生理前に激しい気分の落ち込みやイライラ。私が婦人科で「PMDD」と診断されるまで【経験談】


生理前に頭痛やむくみ、食欲の変化、イライラ、肌荒れなど、さまざまな不快な症状が現れるPMS(月経前症候群)。精神的な症状が重い場合は、PMDD(月経前不快気分障害)といいます。漫画家で、『生理前モンスターだった私が産婦人科医に聞く PMS・PMDD攻略法』(KADOKAWA)の作者である、なおたろーさん自身も、PMDDの症状に悩まされた経験を持っています。なおたろーさんのPMDDとの向き合い方について伺いました。
PMDDだと気づいたのは?
——PMDDの症状に気づいたのはいつ頃だったのでしょうか。
22~23歳ときでした。でも思い返せば、「中高生の頃のあの症状はPMDDだったのかも」と思うものはあります。当時は、女性ホルモンの変動でメンタルに変化が生じるという発想にもならなかったので。
月に一度のペースで生理がきていたので、それまで自分の生理周期を気にしたこともなかったんです。でも生理前にすごく落ち込む時期があるし、生理中もつらくて、体調が悪い期間が長いことに気づいて、試しに100円ショップで手帳を買い、生理周期と心身の変化を記録したら、見事に生理が始まる2週間前から症状が出ることがわかりました。
——なおたろーさんはどんな症状に悩まされたのでしょうか?
私は気分の落ち込みや、イライラなどで悩んできました。感情を上手くコントロールできなくて、夫や息子に感情をぶつけてしまうことも多かったです。
本書のセルフチェックリストでいうと、むくみやニキビといったことは身体的な変化は私は全くなかったです。

——「生理日記」の内容が重かったことが描かれていました。
「死にたい」とストレートに書いていたこともありました。でも本当に死にたいと思っているわけではなくて、「死にたいVS死にたくない・怖い」という感情に板挟みになって、パニックを起こしているような感覚でした。ネガティブ感情のコントロールが難しかったんです。
今は低用量ピルを飲んでいて、PMDDの症状は落ち着いているので、正直、当時なぜそこまで思い詰めていたのか、自分でも理解できない部分もありますね。
PMDDで婦人科を受診して
——なおたろーさんはPMDDを自覚してから婦人科へ行くまでは、比較的早かったとお話しされていましたが、婦人科へ行くハードルはそこまで高く感じていなかったのでしょうか?
既に出産をしていたので、婦人科に行ったことはあったものの、実は2、3週間は躊躇はしていたんです。ネットでPMSやPMDDのことは調べたものの、実際に症状改善のために婦人科へ行ったという話は、当時はネット上にも体験談はなかったですし、周囲でも全然聞かなかったんです。
それに、学生の頃「生理痛がつらいので休ませてください」と保健室に行ったときに「生理は病気じゃないからね」と言われたことも残っていて。「生理に関する悩みで病院に行っていいのかな」「門前払いされないかな」という不安がありました。
ただ、このままPMDDの症状が続くと、自分が勢いで自殺するか、家族を殺めてしまうかもしれない……と頭によぎって。そんなことになる前に、たとえお医者さんに鼻で笑われたとしても、相談しなければ!と決心して、病院の予約をとりました。
——実際に婦人科へ行ってみて、いかがでしたか。
受付でPMSのチェックリストを受け取ったのですが、「これを渡されるってことは、来てよかったんだ」と、一安心でした。
診察では、お医者さんが「この症状は女性ホルモンの変動によるものだから、あなたのせいではないですよ」と言ってくださって。調べて知ってはいたものの、「ホルモンの問題だから、自分の努力で解決できるものではない」と直接お医者さんの言葉が聞けて、身体の力が抜ける感覚でした。想像していた不安なことは全然起こらなくて、行ってよかったです。
——なおたろーさんご自身も最初は婦人科へ行ってもいいのか悩まれたとのことで、本書でも「何歳から婦人科へ行っていいのか」「どのくらいの症状なら受診すべきなのか」といったことも監修の高橋怜奈先生に伺っています。
高橋先生は、「年齢制限はないので、小学生でも来ていいんですよ」「PMSやPMDDのしんどさは数値化されるものではないので、本人が日常生活に支障を感じていたら相談に来てください」とおっしゃっていました。
私はPMDDで受診する前に出産をしていたので、婦人科そのものへのハードルは少し下がっていましたが、もし学生時代に婦人科を受診したいと思っていたら、周りの目も気になっていたと思うんです。
私は山口県の出身で、街の婦人科は市内に一か所しかないような地域で暮らしていたので、誰かしらに見られてしまう可能性が高かったんです。そういう環境だったり、出産の経験がなければ、まだまだ婦人科へ相談に行くことのハードルは高いと思って伺いました。
——監修の高橋怜奈先生のお話で特に印象に残っていることはありますか?
低用量ピルで人工的に排卵を止めることについて伺った際に、「妊娠をしないのに排卵が起こっていることのほうが生物学的には不自然」とおっしゃっていたことです。
昔は何人も子どもを産むのが当たり前で、妊娠と出産を繰り返していたので生理が止まっている時期が長くて、人生で50回ほどしか生理がなかったそうです。
高橋先生のお話を伺いながら、生き物の進化の過程として、 こんなに生涯の生理の回数が多くなることは想定されていなかったのでは……なんて考えていました。
「生理前モンスター」も私の一部
——なおたろーさんはPMDDの症状を「自分の中に生理前モンスターがいる」と表現されています。今は生理前モンスターとどんなふうに接していますか?
最初はモンスターを倒そうとして治療を始め、治療によって症状を抑えることができたのですが、私の場合、低用量ピルの休薬期間中にモンスターが現れてしまうんです。以前は暴れているモンスターを必死に抑えようとしていたのですが、モンスターも私の一部分であるので、一緒に付き合っているような……今は横並びになっている感覚です。
とはいえ、モンスターのことを好きなわけではないです。厄介ですし、面倒ですし、個人差があるので「なんで私にはこんな奴がいて……」と思うことも。でもモンスターがいることは仕方のないことですし、以前に比べたらモンスターと上手く付き合える方法があると知っています。
自分がPMDDであることは「嫌だな…」と思うのですが、症状をラクにする方法を学び、自分の心身とも向き合うようになって、そんな今の自分の方が好きなんです。過去の自分があったからこそ、今の自分を好きだという感覚があると思うので。今でもたまにモンスターは暴れそうになりますが、一緒に頑張っていこう、と思っています。
※後編に続きます。

【プロフィール】
なおたろー
『うつだと思ったら生理が原因でした』でプチ大賞受賞。2児の母。ブログやXにも自身のPMDD体験記や子育てについての漫画をアップしている。
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