【歯周病は心臓発作や高血圧を引き起こす?!】「オーラルケア」が長生きのための賢い投資になる理由
“歯周病”と聞いて、歯や歯茎だけの問題と考えていませんか?
最新の研究で、歯周病が全身、特に心臓に深刻なリスクをもたらす可能性があることが明らかになった。実際、歯周病を抱える人は、心臓発作のリスクが30%も高くなるというデータもある。これにより、歯周病の予防と治療が健康全体にどのように影響を与えるかに注目が集まっている。
口内の「隠れたリスク」が血管と心臓を脅かす
複数の研究から、歯周病が心血管疾患と深い関連を持つことが確認されている。例えば、イタリアの調査によれば、歯周病患者の高血圧リスクは約20%高く、重度の歯周病ではそのリスクが49%にまで跳ね上がる。この原因の一つは、歯周病によって引き起こされる慢性的な炎症が、血管や心臓に大きな負担を与えるためだ。フィンランド・ヘルシンキ大学病院のトミ・パティラ医師は、「口内環境は全身の健康を映し出す鏡」と指摘し、歯周病が進行すると歯茎の細菌が血流に入り、心臓へ移動する可能性があると述べている。歯周病の細菌が心臓の内膜や弁に感染すると、「感染性心内膜炎」などの致命的な合併症を引き起こす恐れがある。
歯周病がもたらす「沈黙の炎症」と心血管への影響
歯周病がもたらす炎症は、血管に慢性的なダメージを与え、動脈硬化のリスクを高めることが確認されている。動脈硬化が進行すれば、心臓にかかる負担が増し、結果として高血圧が悪化しやすくなる。また、歯周病は糖尿病や関節リウマチ、認知症にも影響を与え、例えば糖尿病患者は歯周病が悪化すると血糖値管理が難しくなることが明らかになっている。つまり、歯周病が引き起こす「静かな炎症」は、心臓や血管だけでなく、全身に悪影響を及ぼしているのだ。
日頃のデンタルケアは医療費の節約にもつながる
オーラルヘルスを保つことが、医療費削減につながる可能性も示されている。2022年の米国アーカンソー州の研究によると、糖尿病や冠動脈疾患を抱える人が定期的な歯科検診を受けることで、年間500ドル(約7万7千円)以上の医療費が節約できるという。特に高齢者は唾液の分泌が減り口内が乾燥しやすいため、歯周病リスクが上がり、治療費が大きな負担となることも少なくない。歯と歯茎の健康を守ることは、将来の健康と経済的負担を軽減するための賢い投資ともいえる。
オーラルケアは未来の心臓を守る「投資」
米国心臓協会(AHA)によれば、心臓発作を経験した人の70%が高血圧を抱えていることが報告されている。このことは、歯周病を含む口内の炎症が血圧を悪化させる可能性を示唆している。歯科医師会(ADA)は、歯周病や虫歯の予防として、少なくとも年1回、健康状態によっては年2回の歯科受診を推奨しており、毎日の歯磨きやフロスが心臓の健康維持に貢献することを強調している。オーラルケアは見た目だけでなく、心臓病や高血圧など多くの病気の予防につながり、健康で長生きするための重要なステップになることは間違いない。
出典:
The Connection Between Oral Health and Heart Disease
Ignoring oral health may be a risk factor for hypertension, heart disease
One secret to preventing dementia, diabetes, and heart disease may lie in your oral health habits. Here’s the dental routine to follow
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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