乳がん治療中の梅宮アンナ、闘病生活・結婚・再発不安を赤裸々告白『死より髪を失うほうが怖かった』

乳がん治療中の梅宮アンナ、闘病生活・結婚・再発不安を赤裸々告白『死より髪を失うほうが怖かった』
写真提供/MICIN少額短期保険

「がんと共に生きる日々に、どう向き合えばいいのか」——。 10月のピンクリボン月間を前に開催されたMICIN少額短期保険株式会社主催のトークイベントで、乳がん治療中の梅宮アンナさんが登壇。美容、メンタルケア、そして結婚に至るまで、等身大の想いを語りました。

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体力をつけて臨んだ抗がん剤治療

梅宮さんは、乳腺の小葉(母乳をつくる部分)から周囲の組織に広がる乳がん「浸潤性小葉がん」を発症しステージⅢと診断されました。術前の抗がん剤治療を経て右乳房全摘術、放射線治療を受け、現在はホルモン療法と抗がん剤治療を併用しています。

最初に食生活の変化を聞かれると「2023年からダイエットを始めて1年で23㎏減量し、罹患前は56㎏でした。主治医から抗がん剤治療は体力が必要と言われて15㎏増量し、治療を乗り切りました。今は絶対だめと制限している食品はないですが、以前はコーヒーにスティックシュガー3本、コーヒーフレッシュ8個を入れていたので、再発防止を考えて良くないと思う食習慣は改めた」と言います。

患者になってわかった、ウィッグや術後の下着のニーズ

ファッションリーダーとして長きにわたり活躍してきた梅宮さん。治療でアピアランス(外見)が変化することに強い戸惑いを覚えたそう。「がんと言われたことより、抗がん剤治療の副作用で体中の体毛がなくなると言われたことが一番ショックでした。私自身、髪型や髪色にすごくこだわって生きてきたので、そこをごっそり取られちゃうとなったらどうしたらいいのかなって。死んじゃうかもしれない怖さより髪の毛がなくなるほうが怖くて、10日間ぐらい泣いちゃいました」と振り返ります。

梅宮さんは以前からSNSで自身のライフスタイルを発信してきましたが、「髪の毛がない姿を投稿するより、素敵なウィッグを着けてメイクや洋服も普段通り楽しんでいる姿を見せるほうが、こんなウィッグがあると知ってもらえるし、がんと闘っている人に勇気を与えられると思い、髪の毛のない姿は絶対に投稿しないと決めました」

医療用ウィッグについて感じたことは、「人毛のウィッグはとても高価でびっくりしました。さらに私は髪の色をハイトーンにしていますが、既存の商品は黒髪ばかり。そこでリーズナブルで、トレンドに合ったウィッグを作ってくれる会社を探し、4種類のスタイルを揃えました。医療用ウィッグの助成金制度を導入している自治体もあるので活用してみてください」とアドバイスも。

また全摘手術後の下着選びに困ったエピソードや、乳房再建についても本音を披露。「術後、傷口やその周りが痛くて下着すら当てられませんでした。勧められた前開きのブラジャーも合わず、日本には理想的なものがなくて。すごく困っていたらアメリカに傷口に触らない片方だけのブラジャーがありオンラインで買えたので、それで対応しました。昨年11月に手術をして、私自身がそのブラジャーから離れたのが今年6月ぐらい。今は通常のブラジャーを全摘手術した右側だけ腕を通さずにしています。乳房の再建はまだ考えていません。手術前は絶対に再建するべきと思っていたけど、実際胸をなくしたら、必ずしも胸が両方揃っていなくてもいいと考えるようになり、胸がなくても堂々と生きている姿を見て誰かが楽になったらいいなと思っています」

治療には前向きでも、「検査は毎回怖い」と本音も

抗がん剤治療に伴い大切な髪の毛が抜けたとき、どうやって気持ちを立て直したかという質問に「SNSでそのときの気持ちを包み隠さず公表したら、想像以上に世の中の人からコメントをいただき、それがモチベーションになりました。今までの仕事はなくなっちゃいましたが、がんに関わる仕事をしたいという気持ちが強く、実際にこうやって仕事をいただけて感謝しています」

前向きな言葉と行動力が印象的ですが、病気に対する不安は絶えないと言います。「今は月に一度病院に通い検査を受けていますが、毎回怖いです。先月は大丈夫でも、私の体の中で何が起こっているか自分ではわからないですから。腫瘍マーカーの数値が高かったらどうしようと不安になるし、異常なしでほっとしても3日後には来月はどうなるかなとまた心配になります」と患者が直面するリアルな気持ちを語る場面も。

「私、誰かと一緒にいたい」素直になった先にあった結婚

2025年5月にアートディレクター世継恭規さんと出会って10日で結婚し、ハッピーなニュースを届けてくれた梅宮さん。周りから早すぎるのではという声があったと言います。

「私の経験上、2、3年付き合っても終わってしまった出会いはあったし、出会い方や付き合った期間は関係ないと思っています。結婚して4カ月しか経っていませんが、価値観が合わないと思うことはいっぱいあります。そうしたら旦那さんが、価値観というものは誰も合わないよと。違う価値観同士が合わさって、新しい価値観を生み出すんだよと言ってくれました。そういうことに気付かせてくれる相手と出会ったんだと思います。私は何事にも意味があると思っていて、今回の出会いもそうだと感じています。

病院の待合室や駐車場で夫婦を見ると、いいなとずっと思っていました。友達や親が一緒にいてくれても、男性が埋めてくれるものはまた違うんですよね。そこを考えるとちょっとしんみりしちゃう自分がいて。私、誰かと一緒にいたいんだとすごく思ったんです。今までは私、おひとり様で一生、生きていきますというスタンスだったので、男性を誰も近寄らせなかったんです。誰かと一緒にいて傷つくのも嫌だと思っていたし。結婚してみて今まで一人で考えて、一人で結果を出そうと頑張っていたんだなと思いました。二人で暮らし始めて譲ったり、譲られたり、協力して生活するトレーニングの最中です」

梅宮アンナ

がん患者に優しく、がんでも諦めなくていい社会に

最後の話題は、がん公表後に周りの反応や社会の対応で戸惑ったこと、その経験をもとに改善していきたいことについて。

「今の時代、がんは簡単に治るから大丈夫と言われて戸惑いました。そんな軽々しく言わないでほしかった。どれだけ治療が長いか知ってる?何が大丈夫なの?大丈夫じゃないかもしれないじゃんて。時代が変わってもがんについて正しく理解されていないと思ったので、私ががんはこういうものだと言わないといけないと思いました。そしてがんに対する社会の捉え方を新しくして、がんを公表しても仕事を失わず、変わらずに生きられる世の中を作っていきたい」

退院後、体中が痛くてマッサージを予約したら、術後を理由に断られたことがあり、「がん患者に寄り添う体制が、様々な場面で整っていないんだと感じました。こういう世の中じゃいけないと思ったので、私なりにより良い方向に改善していきたいです」

そして改めて治療の日々を振り返り、「治療がちゃんとできたことに感謝しています。やっぱり生きているってすごい。2024年6月に自分の胸に異変を感じ、病院に行くのを後回しにしなかったから今があると思います。自分の選択ですべてが変わっていくし、1分1秒を無駄にできない病気なので、怖がらずに病院に行き治療を受けて前に進んできてよかった」と涙ながらに話してくれました。

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取材・文/北林あい
写真提供/MICIN少額短期保険

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