ぼーっとする、物忘れが増えた…それ、“むくみ脳”かもしれません|医師が解説
最近、「なんだか頭が重い」「集中力が続かない」「物忘れが増えた」と感じることはありませんか?それ、単なる疲れや加齢のせいではなく、“むくみ脳”が関係しているかもしれません。医師が解説します。
頭が重い、集中できない…その原因、“脳のむくみ”かも?
「むくみ」と聞くと、足や顔を思い浮かべる人が多いですが、実は脳の中でも水分バランスが乱れることがあります。医学的な「脳浮腫」とは異なり、ここでいう“脳のむくみ”とは、ストレスや睡眠不足などによって脳内の血流や老廃物の排出が滞っている状態を指します。
脳の中には「脳脊髄液」という液体が流れていて、老廃物を排出する役割を担っています。
しかし、ストレスや睡眠不足、塩分の摂りすぎ、ホルモンバランスの乱れなどが続くと、この流れが滞ることがあります。
その結果、脳内の水分代謝がうまくいかず、「むくんだような状態」になって、頭が重く感じたり、思考が鈍ったりすることがあるのです。
むくんだ脳は、神経伝達が鈍くなり、思考や記憶のスピードが落ちてしまいます。
「最近、集中できない」「頭がぼんやりする」というときは、脳の働きが一時的に低下しているサインかもしれません。検査で異常がなくても、生活リズムの乱れやストレスで脳の代謝が落ちている場合があります。睡眠や食生活、軽い運動を見直すことで、頭の重さやぼんやり感が改善することもあります。
ある40代女性のケースでは、長時間デスクワークを続け、寝不足や食生活の乱れが続いたことで、朝起きた瞬間から頭がぼんやり。休みの日もやる気が出ず、「脳が疲れてる感じ」と訴えていました。
検査で特別な異常は見つかりませんでしたが、生活改善と軽い運動で脳の代謝が活性化し、頭の重さや記憶力の低下が改善したのです。
脳がむくむ原因と、いますぐできるケア
では、なぜ脳がむくむのでしょうか? 主な原因は以下のようなものです。
睡眠不足
脳の老廃物は、睡眠中に排出されます。特に深い眠りの「ノンレム睡眠」時に、この排出が最も活発に行われるため、寝不足が続くと脳に疲れが蓄積しやすくなります。
ストレスや緊張
ストレスを感じると自律神経が乱れ、血流やリンパの流れが悪化します。
脳の血液循環も滞り、結果的に“脳のむくみ”を引き起こします。
塩分・糖分の摂りすぎ
塩分や糖分の多い食事は、体内の水分バランスを崩し、むくみを悪化させます。
特に夜のラーメンやスナック菓子は、翌朝の頭の重だるさに直結することも。
運動不足
体を動かさないことで血流が停滞し、脳への酸素供給も減少。
結果、老廃物の排出がスムーズにいかなくなります。
では、どうすれば、脳の代謝が滞った状態を防げるのでしょうか?
実は、ちょっとした習慣の積み重ねでかなり改善できます。
まず大切なのは、質のいい睡眠をとること。
寝る前にスマホを見続けるのは避け、照明を落として副交感神経を優位にするようにしましょう。
また、軽いストレッチや深呼吸も効果的。
デスクワーク中でも肩を回したり、深く息を吸って吐いたりするだけで、脳の血流がよくなります。
さらに、カリウムを含む食べ物(バナナ、アボカド、きゅうりなど)を意識して摂ると、余分な水分を排出しやすくなります。
もしカフェインをよく摂る人は、飲みすぎにも注意。カフェインは一時的に頭をスッキリさせますが、利尿作用が強く、体内の水分バランスを崩すことがあります。
ある男性会社員の例では、毎日3〜4杯のコーヒーを飲みながら夜遅くまで仕事をしていたところ、次第に集中力が続かず、朝起きても疲れが取れない状態に。
医師の指導で夜のコーヒーをやめ、湯船につかる習慣をつけたところ、1週間ほどで「頭が軽くなった」と実感したそうです。
まとめ |「脳のむくみ」を取れば、心も体も軽くなる
「最近、なんだか頭が働かない」「やる気が出ない」と感じるとき、それは“脳のむくみ”と呼ばれるような、脳の代謝や血流の滞りが関係しているかもしれません。
脳はとても繊細な臓器で、睡眠不足やストレスなどの小さな変化にも影響を受けやすいもの。
睡眠をしっかりとり、血流を良くし、バランスの取れた食事を心がける――そんな日常のケアが、脳を健やかに保つカギです。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く





