カリウムは悪者?体内の浸透圧を調整するために必要なカリウムの働きと危険性|管理栄養士が解説

カリウムは悪者?体内の浸透圧を調整するために必要なカリウムの働きと危険性|管理栄養士が解説
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中村友也
中村友也
2025-09-06

細胞の浸透圧の調整や、神経伝達など生体内で様々な役割を担っているカリウム。 カリウムはナトリウムと平衡を保っているため、カリウムを摂取するとナトリウムが排泄され、血圧低下にも効果を発揮します。 この記事では、そんなカリウムの体内での働きや、不足、過剰摂取による影響、豊富に含む食品などを紹介していきます。

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カリウムってどんな栄養素?

カリウムはミネラルの一種で、細胞内に多く存在しており、主に細胞の浸透圧を調整したり、水分を保持したりする役割を持っています。他にも、神経刺激の伝達や、心臓や筋肉の機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きもしています。また、カリウムはナトリウムと相互に作用しており、カリウムを摂取すると腎臓でのナトリウムの再吸収(尿中に排泄される物質を腎臓で再度体内に吸収すること)が抑制され、ナトリウムの排泄が促され、血圧を下げることにつながります。

このことから、基本的には身体によい影響を与えることが多いミネラルですが、腎臓が悪い方などは、摂取量に注意が必要な栄養素です。

カリウムの不足や過剰摂取による影響とは

カリウムは動物性食品、植物性食品のどちらにも豊富に含まれているため、通常の食事ではほとんど欠乏することはありません。しかし、激しい下痢や嘔吐などにより水分や消化液を大量に損失した場合は、欠乏する可能性があります。カリウムが欠乏すると、脱力感や筋力の低下、食欲不振などを引き起こす可能性があります。

一方、腎機能が低下している方などの場合は、過剰摂取に注意が必要になります。カリウムは水に溶けやすい性質を持っているため、過剰に摂取した分は尿として排泄されます。しかし、腎機能が低下している場合、カリウムがうまく尿中に排泄できず、体内に蓄積してしまい高カリウム血症となります。

高カリウム血症になると筋肉の収縮が調節できなくなり、四肢のしびれや心収縮の異常、最終的には心臓を動かす心筋の収縮が停止し、心停止に繋がる危険もあります。そのため、腎機能の低下がみられる方は、カリウムの過剰摂取に注意が必要です。

カリウムの摂取目標量とは?

カリウムの必要量は、「特定の集団の栄養状態を維持するのに十分な量」とされる「目安量」と、「生活習慣病予防のために取るべき栄養素の量」である「目標量」という数値が定められています。

実際に、カリウムの目標量はどのくらいでしょうか?

カリウムの必要量(mg/日)

年齢 男性 女性
目安量 目標量 目安量 目標量
18〜29歳 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
30〜49歳 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
50〜64歳 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
65〜74歳 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
75歳以上 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上

2019年の調査では、カリウムの平均摂取量は2,299g/日という結果が出ています。

男性は目安量に届いていないものの、不足することが多い栄養素とは言えなさそうです。

カリウムを豊富に含む食材とは

カリウムは、藻類や果実類、芋類などに豊富に含まれています。

実際に我々が普段目にする食材の中で、カリウムを豊富に含むものにはどんなものがあるでしょうか?

カリウムを豊富に含む食品

食品名 100gあたりのカリウム量(mg)
刻み昆布 8,200
ほしひじき(乾) 6,400
あおさ(素干し) 6,100
切り干し大根 3,500
焼きのり 2,400
ひきわり納豆 700
さといも 640
さわら 490
生ハム 470

これらの食品にはカリウムが豊富に含まれているため、普段の食事に取り入れて上げましょう。ただし、腎機能が低下している方は、これらの食材の摂取量には注意が必要です。

まとめ

浸透圧の調整や神経伝達、筋収縮など体内で様々な役割を果たしているカリウム。

一般的な食事をしていれば不足や過剰摂取の心配はありませんが、腎機能が低下している方などは過剰摂取に注意が必要です。腎臓に異常がなく、血圧が気になる方などはぜひ積極的に普段の食事にカリウムを豊富に含む食品を取り入れてみてください。

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