命に関わることもある「不整脈」なりやすい人の特徴とは?不整脈について医師が解説

 命に関わることもある「不整脈」なりやすい人の特徴とは?不整脈について医師が解説
Adobe Stock
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-06-25

不整脈について、医師が解説します。

広告

不整脈とはどのような病気か

心臓は、基本的には心筋細胞における電気信号を規則正しく伝達して正常に動いています。

心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれており、右心房に存在する洞結節が電気信号を発生させる部位となり、同部から発せられた電気信号は、右心房から左心房、両心室へと順次伝わることになります。

この電気信号の流れが乱れる、あるいは遅くなったり、速くなったりしている状態が「不整脈」の状態であると言えます。

不整脈と一言でいっても症状の程度は不整脈の種類によって異なり、少し脈が飛ぶ程度のものがある一方で、突然死を起こす非常に怖い不整脈もあります。

例えば、スポーツ選手は通常よりも心拍数が遅くなることがありますが、これは病的なものではありません。

一方で、危険な不整脈になると、脳への血流が不十分となり、失神やふらつきを起こすことがありますし、不整脈により心臓が十分量の血液を全身へと供給できなくなれば息切れや呼吸困難などの心不全症状を呈することもあります。

不整脈の中でも頻度的にもっとも多いのは、予定されていないタイミングで脈が生じる「期外収縮」と呼ばれる不整脈であり、このタイプは通常では危険性のない不整脈であり、発生しても自覚症状が現れないことがあります。

また、不整脈は脈が速くなる「頻脈性不整脈」と脈が遅くなる「徐脈性不整脈」に分類されていますし、頻脈性不整脈や徐脈性不整脈にはさらに細かく分けられており、各々の原因も様々挙げられます。

通常では、脈拍数が1分間に40以下になると徐脈に伴って息切れ、めまいなどの症状が出やすくなりますし、一方で脈拍が1分間あたり120以上になれば病的な頻脈を示唆して動悸や息切れ、胸痛などの症状を認めることが考えられます。

不整脈には治療の必要がないものから、命に関わるものまで様々なタイプが存在し、特に意識を失う失神症状以外にも、脈が遅くなって息切れがする、あるいは突然動悸がするなどの際には治療介入が必要な不整脈が潜在している可能性があることを認識しておきましょう。

不整脈
イラスト/Adobe Stock

不整脈になりやすい人とは

普段の生活の中で、頻繁にめまいを自覚する、アルコールやコーヒーをよく飲む、過剰なストレスや過労が溜まっている、熟眠できないなど睡眠障害を抱えている、目の前が真っ暗になり失神した経験があるなどの項目に該当する人は不整脈を抱えている可能性があります。

また、特に家族や親戚で心臓病を患っている方がいる場合や突然死した人が存在する際には危険な不整脈が潜んでいることが懸念されます。

不整脈の根本的な原因として、甲状腺機能亢進症などホルモン機能異常が挙げられますし、慢性腎不全を抱えている方が電解質のバランス異常を認めれば不整脈を発症しやすくなると考えられています。

不整脈を症状から簡単に自分で確認できるチェックリスト内容としては、安静時に胸がドキドキして動悸することがあるか、脈が乱れたような感じがするか、階段を昇る際や速足で歩くと息切れするか、常に倦怠感があり疲れやすいかなどが挙げられます。

息切れ
安静時に胸がドキドキして動悸することがあるか、脈が乱れたような感じがするか、階段を昇る際や速足で歩くと息切れするか、常に倦怠感があり疲れやすい人は要注意。

不整脈の治療予防策は?

不整脈には放置しても心配の不要なタイプもあれば、積極的な治療を要するもの、あるいは緊急を要する命に直結する危険な種類まで様々な場合があります。

一般的に病院を受診することが望ましい目安として、強い動悸やめまいを覚える、また安静時に胸痛や息切れを自覚する、そして立ちくらみや意識障害などの症状や所見を認めることが挙げられます。

不整脈は早期発見することで病状の悪化を防ぐことができますし、最悪の場合として考えられる突然死を未然に予防することにも繋がりますので、特に家族や親戚で心臓病を患っている方がいる場合や突然死した人が存在する際には前向きに受診しておきましょうね。

日常生活で急に脈の拍動が速くなり動悸やめまい症状を呈する経験をした人がいるとしたならば、その原因が心臓の刺激伝導系の異常によって引き起こされた不整脈疾患の可能性がありますので、放置せずに心臓専門病院や循環器内科医にかかるように意識しましょう。

不整脈が明確に指摘されたとしても、ほとんどのケースでは治療が不要で経過観察できる場合も比較的多く、日常生活において特記すべき自覚症状も認めることなく心機能も良好であり不整脈の出現頻度も少なければ経過観察する場合もあります。

万が一、過度のストレスや生活習慣の不規則な乱れが直接的な原因であると考えられれば、それらを一つずつ是正するように指示します。

まとめ

これまで、不整脈とはどのような病気か、不整脈になりやすい人の特徴や治療予防策などを中心に解説してきました。

「不整脈」とは心臓の脈拍が正常とは異なるタイミングで起きるようになった状態を意味します。

不整脈には、脈が速くなる頻脈性不整脈、また脈が遅くなる徐脈性不整脈、そして予期しないタイミングで脈が生じる期外収縮などがあり、緊急性はなく放置しても問題のないタイプがある一方で、命に直結する不整脈も存在します。

不整脈に中には、それぞれ症状の出現様式によって経過観察できるタイプもありますが、治療が必要な不整脈であると診断された場合には、必要に応じた検査を基準にして適切な治療を受けることが重要です。

広告

AUTHOR

甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

不整脈
息切れ