悪玉コレステロール、なぜ悪い?コレステロール値が高い人が意識すべき食事のポイント|管理栄養士解説

悪玉コレステロール、なぜ悪い?コレステロール値が高い人が意識すべき食事のポイント|管理栄養士解説
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中村友也
中村友也
2025-07-23

健康診断の結果を見て、「LDLコレステロールが高い」と言われたことはありませんか? このLDLコレステロール、いわゆる「悪玉コレステロール」は、数値が高すぎると動脈硬化などのリスクとなるため注意が必要です。  この記事では、悪玉コレステロールとは何か、なぜ問題になることが多いのか、そして日々の生活でどのようにコントロールしていくべきかについて解説します。

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悪玉コレステロールって何? 

悪玉コレステロールとは、正式には「LDL(Low Density Lipoprotein)コレステロール」と呼ばれる脂質の一種です。
LDLコレステロールは主に肝臓で作られ、体内の隅々の細胞までコレステロールを運ぶ役割を担っています。
コレステロール自体は細胞膜やホルモンの材料として必要なものですが、LDLが過剰になると血管の壁にコレステロールが溜まりやすくなります。
これが動脈硬化の原因となるため、「悪玉」と呼ばれています。 

悪玉コレステロールが増える主な原因としては、

・飽和脂肪酸の多い食事(バター、ラード、肉の脂身など)
・トランス脂肪酸の摂取(マーガリン、加工食品など)
・運動不足
・過度な飲酒
・遺伝的な体質 

などが挙げられます。特に食生活は大きな影響を与える要因の一つです。 

悪玉コレステロールが原因となる病気 

悪玉コレステロールが高い状態が続くと、血管の内側に脂質が溜まり、動脈が硬く狭くなる「動脈硬化」が進行します。
これにより血流が悪化すると、さまざまな重大な病気を引き起こす可能性があります。 

動脈硬化がリスクとなる疾患には、

・心筋梗塞:心臓の血管が詰まり、心臓の筋肉が壊死する
・脳梗塞:脳の血管が詰まり、脳細胞が壊れる
・狭心症:心臓の血流が一時的に不足して胸の痛みを引き起こす
・急性動脈閉塞症:手足の血流が悪くなり、しびれや冷感を生じる 

などがあります。
いずれも突然発症することも多く、命に関わることもあるため、予防が重要になります。

悪玉コレステロールを増やさないためのポイント 

悪玉コレステロールをコントロールするためには、生活習慣を見直すことが基本となります。
なかでも食事と運動は大きな影響を与えるため、日常生活でしっかり意識することが大切です。 

食事のポイント 

悪玉コレステロールを増やさないためには、食事の際に次のようなことを意識しましょう。

◆飽和脂肪酸の摂取量を減らす
飽和脂肪酸とは、肉の脂身やバターなど、常温で固体の油脂を構成する成分です。
飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やす効果を持っているため、過剰摂取には注意が必要です。
お肉は脂身の少ない部位を選ぶ、バターなどの油脂製品は食べ過ぎないなどの工夫を心がけましょう。

◆食物繊維をしっかり摂る
食物繊維はコレステロールの排出を助ける効果を持っているため、積極的に取り入れましょう。
食物繊維は野菜、海藻類、きのこ類、豆類などに豊富に含まれています。
野菜は、食物繊維やビタミン、ミネラルの重要な摂取源となるため、一日350gの摂取が望ましいとされています。
生野菜の場合は両手いっぱい、加熱した後は片手いっぱいが目安ですので、1日でそれだけの野菜が摂取できているか確認してみましょう。

◆青魚を積極的に食べる
青魚に含まれるEPAやDHAは中性脂肪を下げる作用があり、結果として動脈硬化の予防に役立ちます。一部ではHDLコレステロールを増やす効果も報告されていますが、主な働きは中性脂肪の低下です。肉に偏った食事をしている方は、魚も組み合わせた食事に変えてみましょう。

◆トランス脂肪酸を避ける
一部の加工食品や揚げ物用の業務用油脂などに含まれるトランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やすリスクがあるため注意が必要です。近年は日本のマーガリンなど市販品での含有量は低下傾向にありますが、表示の確認を心がけましょう。
過剰に避けるのではなく、これらの食品の使用頻度に注意するように意識しましょう。

◆アルコールは適量を守る
アルコールの過剰摂取は、中性脂肪の増加や肝機能への負担を通じて動脈硬化のリスクを高めるため、適量摂取を心がけましょう。
アルコールの適量は、エタノール換算で約20gとされています。
これは、ビール(アルコール5%)1本(500ml)や、日本酒(アルコール15%)1合(180ml)相当です。
普段からこれ以上の飲酒をしている方は、節度ある飲酒を心がけましょう。

運動のポイント 

運動には、内臓脂肪の減少や善玉コレステロールの増加など、動脈硬化予防効果があります。
以下のようなポイントを押さえて無理なく運動をしてみましょう。

◆有酸素運動を習慣化する
有酸素運動は脂肪を効率的に消費できるため、ぜひ習慣化しましょう。
有酸素運動を行うときは、ジョギングなど息が上がりすぎないものを選択し、1回20分〜30分以上を目標にしましょう。
有酸素運動は時間の長さにかかわらず脂肪もエネルギー源として使われるため、継続的に行うことが大切です。週に合計150分程度の中強度運動が推奨されています。

◆筋力トレーニングを取り入れる

筋肉量が増えると代謝が上がり、脂質の処理能力も向上するため、可能であれば有酸素運動に加えて習慣化しましょう。
筋トレを行う際は、呼吸ができる程度の負荷を目安としましょう。強度の高すぎる筋トレは、怪我の原因となりえます。

◆日常的に体を動かす
エレベーターではなく階段を使う、こまめに立ち上がるなど、日常的な小さな工夫でも十分効果があります。
時間を作って運動や筋トレをすることは心理的にも負担となり得るため、そういった方は日常生活で運動強度を増やしてあげましょう。

まとめ

悪玉コレステロールが高いことは、将来的な心臓病や脳血管疾患のリスクを高めます。 ですが、食事や運動といった日々の生活を意識的に整えることで、数値を改善することは十分に可能です。 
今日からできることを少しずつ取り入れ、未来の健康につなげていきましょう。 

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