脳梗塞は突然起こる…だから気をつけたい。脳梗塞を予防するために今日からできることは|医師が解説

 脳梗塞は突然起こる…だから気をつけたい。脳梗塞を予防するために今日からできることは|医師が解説
Adobe Stock
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-05-18

何の前触れもなく、ある日突然起こる脳卒中。日常生活の中で気をつけられることはあるでしょうか?医師が解説します。

広告

脳の大血管が詰まって血が通わなくなり、脳の一部組織が壊死してしまう病気が脳梗塞です。

脳梗塞は一刻を争う病気であり、不幸中の幸いで一命を取り留めた場合も、残念ながら約7割に後遺症が残るといわれています。

脳梗塞を予防するには、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子をしっかり管理することが重要ですし、禁煙や体重管理、運動など生活習慣の改善によって、脳梗塞が起こらないようにすることが大切です。

脳梗塞の基礎疾患となっている動脈硬化を事前に予防することは非常に肝要であり、日々の生活スタイルを適切に実施する必要があります。

今回は、脳梗塞を引き起こす生活を中心に詳しく解説していきます。

脳梗塞とは

脳梗塞の患者例では、普段からとくに生活習慣病(高血圧や糖尿病など)を発症している方が多く、これらの疾患はいずれも動脈硬化を進行させるので、そのぶん脳梗塞を招くリスクが高くなると言えます。

脳梗塞は、主にラクナ梗塞(脳の細い動脈で詰まる)、アテローム血栓性脳梗塞(比較的太い動脈が血栓で詰まる)、そして心原性脳塞栓症(心臓由来の血栓が脳の血管を詰まらせる)に分類されます。

わが国では、従来から欧米に比べてラクナ梗塞の割合が多い傾向がありましたが、近年の脂質異常症や糖尿病の増加に伴って、最近ではアテローム血栓性梗塞が増えてきています。

また、高齢化にともない心房細動という不整脈を抱えた患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓症も徐々に増えています。

脳梗塞を発症させるリスクファクターは、食生活の欧米化(メタボリック症候群)、過剰な塩分摂取、そして運動不足などが挙げられます。

また、糖尿病や脂質異常症、習慣喫煙、大量の飲酒、日々の強度ストレス、心房細動などの不整脈、加齢なども脳梗塞の原因として挙げられます。

脳梗塞においては、脳に酸素や栄養を送っている動脈に血行不良により、神経細胞が死滅してさまざまな症状をきたすことが知られていて、半身麻痺や言葉を話すことができなくなる失語症、あるいは意識を失うなどの症状が出てきます。

脳梗塞の症状を放置すると、ほぼ半永久的に半身麻痺や感覚障害など生活に支障を来す重大な後遺症を残すことがあるので注意が必要ですし、最悪の場合には生命にかかわる事態になりえるため、脳梗塞の代表的な症状を知ることが極めて重要であると言えます。

脳梗塞においては、脳に酸素や栄養を送っている動脈に血行不良により、神経細胞が死滅してさまざまな症状をきたします。

ふらついて歩けなくなる、意識が低下する、体の半分のしびれなどの感覚障害を呈する脳梗塞もありますし、めまいや吐き気・おう吐、片目もしくは視野の半分が見えにくくなるなども、脳梗塞が疑われる症状です。

脳卒中
photo by Adobe Stock

脳梗塞を引き起こす生活と予防としてできること

脳梗塞もいわゆる生活習慣病のひとつであり、脳梗塞の主な発症危険因子は高血圧、高脂血症、糖尿病などが挙げられます。

一般に脳梗塞などの脳卒中は、何の症状の前触れもなく、突然に起こるのが特徴ですので、普段からこれらの脳梗塞を発症させる危険因子の有無をチェックして、ひとつでも危険因子が見つかった人は、日常生活を見直す必要があります。

脳梗塞には様々なタイプがありますが、主に高血圧が原因で起こるタイプの脳梗塞が最も発症数が多いと言われていますので、普段から血圧の高く高血圧を指摘されている方は、塩分を控える、あるいは適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にするなどの対策が必要です。

そして、塩分を体外に排泄するのに働き、血圧を下げる効果のあるカリウムやカルシウムなどのミネラルを含む食品を積極的に摂取することも重要なポイントです。

カリウム
塩分を体外に排泄するのに働き、血圧を下げる効果のあるカリウムやカルシウムなどのミネラルを含む食品を積極的に摂取することも重要なポイント。
photo by Adobe Stock

脳梗塞を予防するためには、魚料理を中心とする食生活を送ることが効果的であり、魚の油(脂肪酸)に含まれるEPA(エイコサペント酸)にはコレステロールや中性脂肪を減らして動脈硬化を予防する作用があると信じられています。

同じように、マグロ、ブリ、サバ、サンマ、イワシなどの魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)にはEPA以上にコレステロールや中性脂肪を下げ、動脈硬化を予防する作用のあることも判明しています。

また、脳梗塞は夏に多い病気であり、夏場の暑い季節に汗をかいたりした時に水分の摂取が不足しますと血管内が脱水となって、脳の血管を流れる血液が濃くなり、血管内部がドロドロとした状態になります。

夏場は脳動脈が閉塞しやすいと考えられるので、特に汗をかきやすい夏期にはよく水分を摂取するように心がけましょう。

まとめ

これまで、脳梗塞とはどのような病気か、脳梗塞を引き起こす生活内容などを中心に解説してきました。

脳梗塞は突然に起こる病気であり、発症してから後悔しても手遅れになることもありますので、健常人でも普段から脳梗塞を予防しておく方法を知っておくことが重要です。

脳梗塞が起こった場所によっては、重症化して手足が麻痺したりすることもあり得ますし、辛い後遺症に長期間悩まされる可能性も十分に考えられます。

特に、普段から脳梗塞のリスクファクターの一つである高血圧を指摘されている方では、塩分を控える、適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にする、なるべく歩くようにするなどの工夫が必要です。

また、普段から魚中心の規則正しい食生活や定期的な運動を実践するようにして、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して生活習慣病にならないように心掛けましょう。

広告

AUTHOR

甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

脳卒中
カリウム