「生理のつらさ=腹痛だけじゃない」ツムラ調査に見る“理解されにくい症状”のリアル

「生理のつらさ=腹痛だけじゃない」ツムラ調査に見る“理解されにくい症状”のリアル
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見えない生理のつらさ、理解していますか? イライラ感や腹痛、 情緒不安定、疲れ ・ だるさ、腰痛に加え眠気など、多岐にわたる症状があるにも関わらず、周囲の理解を得られず、また自分からそのつらさを言い出すことができず我慢している女性が多く存在します。女性同士はもちろん、男性も含め、当たり前のように生理を理解し合えるための大切なポイントを、産婦人科専門医・医学博士でInaba Clinic院長の稲葉可奈子先生が解説します。

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生理やPMS(月経前症候群)におけるつらさには、目に見えない症状も多く存在します。2025年にツムラが実施した調査では、56.8%の女性が「周囲に理解されにくい症状がある」と回答しています。

理解されにくいTOP3は「イライラ感」「情緒不安定」「眠気」

ツムラの調査では、以下の症状が特に理解されにくいとされています:

  • イライラ感(25.1%)
  • 情緒不安定(17.9%)
  • 眠気(13.7%)

外から見えないこれらの症状は、「気のせい」や「わがまま」と捉えられがちですが、れっきとした生理に伴う身体の変化です。

なぜ「眠くなる」のか?ホルモンとの関係

生理前に強い眠気を感じるのは、プロゲステロンが関係しています。これが分解される過程で生じるアロプレグナノロンが、眠気を引き起こす作用を持つためです。加えて体温上昇や自律神経の乱れなども影響します。

決して「だらけている」わけではなく、体の自然な反応なのです。

気持ちの波は「甘え」ではない

イライラや情緒の乱れもまた、ホルモンバランスの変化によるもの。にもかかわらず、周囲からの理解を得られずに傷ついた経験を持つ人も少なくありません。

「人によってつらさが違うことを知ってほしい」と91.9%が回答したことからも、理解されることの重要性がうかがえます。

「サポートしたいけれど分からない」現実

男性の82.2%、女性の70.5%が「つらそうな人をサポートしたいが、どうすればいいか分からない」と回答しています。言葉にしてもらえれば、きっと寄り添える──そんな思いが読み取れます。

“理解されにくいつらさ”にも光を当てるために

理解されない痛みに、蓋をしないこと。ツムラの調査は、眠気や情緒不安定といった“つらさ”もまた、生理のリアルだと伝えています。「わかってほしい」気持ちを言葉にすることが、社会の理解を広げる第一歩です。

おわりに

生理のつらさは、見えないからこそ伝わりにくいもの。でも、それを我慢し続ける必要はありません。

ツムラの調査が示した事実を通じて、あなた自身のつらさに正当な理由があることを、どうか思い出してください。つらいときは、声を上げていい。あなたの痛みに、もっと優しい社会を作っていきましょう。

 

出典:「生理に関する意識と実態調査」

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構成/高橋真希子

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