善玉コレステロールって?脂質異常症の予防に必要なコレステロールと食事の関係性は|管理栄養士解説
善玉コレステロール(HDLコレステロール)という言葉を聞いたことがありますか? 健康診断などでよく目にする項目の一つですが、一体何が「善」なのでしょうか? また、悪玉コレステロールとは何が違うのでしょうか? この記事では、そんな善玉コレステロールとはどんなものか、減ってしまうことで起こりうる疾患や減らさないための生活習慣について紹介していきます。
善玉コレステロールって何?
善玉コレステロールは、正確にはHDLコレステロールとよばれ、各組織に存在する余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割を持っています。
血管内などに沈着したコレステロールも回収してくれ、動脈硬化を予防してくれるため、「善」玉コレステロールと呼ばれています。
逆に、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)は、肝臓から各組織にコレステロールを運ぶ役割を持っており、血管内にコレステロールを沈着させることで動脈硬化のリスクとなるため「悪」玉コレステロールと言われています。
善玉コレステロールが低いことで起こりうること
善玉コレステロールは、中性脂肪や悪玉コレステロールのように数値が高い=生活習慣病リスクが高いわけではなく、数値が低い=生活習慣リスクとなる数値です。
善玉コレステロールが低いと動脈硬化が進行し、以下のような疾患のリスクが高くなります。
●心筋梗塞:心臓の血管が詰まり、心臓の筋肉が壊死する
●脳梗塞:脳の血管が詰まり、脳細胞が壊れる
●狭心症:心臓の血流が一時的に不足して胸の痛みを引き起こす
●急性動脈閉塞症:手足の血流が悪くなり、しびれや冷感を生じる
そのため、善玉コレステロールを増やす(減らさない)ことが重要になります。
善玉コレステロールが低下する原因と対策
善玉コレステロールは、中性脂肪の値と反比例することが多く、中性脂肪が増加すると善玉コレステロールが低下します。
善玉コレステロールが低下する主な要因としては、
●肥満
●喫煙
●運動不足
などがあります。
そのため、これらを改善することで数値の改善が見込めます。
では具体的に、食事、運動においてはどのように対策することが必要なのでしょうか?
食事管理のポイント
食事管理のためには、以下のような点に注意することが必要です。
●高カロリーの食事を続けない
高カロリーの食事の継続は、肥満の原因や中性脂肪値の上昇を引き起こし、善玉コレステロールの値が下がる可能性があります。
肥満体型の方や過食気味の方は、摂取エネルギー量に注意し、1日3回主食、主菜、副菜を揃えた適量の食事を心がけましょう。
また、揚げ物などのカロリーの高い料理は摂取頻度に注意が必要です。
●糖質に偏った食事を避ける
糖質の過剰摂取は中性脂肪値の上昇を引き起こし、善玉コレステロール値の低下の原因となる可能性があります。
ご飯やパン、麺などの糖質を主体とした食品、お菓子やジュースなどの砂糖が多量に含まれた食品の過剰摂取に注意しましょう。
特に、丼物や麺類など単品の料理は糖質に偏った食事となりやすいため要注意です。
●適正飲酒を心がける
飲酒には、善玉コレステロールの数値を上昇させるという研究もありますが、動脈硬化や肥満などのリスクともなるため、適正飲酒が望ましいです。
アルコールの適量は、エタノール換算で約20gとされています。
これは、ビール(アルコール5%)1本(500ml)や、日本酒(アルコール15%)1合(180ml)相当です。
適正飲酒を心がけることはもちろん、特に肥満の方などは動脈硬化のリスクが高いため、飲酒を控えることをおすすめします。
運動のポイント
運動は、善玉コレステロールの数値を上昇させる効果があると言われているため、積極的に生活に取り入れていきましょう。
ただし、運動する場合はやみくもに始めるのではなく、以下のポイントを意識することで無理なく継続できます。
●有酸素運動を意識する
運動をする際は、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を取り入れましょう。
有酸素運動は、少し息が上がる程度で継続できる負荷である必要があります。
無酸素運動では主に糖質がエネルギー源となりますが、運動後の代謝亢進によって間接的に脂肪燃焼効果が期待できる場合もあります。
ちなみに、運動時は、糖質を優先的にエネルギー源とするため、脂肪をエネルギー源とするためには、最低でも20分〜30分程度の継続が必要です。
継続時間が短いと脂質の利用が見込めないため、まずは1日30分、週に3回を目標に続けましょう。
●日常生活で活動量を増やす
無理なく運動習慣をつけるためには、日常生活の中で運動できるように工夫をすることも効果的です。
例えば、通勤時に一駅分歩く、エスカレーターではなく階段を使う、こまめに立ち上がるなど、ちょっとした工夫でも活動量を増やすことができます。
●筋肉量を増加させる
有酸素運動のみならず、定期的な筋トレなどを行い筋肉量を増加させることで、基礎代謝が高まり脂質をエネルギー源として消費しやすくなります。
スクワットや腕立てなど、自宅でできる簡単なものからでも全く問題ないので、空いた時間に取り入れてみましょう。
ただし、急に筋トレを始めると怪我の原因となりますので、まずは少ない回数から始めてみましょう。
まとめ
善玉コレステロールは、動脈硬化を予防するために必要なものですが、肥満や運動不足などにより数値が減少します。
それにより動脈硬化のリスクが上昇するため、食事の改善や運動習慣の確立、禁煙などによって数値の低下を防ぎ、疾患リスクを低減してあげましょう。
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