【猛暑が人間の老化を加速させる!?】最新研究が示唆

【猛暑が人間の老化を加速させる!?】最新研究が示唆
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2025-09-12

熱波に繰り返しさらされることで、人間の老化が加速する可能性が示された。

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気候変動により発生頻度が増している熱波が、数十億人の健康に広く長期的な損害をもたらす可能性があると、科学者らが警告している。研究者らによれば、その影響は喫煙や飲酒、不健康な食事、運動不足による健康被害とほぼ同等だという。熱波が短期的に早期死亡を急増させることは既に知られており、例えばイングランドでは、6月の熱波に関連して約600件の早期死亡が確認されている。今回の新たな分析は、熱波による長期的影響を評価した初の研究の一つとされる。

熱波が生物学的年齢を押し上げる

研究者たちは台湾の2万5000人を15年間追跡調査し、熱波にさらされた日数と、総合的な健康状態の指標である生物学的年齢を比べた。各被験者の生物学的年齢は、血圧、炎症、コレステロール、肺・肝臓・腎臓機能など、一連の医学検査結果を用いて判定された。研究者らはこの生物学的年齢を実年齢と比較し、熱波曝露が加齢の加速と関連するかを検証した。

その果、経験した熱波の日数の総数が加齢の加速に最も大きな影響を与えることが判明した。例えば2年間で熱波を4日多く経験した人は、生物学的年齢が約9日分進んでいることが分かった。特に屋外で働く肉体労働者は影響が大きく、生物学的年齢が33日分も進んだなぜ長期にわたる高温が加齢を早めるのかは不明だが、DNA損傷がその一因である可能性が高いと見られている。

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生物学的年齢が進む日数は少なく感じられるかもしれないが、研究者たちは、この変化がわずか2年間で生じたものだと強調しており、現在は、熱波が一生にわたって老化にどのような影響を与えるのかについて調査を進めている。研究を主導した香港大学のツイ・グオ博士は「熱波への曝露が数十年積み重なれば、健康への影響は今回の報告以上に深刻化する。」とし、「熱波は頻度と持続時間も増加しているため、将来の健康被害はさらに拡大する可能性がある。」と述べた。今回の調査対象となった25,000人の成人は、平均的に一般人口より若く、健康で、教育水準が高かった。高齢で病状のある人々は暑さに弱い傾向があるため、高齢化社会における影響は今回の調査結果よりもさらに大きくなる可能性がある。

さらなる研究の必要性

本研究では、被験者の体重や喫煙・運動習慣、糖尿病やがんなどの病歴に加え、居住地域のエアコン普及率も考慮した。しかし、屋外での滞在時間や住宅の断熱性、個人ごとのエアコン使用状況などの関連データは得られなかったため、研究者らは今後さらなる調査が必要だと指摘している。

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エアコン以外の対策の必要性

研究チームは、熱波の影響は世界中のすべての人に及び、生物学的年齢の上昇が死亡リスクの増加を強く示す指標であることから、世界人口全体への影響は非常に大きいと指摘している。また、今回の研究結果は、米国の高齢者を対象に屋外の高温が老化に与える影響を調査した別の最近の研究とも一致している。

熱波による健康リスクへの懸念が広がる中で、気候変動や熱波の悪化を防ぐためには、エアコンの冷却効果だけに頼るのではなく、より持続可能な方法を併用する必要があるとオーストラリアのマッコーリー大学の環境衛生科学者ポール・ベッグス教授は指摘する。「エアコンは屋外に熱を排出するため、エアコンを使えない人たちにとっては状況がさらに悪化します。」と述べている。

出典

https://www.theguardian.com/environment/2025/aug/25/heatwaves-making-people-age-faster-study-suggests

https://www.newscientist.com/article/2493692-experiencing-heatwaves-may-make-you-age-faster/

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