「先が見えない…」「孤独感」不妊治療中に感じる不安への対処法|心理師が解説


「本当に妊娠できるのだろうか…」そんな先の見えない不安を感じながらの不妊治療。とても長く、孤独に感じることがあるのではないでしょうか。今回は不妊治療中に感じる不安への対処法を紹介します。
不妊治療中は様々な不安や心配がある
不妊治療中は、検査や治療など身体への負担や心配がある他、先の見えない不安におそわれます。妊娠までどれくらい時間がかかるか分からないこと、治療をどこまで続ければいいのか正解がないことなど、不確実なことは私たちの不安をより大きくします。また、周囲からの「子供は?」といった無配慮・無責任な言葉をかけられたり、周りが妊娠・出産する中で、自分だけが取り残されているように焦りや孤独を感じることがあります。そして、パートナーとの関係に対する不安もあるかもしれません。不妊治療への考え方や取り組む姿勢がパートナーと異なる場合、t治療を続ける中で関係がギクシャクすることがあります。このように不妊治療を取り組む上で、私たちは様々な不安と向き合うことになります。

不安による妊娠への影響
日々不安を感じて思い悩んでいると、この不安が妊娠に影響を与えないかとさらに不安になる可能性があります。ただし、直接的に「不安が強い=妊娠できない」と結びつけるのはやめましょう。心と体は密接に関係しているため、影響する可能性はあっても必ず影響するわけではありません。
それでは、不安はどのように影響する可能性があるのでしょうか。まずは、ホルモンバランスや自律神経系への影響です。強い不安が続くと、体内でコルチゾールなどのストレスホルモンが過剰に分泌されます。このホルモンがエストロゲンなどの女性ホルモンの分泌を妨げることで、妊娠に影響する可能性があります。また、不安が強いと自律神経のバランスが乱れ、睡眠の質や血流が悪くなることがあります。不安を紛らわすために何かをやり過ぎる場合も注意が必要です。例えば、不健康な食事を食べ過ぎる、スマホで検索し過ぎる、夜遅くまで仕事に打ち込む、過度な飲酒や喫煙・・・このような不健康な生活習慣が間接的に妊娠に影響を与える場合があります。
重ねてになりますが、不安やストレスが必ず妊娠を妨げるわけではありません。不安を感じるのは自然なことであり、多くの人が不安を抱えながらも妊娠に成功しています。大切なのは、不安と自分なりに上手に付き合い、心身のバランスを保つことです。

不妊治療中の不安への対処法
不安と上手に付き合う方法をいくつか提案します。
1. 感情を受け入れる
「不安を感じてはいけない」と自分を責めるのではなく、「今、不安を感じている」と感情を受け入れましょう。不安は自然な感情であり、不安を認め、受け入れることで対処しやすくなります。「不安になって当たり前」「不安でもいいんだよ」と暖かい気持ちで受け止めましょう。
2. 今取り組めることに集中する
婦人科の医師とよく話し合い、具体的な治療プランを立てて準備すること、食事や睡眠などの生活習慣を整えることなど、今できることに集中しましょう。そして、ゆるいヨガ、瞑想などを取り入れて、心を落ち着ける時間を作りましょう。
3. 情報を制限する
インターネットで検索し過ぎることでかえって不安を増幅させることがあります。スマホ検索の時間を減らすこと、不妊治療や妊娠に関する情報を信頼できる医療機関等から得ることなど、情報の取り入れ方を工夫しましょう。
4. サポートを受ける
パートナーと話し合う時間を作り、不安を共有し、互いの気持ちを確認することが心の支えになる場合があります。また、不妊治療に取り組んでいる仲間と交流すること、不妊治療専門のカウンセラーに相談することで、孤独感を和らげ、気持ちを整理しやすくなります。
5. 毎日の楽しみを探す
日々の中で感じられる小さな楽しみや幸せを探してみましょう。例えば、「空気が澄んでいて心地よかった」「かわいい猫に出会った」など、小さな楽しみを見つけ、その感覚を味わいます。ゆっくりと深呼吸して、その心地よさを味わうのもいいです。毎日の生活の中でゆとりある瞬間を感じてみましょう。
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