足のむくみ、もしかしたら心臓の病気のサインかも?「隠れ心不全」とは何か|医師が解説

 足のむくみ、もしかしたら心臓の病気のサインかも?「隠れ心不全」とは何か|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-04-12

足のむくみは、立ち仕事や加齢のせいだけではありません。隠れ心不全が疑われる状態について、医師が解説します。

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足のむくみが心臓の病気のサインかも?

足がむくむ際には、血液中の体液が血管の外に漏れ出て、血管の外の皮下組織に溜まった状態である可能性があります。 

通常、足の筋肉や静脈の逆流防止弁の作用により、足で使われた血液は心臓に戻りますが、普段から運動をせずに足の筋肉を使わない、デスクワークや立ち仕事などの同じ姿勢を長時間続けると、足の血液は心臓に戻ることができずに、足のむくみが生じます。

特に、高齢者などにおいて、足の浮腫を引き起こす原因のひとつとして、心臓の病気である心不全があります。

心不全は、心臓を取り巻く心外膜や心筋、心内膜疾患、弁膜症、冠動脈疾患、大動脈疾患、不整脈など様々な要因により引き起こされるものと考えられています。

不整脈
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心不全においては症状が出現するようになると、息切れや疲労感、呼吸困難感、足を中心としたむくみなどの兆候が目立つようになります。

心不全の原因は、心臓自体に問題がある場合と、心臓の機能に間接的な悪影響を及ぼす要因がある場合の2種類に分けられます。

心臓の筋肉を養っている血管である冠動脈が詰まってしまう心筋梗塞や狭心症、あるいは動脈硬化や塩分の摂り過ぎなどが原因の高血圧がもとになって心不全になる人もいます。

また、心臓のそれぞれの部屋を分けている逆流防止弁が障害される弁膜症、心臓の筋肉に異常が起こる心筋症、そして拍動のリズムが異常になる不整脈、先天的な心臓の病気など様々な疾患も心不全を引き起こす原因としてよく知られています。

心不全になると、心臓から十分な血液を送り出せなくなり、体に必要な酸素や栄養が足りなくなるので、坂道や階段の上り下りで息切れがしたり、疲れやすくなります。

また、心不全に伴って腎臓に流れる血液が少なくなって尿の量が減り、水分が体内に貯留する結果として、足の甲や下肢全体が浮腫を起こしてむくんだり、体重が短期間で数キログラム程度増加したりもします。

さらに、病状が進行して体の中で血液が滞るうっ血状態が進むと、腹部膨満、そして呼吸が苦しくて横になって眠れない起坐呼吸といったような危険な容態になることもあります。

隠れ心不全とは?

心不全とは、心臓というポンプの機能が損なわれて、息切れやむくみなどの症状が生じて、進行すると死に直結する心臓病のことを指しています。

心不全の初期段階では、自覚症状が乏しく、心臓病が見逃されることがあり、この段階を「隠れ心不全」と呼んでいます。

病状が知らず知らずのうちに悪化しているにもかかわらず、自覚症状が乏しい「隠れ心不全」の段階で病気を見つけて、対策を講じることが有効的です。

息切れやむくみが、心不全の代表的な症状となりますが、初期の「かくれ心不全」という状態では、無症状の場合も少なくありません。

まずは、有意な自覚症状があるかどうかを自分でセルフチェックしてみることが大切です。

例えば、隠れ心不全の場合、坂道で軽い息切れを自覚することがありますが、病気が進むと就寝時などに息苦しくなり、布団の上で起きあがると楽になることがあります。

主に、高血圧、糖尿病を患っている方、肥満で動脈硬化が進んでいる人、腎機能が悪い場合に、隠れ心不全になる危険性が高くなります。

そうしたリスクファクターを有する人においては、それぞれの疾患を確実に治療すれば、隠れ心不全の発症や心不全の病状悪化を予防することができます。

まとめ

心不全は、日常的な作業や運動をしているときに、必要な血液が十分に全身に回らなくなり、浮腫や息切れを感じる状態です。

心不全の予備軍とも考えられる隠れ心不全は、自覚症状が乏しいケースもありますが、放置すれば病状が悪化する懸念があり、注意が必要です。

特に、足がむくむ場合には、加齢のせいだと思わずに、隠れ心不全を疑って、かかりつけ医に相談するように心がけて、心配であれば、循環器内科など専門医療機関を受診しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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