一緒にいると消耗する…怒りを遠回しに表現する受動攻撃の背景とは?

 一緒にいると消耗する…怒りを遠回しに表現する受動攻撃の背景とは?
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石上友梨
石上友梨
2025-03-30

怒りや不満を直接表現せず、黙る・不機嫌になるといった形で表す受動攻撃(パッシブ・アグレッシブ)について知っていますか?受動攻撃ばかり使う人と一緒にいると「言ってくれればいいのに…」と感じる場面に遭遇します。しかし、彼らは言葉では伝えてくれません。そんな受動攻撃を多用する人たちの心理的背景について心理師が解説していきます。

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受動攻撃とは?

受動攻撃とは、怒りや不満を直接的に示さず、間接的に表現する行動や態度のことです。表面上は協力的だったり無関心に見えたりしますが、内面では敵意や抵抗感を抱いています。例えば、「皮肉や嫌味を言う」「わざと仕事を遅らせる」「無視やそっけない態度を取る」「忘れたふりをする」「不機嫌になったり体調不良になる」などの行動や態度をとります。

受動攻撃の背景にある心理

受動攻撃は、怒りや不満を直接表現できない状況で起こりやすく、恐れや劣等感といった感情が根底にあったり、幼少期の環境や対人関係のトラウマが影響したりします。

①幼少期の環境やトラウマ

受動攻撃につながるトラウマ体験として、以下のようなものが考えられます。

1.気持ちを表現できない体験: 幼少期に怒りや不満を表現することを禁止された経験があるかもしれません。例えば、親が厳格で支配的だった場合、感情を直接表現できず、間接的に表す癖がつきます。

2.関心を持ってもらえない体験: 養育者や周囲の大切な人から十分に関心を向けてもらえず、「どうせ言っても無駄」と愛情や関心を得ることを諦めてしまった経験から、無力感や怒りを内に溜め込むことがあります。

3.過度に批判された体験: 過度な批判や継続的に批判された経験から、劣等感を抱き、直接的な対立を避けて受動攻撃的な行動をとりやすくなります。

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②どのようなスキーマを持っているか

私たちは主に幼少期の経験などを通じてスキーマ(価値観や信念)を作っていきます。そのスキーマに焦点を当てた心理療法である「スキーマ療法」では、生きづらさや対人関係の問題などに繋がるスキーマがあると考えられています。受動攻撃と関係しそうな                                                                 スキーマとして以下があげられます。

1.見捨てられ・不安定スキーマ: このスキーマを持っている人は「自分が大切に思う人との関係は決して続くことがない」と考えやすく、相手から見捨てられる不安を抱えています。そのため怒りを直接表現せずに間接的な形で表現しやすくなります。

2.感情抑制スキーマ: このスキーマを持っている人は、素直な感情を表現するのは望ましくないこと、バカらしいことと考えます。そのため怒りや不満を感じた時に直接的な表現を避けて、受動攻撃として表現しやすくなります。

3.欠陥・恥スキーマ: このスキーマを持っている人は「自分はダメな人間だ」「自分は人より劣っている」と考えやすく、現実はどうであれ、自分は価値がないと感じています。そんな強い劣等感が他者へ受動攻撃につながることがあります。

4.愛されない・分かってもらえないスキーマ: このスキーマを持っている人は「人は自分を愛してくれない」「私の気持ちは誰にも分かってもらえない」と考えやすく、すでにその考えを確信して諦めている場合、ストレートな表現を避けて受動攻撃という形で思いを表現することがあります。

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私たちはスキーマに基づいて考えたり、行動したりします。それは意識的にも無意識的にも起ります。ストレスを感じる場面でこのようなスキーマが活性化し、不安や不満、怒りなどがわーっと強くなり、冷静な対応ができなくなることがあります。そうすると、適切な自己表現ではなく、思わず無視をしたり、具合が悪いふりをしたりと受動攻撃的な反応をする可能性が高くなります。

※参考:スキーマ療法実践ガイド(金剛出版)

受動攻撃を使う人に出会ったら

もし皆さんの周りに受動攻撃を使う人がいたら、相手のこうした背景について考えてみることで、相手に対する捉え方や理解が変わるかもしれません。そして、相手の心理を理解しながら境界線を守るようなコミュニケーションを行うと良いでしょう。相手の感情や視点を理解し、尊重しながらも、自分の気持ちやニーズを同じように大切にします。そして、状況に応じて、自分のニーズや境界線を明確に伝えていきます。その際に、自分も相手も大切にするコミュニケーションである「アサーション」が参考になります。アサーションについては、ヨガジャーナルオンラインの「アサ―ションの第一人者が教える「イライラする」「ムカつく」「腹立たしい」ネガティブな感情の伝え方」という記事を参考にしてください。

また、筆者が監修した受動攻撃に関する漫画が発売されています。興味がある方はこちらもご参照ください。

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