ふとしたとき感じる胃の不快感、何となく食欲がない…それ、ストレス性胃腸炎の前触れかも?医師が解説
ふとしたときに感じる胃の不快感、何となく食欲がわかない、胃がムカムカする、あるいは吐き気が続いている…。そんな症状が何日も続く場合にはある疾患の疑いがあります。医師が解説します。
「慢性的な胃痛・吐き気」それ、ストレス性胃腸炎の前触れかも?
慢性的な胃痛や吐き気といった症状が何日も続いていると、「もしかして大きな病気では?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、病院で検査をしても特に異常が見つからないことも少なくありません。
そのような場合、見逃されがちなのが「ストレス性胃腸炎」です。
これは、精神的なストレスが胃や腸に影響を与え、慢性的な不調を引き起こすものです。
意外と身近な疾患であるにもかかわらず、自覚しづらく、適切な対処が遅れることもあるのです。
ストレス性胃腸炎とは、精神的な緊張やプレッシャーが続くことによって胃や腸の働きが乱れ、炎症を起こす状態です。
医学的には「神経性胃炎」「機能性ディスペプシア」とも呼ばれることがあります。
この病気の厄介な点は、原因が“ストレス”という目に見えないものであるため、はっきりと診断されにくいことであり、内視鏡検査や血液検査では異常が見つからないことも多く、症状だけが残ります。
主な症状は以下の通りです。
- 胃の鈍い痛み、締めつけられるような圧迫感
- 食後の不快感や膨満感
- 吐き気やげっぷが頻繁に出る
- 朝起きると気分が悪く、食欲がない
- ストレスを感じたときに症状が悪化する
これらの症状が長期間続いている、または繰り返し現れる場合には、ストレス性胃腸炎を疑ってみてもよいでしょう。
特に、仕事や家庭での心理的負荷が強い時期と重なる場合は注意が必要です。
ストレス性胃腸炎の対処法とは?
ストレス性胃腸炎の治療には、「胃腸を休める」ことと同時に、「心を整える」アプローチが必要です。
単なる胃薬では根本的な改善に至らないケースが多く、生活全体を見直すことが大切です。
まずは内科、または消化器内科を受診し、他の重大な疾患が隠れていないかを確認することが重要です。
異常がなければ、「機能性胃腸障害」としての対応になります。
医師によっては、ストレス性であることを説明したうえで、軽い胃薬や抗不安薬、場合によっては漢方薬を処方してくれることもあります。
また、暴飲暴食や刺激物(辛いもの・カフェイン・アルコール)を控え、消化のよい食事を心がけましょう。
食事の時間を規則正しく保つことも、胃腸のリズムを整える上で大切です。
さらに、根本原因となるストレスへの対応も欠かせません。
自分に合ったストレス解消法を見つけることが鍵です。
たとえば、毎日30分の軽いウォーキング、深呼吸やマインドフルネス瞑想、十分な睡眠を確保する、カウンセリングを受けるなどが挙げられます。
「気持ちが楽になる時間を作る」という意識を持つだけでも、症状の軽減につながることがあります。
意外に見落とされがちですが、人間関係のストレスは胃腸に強く影響を与えることがあります。
必要であれば、環境を変える選択肢を考えるのもひとつの手です。
まとめ
日常的に感じる胃痛や吐き気が、いつの間にか慢性化している。
それがストレスと関係していると気づく人は少ないかもしれませんが、身体は心の状態を素直に映し出します。
だからこそ、「検査で異常がないから大丈夫」と思い込まず、自分の生活や心の状態にも目を向けてみてください。
ストレス性胃腸炎は、早めの気づきと対応で大きく改善する可能性があります。
薬に頼るだけでなく、自分の心と身体をいたわること。その積み重ねが、胃腸の健康を守る第一歩です。
不調を放置せず、「もしかして」と感じたら、まずは一度、立ち止まってみることをおすすめします。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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