【旬のりんご】食べ過ぎ注意!お腹の不調や血糖値の変動も?適切な量は?管理栄養士が解説
秋を代表する果物のひとつ「りんご」。ふじや紅玉、王林などの人気品種が揃い、朝食やおやつ、デザートとして日常的に食べられています。栄養たっぷりのりんごですが、食べ過ぎると消化器の不調や血糖値の変動など、思わぬ体調不良につながることがあります。今回は管理栄養士の視点から、りんごの栄養と食べ過ぎに注意したい理由を解説します。
実は効能がたくさん!りんごが持つ栄養パワー
抗酸化作用の「ポリフェノール」
りんごの皮や果肉に含まれるポリフェノールは、体内の酸化ストレスを抑える働きがあり、動脈硬化や老化の予防に役立つといわれています。
疲労回復を助ける「果糖・ブドウ糖」
果糖やブドウ糖は吸収が早く、短時間でエネルギーを補給できます。特に運動後のや疲労を感じるときのリフレッシュに適しています。
便通改善に役立つ「食物繊維」
りんごに多く含まれるペクチンなどの水溶性食物繊維が腸内環境を整え、便通改善や血糖値の安定に寄与します。
むくみ予防に働く「カリウム」
カリウムは体内の余分な塩分排出を促し、むくみや高血圧の予防に役立ちます。
りんごの食べ過ぎで起こる不調
血糖値の急上昇
りんごに含まれる果糖やブドウ糖は吸収が早く、食べすぎると血糖値が急上昇することがあります。糖尿病や血糖管理中の方は摂取量に注意が必要です。
お腹の不調
食物繊維、とくに水溶性ペクチンは腸内で水分を吸収して膨張します。適量では便通を整えますが、大量摂取すると腹部の張りや下痢につながることがあります。
胃への刺激
酸味成分(有機酸)が胃酸分泌を軽く促進するため、空腹時や食べ過ぎによって胃もたれや胸やけを感じることがあります。
口腔・歯への影響
甘みと酸味により、頻繁に食べ過ぎると虫歯や酸蝕症のリスクが高まることがあります。食後は水で口をすすぐなどのケアが大切です。
りんごの皮をむくかどうか?特徴と注意点
皮ごと食べる場合
皮にはポリフェノールや食物繊維が多く含まれ、腸内環境の改善や抗酸化作用の恩恵をより受けやすくなります。ただし、大量に食べると消化器に負担がかかり、腹部の張りや下痢の原因になることがあります。
皮をむいて食べる場合
食べやすく甘みを感じやすくなりますが、皮に多い食物繊維やポリフェノールの摂取量は減ります。そのため満腹感を得にくく、結果的に食べ過ぎに繋がる可能性があります。
りんごの1日の適量
厚生労働省と農林水産省の《食事バランスガイド》では、果物の1日の目安量を約200 gとしています。りんごの場合、中サイズで1個(約200 g程度)が適量です。手のひらにのる程度の量を朝食やおやつに取り入れると、無理なく食べられます。
健康的にりんごを楽しむための工夫
・デザートとして小皿に盛り付け、最初から食べる量を決めておく。
・皮ごと食べる場合はよく噛んで満腹感を得る。
・午後など活動量が多い時間帯に取り入れる。
・糖尿病や血糖管理中の人は、一度に大量ではなく小分けで楽しむ。
まとめ
りんごはポリフェノールや食物繊維、カリウムが豊富で、美容や健康に役立つ秋の代表的な果物です。ただし、食べ過ぎると血糖値の急上昇や腹部の張り、胃もたれなどの不調につながることがあります。「中サイズ1個」を目安に、皮ごと食べるかむくかを目的に応じて選びながら、旬のりんごをおいしく楽しみましょう。
参考文献
文部科学省「食品成分データベース」りんご(皮つき/生)
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07176_7
厚生労働省「果物200 gのすすめ」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-01-003.html
厚生労働省「脂質異常症の食事」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-012.html
記事監修/亘美玲
管理栄養士。病院栄養士を7年経験後、食品会社で約15年間メディカルサプリメントや機能性表示食品の商品開発責任者として従事。2児の母で、自身の妊娠と出産、離乳食作りの経験から母子栄養の研究を重ね、産前産後ママの栄養サポート、栄養相談、料理教室、レシピ提案、執筆、栄養学講座の活動を行っている。離乳食や調理の基本についてSNSでも発信をしている。
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