〈健康診断〉心電図検査でわかることとは?もし異常を指摘されたら?医師が解説

 〈健康診断〉心電図検査でわかることとは?もし異常を指摘されたら?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-12-21

一般的な健康診断などで行われる心電図検査。もし異常を指摘されたら?医師が解説します。

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心電図検査とは?

健康診断や人間ドックで行う検査の一つに「心電図検査」があります。

心電図検査とは、心臓が動くときに発する電気信号を波形として記録して、心臓の状態を調べるための検査であり、一般的な健康診断の検査の一つとしても広く用いられ、不整脈や心筋虚血などの心疾患の発見に役立ちます。

心電図検査は100年以上の長い歴史を持つ信頼性の高い一次検査です。

通常、体への負担が少なく繰り返して行うことが可能な検査です。

心臓は自分の意思とは関係なく動き、血液を全身に送る役割を担っています。

心臓は、規則的に電気刺激を起こして心筋に伝達して、収縮と拡張の動きを行わせており、この電気刺激が正常な場所で正常なタイミングで行われると、規則的な拍動となります。

健康診断で一般的に実施される心電図検査は「十二誘導心電図」というものであり、胸部6ヶ所と両手首・両足首に電極をつけて、12方向からの電気の流れを測定します。

心電図検査では、心臓から出される電気信号によって「P波」、「QRS波」、「T波」、「U波」という波形を測定し、それぞれの波が規則正しく、一定のリズムで記録されている状態を基本波形といい、「正常」だと診断されます。

その一方で、それぞれの波が規則正しくなかったり、波の高さに異常があったり、基本波形とは形が異なる場合には、「異常あり(所見あり)」と診断されます。

心電図検査は、心臓の病気を早期に発見するに重要な検査であり、心電図検査で異常を指摘されたら、自分は病気なのではないかと不安に感じることでしょう。

心電図検査で異常を指摘されたからといって、必ずしも病気だというわけではありませんが、自己判断は厳禁ですので、心配であれば、早めに循環器内科など専門医療機関を受診し、必要に応じて精密検査を行うようにしましょう。

心電図検査でわかる病気とは?

心臓が動く際に必要な酸素や栄養は「冠動脈」を通じて送り込まれます。

そのため、冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心臓自体(心筋)に血液が届かなくなり壊死していきます。

これがいわゆる「狭心症」や「心筋梗塞」という病気ですが、この時血液が届かなくなった心筋からも電気信号が出るため、心電図にも異常所見があらわれます。

心電図検査では、電気刺激がどの場所でどのようなタイミングで出ているのか、それに伴う心筋の動きはどうなのか、心筋にダメージはないのかなどを知ることができます。

心電図検査を通じて、具体的には不整脈、狭心症、心筋梗塞、心筋炎、心筋症、心房・心室肥大などのような病気の発見に役立ちます。

心電図で見つかる異常の種類は非常に多く、代表的なものとしては「期外収縮」、「洞性不整脈」、「異常Q波」、「ST異常」、「心房細動」、「r波増高不良」などがあります。

十二誘導心電図では、検査をしている一定時間(数十秒程度)の記録しか行えないため、発作的に起こる不整脈や狭心症などを見つけることには適していません。         

健康診断で行う十二誘導心電図は、検査時の数十秒の測定のみで結果を分析しているため、異常なしと診断されても、不整脈や狭心症などの見逃しがある可能性もあります

心電図検査には、十二誘導心電図の他にも、モニター心電図、ホルター心電図、運動負荷心電図などの種類があります。

動悸や息切れ、胸の痛みなどの自覚症状がある場合は、心電図の結果のみで異常の有無を判断するのではなく、一度医療機関を受診して、医師の診察や他の検査もあわせて受けるようにしましょう。

まとめ

健康診断時に心電図検査で異常が見つかっても、必ずしも病気とは限りません。

健康診断で行う心電図検査だけでは心臓の病気を確定的に診断することはできませんので、循環器内科など専門医療機関での診察や精密検査を受けることが必要となってきます。

専門医療機関では、健康診断の結果をもとに、担当医が自覚症状の有無や既往歴の確認などを行ったうえで、必要に応じて精密検査が行われます。

心電図検査で異常を指摘された場合は、健康診断の結果表を持参して、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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