【何もしたくない..それは心のSOS?】精神科医が教えるやさしい回復ステップ

【何もしたくない..それは心のSOS?】精神科医が教えるやさしい回復ステップ
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精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。

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「やらなきゃいけないことはあるのに、体が動かない」
「理由はわからないけど、ただただ疲れている」

そんな感覚におぼえはありませんか?現代の生活は、気づかないうちに心や脳に大きな負担をかけています。そしてこの「何もしたくない」という感覚は、単なる怠けや気分の問題と片付けるのは危険ですなぜならそれは、心のエネルギーが限界に近づいているサインの可能性があるからです。

なぜ「何もしたくない」と感じるのか?

「何もしたくない」という気持ちは、多くの場合、心のエネルギーが低下しているサインです。特に、心の状態は身体のように目に見えないぶん、限界を超えて初めて「何もしたくない」という形で現れることが多いんですね。実際に「何もしたくないという状態」は、以下のような背景と関連していることがあります。

・情報過多やマルチタスクによる脳の疲労
・人間関係でのストレスや気疲れ
・睡眠不足やホルモンバランスの乱れ
・仕事や家事など、長期間にわたる負荷の蓄積

これらが重なると、脳は「これ以上動き続けると危険」と判断し、活動をセーブして自分を守ろうとするんですね。これが「何もしたくない」という気持ちへとつながっていきます。

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心の回復を助けるためにできること

「何もしたくない」状態からすぐに行動を起こすのは難しいものです。そのためまずは、次のような行動を取り入れてみましょう。

1. 朝の光を浴びて、体内時計を整える
2. SNSやニュースなどの刺激を減らす
3. 頭の中のモヤモヤを、ノートに書き出してみる
4. 深呼吸やストレッチなど、身体を少し動かすことから始める
5. 「今日は何もできなかった」ではなく、「今日は休めた」と捉える視点の転換

こうした“小さなセルフケア”の積み重ねが、心のエネルギーを少しずつ回復させてくれます。

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何もしたくない状態が解消されない場合は

一時的な疲れやストレスで「何もしたくない」と感じるのは誰にでもあることです。そんな時は、先ほど紹介した小さなセルフケアを取り入れる事で、状態も改善していくでしょう。しかし、自分で対策を試しても変化がない場合は注意が必要です。そして以下のようなサインが続く場合は、専門家に相談することをおすすめします。

・2週間以上、気力の低下が続いている
・好きだったことにも全く興味が持てない
・食欲や睡眠に明らかな変化がある
・身体の不調(頭痛、倦怠感、動悸など)が続いている

これらは、うつ状態などの可能性もあるため、早めに専門家に相談することが大切でしょう。

最後に「何もしたくない」と感じることは、決して恥ずかしいことでも、甘えでもありません。心が疲れているときに自然に出てくる反応です。うまく言葉にならなくても大丈夫。行動できない日があっても大丈夫。まずは、そんな自分を否定せずに「そう感じているんだね」と、そっと認めてあげてください。無理をしてがんばるよりも、立ち止まる勇気のほうが、ずっと大切なときもあります。そしてもし一人で抱えるのがつらくなったら、専門家の力を借りることも、自分を守る立派な選択です。今日のあなたが、少しでもラクになりますように。

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