「男だって友人と語り合いたい!」米NY&LAで男子会&サークル活動が注目を集める背景
アメリカでは最近、男性を対象とした男子会、サークル活動が注目されています。ニューヨーク、ロサンゼルスという全米2大都市で行われているウォーキング・グループを通して、男性は何を語らい、何を求めているのでしょうか。
男性が孤立しているのはアメリカも一緒?
日本では数年前「独身おじさん友達いない問題」が話題になりました。会社以外で友人と呼ぶことができる人がほとんどいない中年男性の孤独や孤立をテーマに、ニュースや漫画などで取り上げられ、社会的な関心を集めました。
アメリカ在住の筆者はその時、これは特段日本人だけの悩みではなく、アメリカ人にも共通するものだと思い、記事で発信しました。
アメリカ社会でも独身男性は職場以外での付き合いが少ない傾向にあります。既婚者は家族優先となり、友人との交流はさらに減ります。フレンドリーな文化に見えていても、深く付き合える友人は限られている、ということもあるのです。
孤独と男女間の心理の違い
アメリカの ピュー研究所の調査(2025年1月発表) によると、アメリカの成人の16%(約6人に1人)が常に孤独を感じたり周囲から孤立していると答えています。時々孤独を感じる人は38%(約4人に1人)です。孤独を感じることが多いと回答した男女比はほぼ同じですが、女性は精神的なサポートを求めてより広いネットワークに頼りやすいそうです。それに対し男性は、社会的なつながりや精神的サポートを求めることが低い傾向にあります。
このような分析を見て、筆者は世界的なベストセラー本、ジョン・グレイの著書『Men Are from Mars, Women Are from Venus』(邦題:ベスト・パートナーになるために―男は火星から、女は金星からやってきた)を思い出しました。この本には、男性と女性は根本的に異なり、女性というのは誰かに話を聞いてもらうことで気持ちを整理する傾向があるのに対して、男性というのはストレスや問題に直面すると解決のために「殻にこもる」傾向があると説明されています。
男性は自分で解決しようとする傾向が強いからこそ、問題を抱え込みがちです。この心理特性が、男性の孤立や友人作りの難しさにつながっていることもあるでしょう。
ウォーキングで取り戻す男同士の友情
こうした孤立を解消する活動の一つとして、2024年にニューヨークで結成されたウォーキング・グループ「Walking Talking Men」が全米で注目されており、2025年には米NBC局やビジネスインサイダーなどが次々に報じています。
当地に住む筆者は、セントラルパークで男性同士のウォーキンググループらしき集団を幾度となく見かけていたので、なるほどと合点しました。
「Walking Talking Men」では、知らない男性同士が週に数回会って、歩きながら日々の出来事や悩みを語り合うサークル活動とのこと。ルールはいたって簡単。
- 政治や宗教の話は禁止
- 自分らしくいる
- 守秘義務を守る
参加費は無料で、参加へプレッシャーをかけられることはなく、自分に合わなければ参加不要と参加のハードルは決して高くありません。参加者はただ歩くだけでもOKとのこと。参加を通じてより理解されたと感じ、結婚生活や職場での人間関係にも良い影響が出ていると報告しています。
2025年に入り、同じ悩みを抱えていた知り合いによりロサンゼルス支部も立ち上がり、参加者は徐々に増えているそうです。
「Walking Talking Men」は、なぜ政治の話題がNGなのかについて、「政治を話し合う場はほかにもたくさんある」「政治の話をこのような活動の場ですると、ほかの会話を阻害する」と説明しています(公式FAQ より)。
男性に必要なサードプレース
このように最近注目されている男性オンリーの活動ですが、つながりを求めて男性同士が集まり語り合うこと自体は、歴史的に社交クラブが開催されていることからもわかるように、決して新しい現象ではありません。ウォーキング活動というコンセプト自体も100年以上前から存在していたもののようです。
ただ近年の傾向として、感情的ケアやつながりを求め、ただ歩いて語り合おうとする男子会が注目されているのです。
ある報道で「男性には、このような家でも仕事場でもないサードプレースが必要」という声が聞こえてきました。このウォーキング&トーキング活動は、スターバックスではない「もう一つのサードプレース」として今後さらに広がっていくでしょうか。
出典
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