コレステロール値が正常でも安心できない! “血管詰まり予備軍”を見抜くポイントとは?医師が解説

コレステロール値が正常でも安心できない! “血管詰まり予備軍”を見抜くポイントとは?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-09-21

「健康診断でコレステロール値は問題なし。だから血管は大丈夫!」と、安心していませんか?それはちょっと危険な考え方かもしれません。医師が解説します。

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コレステロール値が正常でも安心できない!“血管詰まり予備軍”を見抜くポイント

血管が詰まる原因といえば「悪玉コレステロール(LDL)」が有名ですが、コレステロール値が正常だからといって、血管が元気とは限りません。

つまり、数値だけでは見抜けない“隠れた血管トラブル”が進行している場合があるということ。

血管の老化は、最初は静かに、こっそり進みます。
たとえるなら、水道管の内側に少しずつサビがたまっていくイメージです。

外からは見えないけれど、内部では確実に汚れや詰まりが進んでいるのです。

実際、動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞や脳梗塞は、「ある日突然」発症することが多いですよね。

でも、よく考えてみると「突然」ではなく、それまでの生活習慣や体質の積み重ねが静かに血管を傷つけ続けてきた結果なのです。

怖いのは、こうした血管トラブルがコレステロール値が基準値内でも進行していることがあるという点。

つまり、健康診断の結果が「異常なし」でも、油断はできないというわけです。

血管の詰まりは“炎症”から始まる

血管が詰まるメカニズムはとてもシンプルです。

血管の内側に小さな傷がつき、そこに悪玉コレステロールや白血球が集まり、炎症を起こします。

この炎症が慢性的に続くと、少しずつプラーク(脂肪のかたまり)がたまり、血管が狭くなってしまいます。

血管
血管の断面イメージ/Adobe Stock

ここでポイントなのが、「血管の傷つきやすさ」や「炎症の起こりやすさ」はコレステロール値だけでは決まらないということ。

たとえば、下記のような要因も、血管をジワジワと傷つけていくのです。

  • 喫煙
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • ストレス
  • 睡眠不足

だから、数値は問題なくても、生活習慣が乱れている人は“血管詰まり予備軍”の可能性大。

「コレステロールは正常だから大丈夫」と思い込むのは危険なわけです。

血管が詰まりやすい人の特徴

血管のトラブルが進みやすい人には、いくつかの共通点があります。

もし以下に当てはまるものが多いなら、ちょっと注意が必要です。

  1. 朝起きたときに手足がしびれることがある
  2. 階段を上がるとすぐに息切れする
  3. なんとなく疲れやすい、だるい
  4. 親や兄弟に心筋梗塞や脳梗塞を経験した人がいる
  5. 喫煙習慣がある
  6. お酒を毎日のように飲む
  7. 外食が多く、野菜不足になりがち
  8. 仕事や家事でストレスが多い

こうしたサインは、血管がすでに悲鳴を上げている可能性があります。

まだ症状が軽いうちに生活を見直すことが、将来の大きな病気を防ぐカギになります。

健康診断だけでは分からないサインとは?

「健康診断で問題なし」と言われても、実はそれだけでは安心できません。

なぜなら、健康診断はあくまで“数値を測る”だけだからです。

血管の状態は、コレステロール値や血圧、血糖値といった数値だけでは見えない部分がたくさんあります。

ここでは、見逃しやすい“血管トラブルのサイン”について見ていきましょう。

1. 手足の冷えやしびれ
「冷え性だから仕方ない」と思いがちですが、実はこれ、血流が悪くなっているサインかもしれません。
特に、片方の足だけが冷たい、しびれる、感覚が鈍いという場合は要注意です。
これは動脈硬化が進んで血管が狭くなっている可能性があります。

2. 歩くと足が痛くなる
歩いているときにふくらはぎが痛くなり、少し休むとまた歩けるようになる。
この症状は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれます。
この場合、足の動脈が詰まり気味になっている可能性が高いです。
「歩き疲れかな」と思って放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。

3. 倦怠感や息切れ
血管が詰まり始めると、酸素や栄養が体に行き渡りにくくなります。
その結果、軽い動作でも息切れがしたり、なんとなくだるいと感じることがあります。
「年のせいかな」「疲れがたまっているだけかな」と思いやすいですが、こうした症状も血管トラブルのサインかもしれません。

4. 家族歴がある場合は特に注意
親や兄弟が心筋梗塞や脳梗塞を経験している場合、遺伝的に血管が詰まりやすい体質である可能性があります。
健康診断の数値が良くても、こうした家族歴がある場合は、より積極的な予防やチェックが必要です。

<血管の状態を詳しく調べる検査>

もし「自分は大丈夫かな?」と不安に思ったら、健康診断以外にもこんな検査があります。

  • 頸動脈エコー:首の血管の状態をチェック
  • ABI(足関節上腕血圧比)検査:足の血管が詰まっていないかを調べる
  • CT検査:血管の内側にプラークがどれくらいたまっているかを確認

これらは簡単で体への負担も少ない検査なので、気になる方は一度相談してみるといいでしょう。

まとめ

コレステロール値が正常だからといって、「自分は血管トラブルとは無縁」とは限りません。
血管は沈黙の臓器ともいわれ、トラブルがあってもなかなか気づきにくいもの。
だからこそ、数値だけに頼らず、自分の体のちょっとした変化に耳を傾けることが大切です。

特に、以下のようなサインがあれば、早めにチェックすることで大きな病気を未然に防ぐことができます。

  • 手足の冷えやしびれ
  • 階段での息切れ
  • 謎のだるさや疲れ
  • 家族歴がある

血管は、人生を通じて私たちの体を支えてくれる大切な通り道。
日々の生活習慣や早めの気づきが、血管を若く健康に保つカギになります。

「大丈夫だろう」と油断せず、自分の体をちょっと気にかけてあげることから始めてみましょう。

その一歩が、未来の自分を守ることにつながるはずです。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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