「感情に巻き込まれてしまう…」映画『インサイド・ヘッド』に学ぶ、感情との付き合い方|心理師が解説


不安、怒り、悲しみ…私たちは日々様々な感情を感じ、時には強すぎる感情に飲み込まれてしまうことがあります。感情に巻き込まれないために何が出来るのでしょうか。映画『インサイド・ヘッド』をヒントに感情との付き合い方を心理師が解説します。
感情との付き合い方
映画『インサイド・ヘッド』は、感情との付き合い方について多くのヒントを与えてくれる作品です。この映画は、少女ライリーの頭の中にいる感情(ヨロコビ、カナシミ、イカリ等)が繰り広げる物語を通じて、感情の役割や大切さを描いています。昨年は続編である『インサイド・ヘッド2』が公開され、思春期のより複雑な感情が描かれていると話題になりました。
① 感情はすべて必要なもの
「ポジティブでいなければならない」と思いがちですが、悲しみや不安など、ネガティブに感じる感情も私たちにとって大切な存在です。ネガティブな感情はあなたが弱いから感じるのではありません。例えば、悲しみがあるからこそ人と繋がれたり、自分の大切なものに気づけたりします。不安や恥ずかしさは避けるべきものではなく、自分を守るために必要な感情です。適度な不安は準備や努力につながるし、恥を知ることで社会の中での振る舞いを学ぶことができます。すべての感情に意味があります。それを受け入れることで、より豊かな心の成長ができるといえます。
②成長とともに感情は増えていく
『インサイド・ヘッド2』は、思春期特有の「新しい感情」が登場します。私たちは生まれた瞬間は感情が分かれていませんが、成長とともに感情の種類が増え、より複雑になっていきます。感情が豊かになる分、様々な葛藤が生まれることもあります。しかし、それは成長の証です。新しい感情に戸惑うことがあっても、それは自然なことと受け止めましょう。
③ 自分の感情を理解し、受け入れることが大切
自分がどんな感情を持っているのかを知り、それを押さえ込むのではなく、適切に表現し、うまく付き合うことが大切です。映画を通して、ライリーは「自分の感情を否定せずに受け入れること」の大切さを学びます。思春期は感情の波が激しく、自分でも何を感じているのか分からなくなることがあります。しかし、それを押さえ込むのではなく、「今、自分はこう感じているんだ」と認めることで、うまく付き合うことができるようになります。
④感情は自分の一部
映画では、「不安」がライリーを守ろうとする一方で、彼女を強く支配しすぎてしまう場面があります。ライリーの感情たちは、操縦桿を握って彼女の行動をコントロールしようとしますが、最終的には「感情は自分の一部であり、操縦桿を握っているのはライリー自身」といった描写があります。感情に圧倒されることがあっても、感情は一時的なもので、あなたの一部に過ぎません。あなたの選択次第で感情はいつでも変わることを忘れないようにしましょう。

『インサイド・ヘッド』をヒントに感情に巻き込まれないようにしよう
『インサイド・ヘッド2』では、レイリーが心配に圧倒されるシーンがあります。その際にレイリーがとった行動をヒントにしましょう。
①感情を受け止める
レイリーは、自分の感情や体験を受け止めます。「今こんな気持ちを感じている」など、今の体験に気づき、それを否定せずに受け入れましょう。
②五感に意識を向ける
五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のことです。映画でレイリーが感情を受け止めた後、レイリーの五感が鮮明に描かれます。例えば、手で柵に触れた時の感覚、聞こえる音、アイスリンクを滑る感覚。今この瞬間の五感に意識を向けることは、感情に巻き込まれないために有効な方法です。

③今やるべきことに目を向ける
心配や不安といった感情との付き合い方です。映画では、未来に対する心配は一旦置いておき、心配の感情を快適な椅子に座らせるシーンがあります。そして、今やるべきことにに目を向けさせています。考えても答えが出ない未来のこと、今対策できない未来のこと、それは心配すればするほど、どんどん不安になります。そのような心配は、「今は考えなくてもいいよ」と優しい気持ちで受け入れて、今やるべきこと、例えば明日締め切りの課題や今日の夕飯の献立など、目の前のことに意識を向けてみましょう。
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