飲み過ぎ、食べ過ぎ、年のせい?違います! 胃もたれ胸やけを放置してはいけない理由は|医師が解説

飲み過ぎ、食べ過ぎ、年のせい?違います! 胃もたれ胸やけを放置してはいけない理由は|医師が解説
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年齢により代謝が落ちているのを日々感じる、大人の女性。だからと言って「胃もたれや胸やけも仕方ないもの」と放置していませんか? これら内臓系の不快感、じつはその奥に大きな病気が隠れている可能性が大きいんです。これから紹介する症状に当てはまるなら、早めに受診を!

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そもそも「胃もたれ・胸やけ」は、なぜ起きるのか?

前日の夜、食べ・飲み過ぎたり、消化が悪いものを食べたりすると、胃もたれ・胸やけは起こりやすいもの。多くの人が、なんだか膨満感が取れず、食欲がなく、胃の辺りにムカムカとした不快感が残り、さらにはゲップなどが出る場合があります。

これらはいわゆる消化不良ですが、健康な人でも食生活の変化で起こるため、明らかな原因がわかり、すぐに症状が改善したなら心配はありません。

しかし、特に原因が見当たらないのに、胃もたれ・胸やけの症状が頻繁に起きたり、食生活を元に戻しているのに症状が治まらない場合は注意が必要です。

「胃もたれ・胸やけ」には、ちゃんと診断名がつく

胃もたれ・胸やけは、専門医から見れば、ちゃんと診断名がつくほど、原因がしっかり判明しているものも多いのです。まずは、自分の胃もたれ・胸やけはどのタイプになるのか、チェックしてみましょう。

逆流性食道炎(GERD)

胃酸が食道へ逆流し、食道粘膜を刺激することで胸やけが起こります。肥満、過食、早食い、喫煙、アルコール摂取、脂質の多い食事、食後すぐに横になる習慣などがリスク因子です。知覚過敏がある場合は、少量の飲食でも不快感や腹部の張りを感じることがあります。また、女性ではきついベルトやコルセットなどによる腹部圧迫が原因になることもあります。

機能性胃腸症(FD: Functional Dyspepsia)

胃の運動機能の低下や内臓知覚過敏により、胃の不快感やもたれ、早期膨満感などが生じます。自律神経の乱れ、ストレス、ウイルス感染、妊娠などが関与することもあります。以前は「神経性胃炎」と呼ばれていた状態も、現在はこの病態に含まれます。

ピロリ菌感染

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃粘膜に慢性炎症を引き起こすことで、胃もたれや胃痛の原因となります。感染経路は主に幼少期の経口感染とされ、日本では中高年層に多く見られます。除菌治療によって改善が見込まれます。

ストレスや暴飲暴食、生活習慣

精神的ストレスや生活リズムの乱れ、過度な飲酒、脂っこい食事などは胃腸に負担をかけ、機能異常を引き起こします。

胃がんや消化性潰瘍などの器質的疾患

まれに、胃がんや胃・食道潰瘍などが初期症状として胃もたれや胸やけを引き起こすこともあります。特に中高年層では、早期発見のために定期的な検査が推奨されます。がんの初期症状としても、胃もたれ・胸やけが現れます。

「胃もたれ・胸やけ」を放置すると、どうなる?

ただの胃もたれ・胸やけだと思い込み、放置してしまうと大きなリスクにつながります。
市販薬でもどうにもならず……。その結果、通院だけでは済まず、入院や命の危険が迫ってくることも!

「胃もたれ・胸やけ」を放置した結果……

重症度レベル1:食道粘膜に炎症が起きる
重症度レベル2:胃炎や胃潰瘍、食道潰瘍に進行し、食事摂取が困難になる
重症度レベル3:胃がん・食道がんなどの発見が遅れる可能性

少しでも不安を感じたら、まずはお近くの消化器内科を受診しましょう。また、健康診断で異常を指摘されたり、ご家族に胃がんや食道がんの既往履歴があったりする場合は、まずは検査を受けてみることがおすすめです。

QOLを気にする年齢に差し掛かっている方なら、毎年胃カメラ検査を受けることも、生涯現役を貫くためには欠かせません。

面倒だと後伸ばしにして、後悔しないために……

仕事はもちろん、家庭を持ち子育て中の人なら、毎日が忙し過ぎて自分のささいな不調なんて、つい後回しにしがちです。

でももし、これまで述べてきたことだけでなく、夜中に胃もたれ・胸やけの不調で目が覚めたり、痛みの範囲が日に日に広がっていたり、ゲップが伴うようであれば、すぐに消化器内科を受診してください。

あなたが倒れてしまったら、それこそ誰も代わりはできないのですから! 

教えてくれたのは…船越真木子(ふなこし・まきこ)先生

船越真木子

京都にある「まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック」院長。2005年神戸大学医学部卒。その後、基幹病院や京都大学医学部附属病院の勤務を経て、2021年に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)を開院。がん死の第一位である大腸がん、第二位である胃がんを早期発見するため、苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供している。ミッションは『人生を最高に楽しめる体と心を支える』。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医。

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