森の中の物件や避暑地だからこそ考慮しなくてはいけない条件についても教えていただきました。miroさんの「#暮らしの選択肢」に迫ります。
〈プロフィール〉miroさん
パンデミックを機に、地球・人・生き物に優しい循環した未来を目指すように。自身のInstagramやYouTubeで、野菜や有機的な調味料で作る菜食料理を発信しながら、オンライン料理教室兼コミュニティ〈miro's kitchen online〉を主宰。(2026年3月に終了予定)2025年に、念願だった自然と寄り添った暮らしを実現するために、長野県軽井沢町に完全移住。
Instagram: @miroskitchine_16
YouTube: @Miroskitchen
自然と隣り合わせの暮らしがしたい
– miroさんは、ご出身はどちらですか?
miroさん: 出身は、神奈川県の鎌倉市です。25歳まで鎌倉の実家に暮らしていました。結婚をした後も、神奈川県内に5年ほど住んでました。
– 慣れ親しんだ神奈川県を離れ、長野移住に至ったのはどうしてでしょうか?
miroさん: 結婚当初から、夫と「自然の中で暮らしたい」という話をしていたんです。ただ、当時は夫は東京で会社員をしていて、私もフリーランスになったばかりだったので収入が安定しておらず、「ゆくゆくは…」という話でした。それが今年に入り、彼が脱サラをして起業することになったんです。私もオンラインでの仕事が安定してきた頃だったので、タイミング的に今だということになり、移住を決意しました。
– 自然の中で暮らしたいと思ったのはどうしてでしょう。
miroさん: 入籍がちょうどパンデミックの時期と重なったのですが、その頃から食のことや環境のこととはじめて向き合うようになりました。その後自然な流れで、ヴィーガン料理教室/コミュニティの運営をはじめたり、関東で自然栽培をされている農家さんのもとで畑仕事もはじめたんです。ただ当時は「畑=行く場所」でした。けれど私としては、もっと自然を暮らしの一部にしたいという思いがあったんです。
– より自然を身近に感じられるところ、自然の中に身を置きたいという気持ちがあったわけですね。パンデミック前はそういった志向はありましたか?
miroさん: いいえ、なかったです。実は、鎌倉に住んでいた頃は大学や職場が都内だったということもあって、そこまで自然に触れる機会も作れてなかったですし、海まで徒歩5分の立地にも関わらず、何故か東京の方にばかり足を運んでいました。
けれど、コロナの制限がある中で、海に癒やされたり、畑で自然のパワーに触れる過程で、私も自然の一部なんだということを深く感じるようになりました。だから、もっと自然の巡りに寄り添いながら暮らすことを選択したいと思ったんです。都心ですと、自然に触れ合える機会は限られてしまいますし、自然から離れてしまうと自然に対しての敬意を持つことが薄れてきてしまうような気がしたんです。だから、もっと隣り合わせで寄り添いたいと思い、移住を決断しました。
– 移住先は、長野以外も考えられていましたか?
miroさん: 先程お話した通り、結婚当初に夫とは「いつか自然豊かな場所に移住しよう」という話をしていたので、時間をかけて色々な場所を巡ってきました。そのため、5年くらいかけて国内外色々な場所へ旅をして、色んな方の暮らしに触れさせてもらい、どこが自分たちにフィットするかというのをずっと探していたような気がしています。
– 日本国内外で、長野以外にどういった候補地がありましたか?
miroさん: 海外へは、「どういった暮らしがしたいか」という新たな価値観やインスピレーションをもらいに行ってました。それを日本に持ち帰れたらいいなと思って巡っていたので、海外移住は考えていませんでした。一方で、国内では、屋久島などの島暮らしを考えていた時期もありました。私は、畑で泥だらけになっていましたし、夫はブラッシュクラフト(※)の資格を取得したりして、二人ともかなり野生に傾いていた頃だったんですよ(笑)
※ブッシュクラフト: ナイフや斧などの最低限の道具を使い、「茂み(bush/ブッシュ)」の中で「技術(craft/クラフト)」を駆使して、火おこし、シェルター作り、水・食料の調達など、自然の素材を活かして生活するアウトドアのスタイルや、そのための知恵・技術
– すごい、よりワイルドな環境も検討されていたんですね!色々な場所を回った中で、長野に落ちたのはどうしてでしょうか。
miroさん: 長野は、学生時代から当時付き合っていた夫と毎年旅行に来ていて、よく知った場所だったということもあります。また、季節の移り変わりをしっかりと感じられる場所というのも大きいですね。特に、私たち夫婦は冬が好きで、ウィンタースポーツが昔から大好きなんです。これから、初めての冬を迎えますが、近くのスキー場に行くのが今からとても楽しみです。実は今朝、今季初めての雪が降ったんです。外に出たら、空気が澄んでいるのを感じました。もちろん、こちらは関東に比べて寒さが厳しいですが、ストーブを焚いて、火を眺めているだけで、体だけでなく心も温まります。そういったことも、寒いからこそ感じられることなのかもしれないな、と思っています。
森の中で家探しをする時に最低限考慮した方が良いこととは?
– miroさんのご自宅の周りはどういったところなのでしょうか?
miroさん: 森の中にある別荘地で、周りにはご近所さんもいらっしゃいます。皆さん、庭をとてもきれいにされていてすごいんですよ。季節の庭仕事を業者さんレベルでやられている方々ばかりで、尊敬しています。きっと、これが自然と暮らすということなんだな、というのを日々学ばせてもらっています。
– miroさんも、そうなれたらいいですね!今の家に決めた決め手はなんだったのでしょうか?
miroさん: 正直な話をすると、条件に合うのが今の家だけだったんです。最初、家を探しはじめた時は、寒い地域での不動産の基本的な知識を持っていない状態で、条件なんて概念も持たずに、都内で家探しする延長戦のような気持ちで内覧をはじめました。ただ、家を探していく中で、イエローゾーン(※1)、レッドゾーン(※2)といったワードを知りました。こういったエリアの物件は、災害時の危険性も高く、ゆくゆく家を売却したと思った時に売れづらいようです。また、軽井沢という土地柄、別荘物件がよく売りに出ていたのですが、そういった物件の多くは、夏用物件で、壁が薄いなど冬を越すことが難しい造りになっています。内覧に行く度に、イエローゾーン/レッドゾーンはNG、夏用物件はNGなど、何かの学びを持ち帰ることになりました。
※1イエローゾーン: 土砂災害警戒区域のことで、土石流・地すべり・がけ崩れのリスクがあり、警戒避難体制の強化が必要な区域のこと
※2レッドゾーン: 土砂災害特別警戒区域の通称で、土砂災害の危険性が特に高く、人命に著しい危害が生じる恐れがある土地
– 自然の中で家を探すとなると、自然災害や環境に関する条件を考える必要があるのですね。
miroさん: はい。もう家を探していた最後の方は、なかなか見つからずかなり焦りました。諦めかけた時に、北欧建築の断熱構造でイエローゾーン/レッドゾーンにも入っていない今の家が見つかったんです。中古物件なのですが、築30年ほどしか経っていないので、そこまで大幅に傷んでいるというところもないのも良かったです。一部大きな虫の巣があった部分は工事してもらったのですが、今は少しずつ、彼と私、また友人の手も借りて、壁に色を塗ったりして、セルフリノベーションをしてゆっくり整えている最中です。
>>>後編へ続く
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