メンタルが強い人は朝スマホを見ない?精神科医がすすめる「心を守る朝習慣」
精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。
日々のストレスにうまく対処できる人、心が揺れにくい人――いわゆる「メンタルが強い人」には、いくつかの共通点があります。そのひとつが、「スマートフォンと距離を取る時間を意識的に作っていること」私たちは無意識のうちにスマホを手に取り、膨大な情報にさらされ続けています。SNS、ニュース、メッセージ…。便利な一方で、心を休める時間はどんどん奪われていきます。なかでも、最も注意したいのが「朝」。実は、メンタルが強い人は“朝いちばんでスマホを見ない”習慣を持っているのです。
なぜ朝スマホが心に悪いの?
人の脳や自律神経は、目覚めた直後がもっとも繊細なタイミングの1つ。リラックス状態の副交感神経から、活動状態の交感神経へと、自然にスイッチを切り替えていく必要があります。しかし朝からスマホを開き、SNSや仕事のメール、ニュースなどで大量の情報を浴びてしまうと、脳は一気に「緊張モード」に突入。交感神経が急激に活性化し、不安や焦りのスイッチが入りやすくなってしまうのです。特に、繊細さや共感性の高い人は刺激にも敏感。LINEの未読、怒りのこもった投稿、ネガティブなニュース…ほんの些細なことが、一日中ずっと気になってしまうことも。だからこそ、「朝はスマホを見ない時間」をつくることが、心を守る習慣につながっていきます。
朝スマホをやめると、何が変わる?
朝スマホを断つことで得られるメリットは、想像以上にたくさんあります。
・不安や焦りのスイッチが入りにくくなる
・自分の気持ちや体調を冷静に見つめられる
・一日を“自分主導”でスタートできる
これらはすべて、「揺れにくい心=しなやかなメンタル」を育てていくベースになります。
精神科医がすすめる「朝スマホ断ち」3つの工夫
① スマホを寝室に持ち込まない
「目覚ましを止めるつもりでスマホに触る → 気づけばSNSを開いている」こうした習慣、思い当たる方も多いのではないでしょうか。まずは、スマホを寝室に持ち込まないことから始めましょう。目覚まし時計をアナログのものに変えるだけでも、「無意識にスマホを触ってしまう」流れを断つことができます。朝いちばんの数分が、心に余白をつくる時間になるのです。
② 朝の「代わり習慣」を決めておく
「スマホを見ないようにガマンする」のではなく、スマホの代わりになる行動をあらかじめ決めておくのがコツ。たとえば、こんな習慣はいかがでしょうか?
・起きたら窓を開けて深呼吸
・軽くストレッチで体を目覚めさせる
・ベッドを1分だけ整える
難しく考える必要はありません。「これなら心地よくできそう」と思える、小さな行動でOKです。「今日も、わたしの朝がはじまった」そんな静かな合図を、自分に贈るような気持ちで続けてみてください。
③ 朝の“音”に意識を向けてみる
・鳥のさえずり
・風が木々を揺らす音
・自分の呼吸のリズム
などスマホではなく、“音”に耳をすませてみましょう。現代人の多くは、「視覚情報」に偏った生活を送っています。SNS、ニュース、動画…知らず知らずのうちに、余計な情報を詰め込んでしまっているのです。だからこそ、「音」という繊細な感覚を使って、今この瞬間にある静けさを味わってみてください。それだけで、心のノイズがすっとほどけていき、情報に振り回されにくいしなやかな一日が始まります。スマホとの付き合い方を変えることは、心を守る第一歩です。特に、メンタルがゆらぎやすいと感じている人にとって、朝の数分間はとても大切な再起動の時間。その時間を「自分自身に戻るための習慣」に変えることで、情報に飲み込まれない、しなやかな強さが育っていくでしょう。
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