突然死にもつながる怖い病気「心筋梗塞」を引き起こす生活とは?防ぐためにできることは?医師が解説

 突然死にもつながる怖い病気「心筋梗塞」を引き起こす生活とは?防ぐためにできることは?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-05-05

「心筋梗塞は突然死につながる怖い病気である」ということは知っていても、予防するために何ができるか、何をすべきかについては具体的に知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は、心筋梗塞を引き起こす生活についてと今日から実践できることについて、医師が解説します。

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心筋梗塞という病気は高血圧などが誘因となって形成される冠動脈の硬化性変化に伴って冠状動脈の血行障害をきたすことによっても発症します。

心筋梗塞を予防するためには、何よりも動脈硬化を起こさないことであり、それには日常の食生活や運動習慣を作る工夫などの対策を講じることが重要です。

今回は、心筋梗塞を引き起こす生活を中心に詳しく解説していきます。

心筋梗塞とは

心筋梗塞は、心臓を養う冠動脈という血管が突然ふさがり、冠動脈疾患を起こすことによって心筋の一部への血液供給が大きく減少し遮断されることで発症します。

生命に必須である心臓への血液供給が数分以上にわたって大きく減少するか中断されると、心臓の横紋筋の筋肉組織が壊死することに繋がります。

心臓のポンプ機能は、心筋が収縮と拡張を繰り返すことで維持されていますので、心筋梗塞を起こして心筋の一部が機能しなくなって死んでしまうと、ポンプ機能が正常に働かなくなって、心不全などを引き起こしてしまいます。

また、急性心筋梗塞では、同時に心室細動という危険な不整脈を合併しやすく、そうなった場合には特に迅速で適切な治療の有無が生死を分けることになります。

心筋梗塞を引き起こすとされている主な要因としては、高血圧、肥満、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、ストレス、喫煙、家族歴などが挙げられます。

心筋梗塞は、主要な症状として急に胸に激痛が起こり、胸に締めつけられるような圧迫感を覚える危険な心臓の病気であることが知られています。

心筋梗塞
心筋梗塞は、主要な症状として急に胸に激痛が起こり、胸に締めつけられるような圧迫感を覚える危険な心臓の病気です。
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心筋梗塞を引き起こす生活とは

心筋梗塞を引き起こす生活内容の特徴としては、日常の食生活において塩分の摂取を過剰に取り込んでいる場合が挙げられます。

血液中に塩分が増えてしまうと、血圧が必然的に上がり、血圧が高い状態が続くと血管壁はその圧力に耐えようとして生理的に厚く硬くなってしまい動脈硬化が進行します。

ラーメンやうどんなど麺類の汁を飲み干していると自然と塩分過多になって高血圧を発症して心筋梗塞を発症しやすくなると考えられます。

一方で、普段から調理法を工夫して塩を使う代わりに、酢やレモンなどを活用して塩分制限をしている場合には心筋梗塞を罹患しにくいと考えられます。

また、野菜や海藻から日常的にミネラルやビタミン群を摂っている人は心筋梗塞を発症しにくいと言えるでしょう。

一般的に、血液中のカリウムが増えると、ナトリウムが排出され血圧が下がる傾向が指摘されています。

カリウムを豊富に含むのは、トマト、カボチャ、ほうれん草、サトイモなどの野菜類、バナナ、シイタケ、納豆などが代表例であり、こうしたカリウムを多く含む食品の摂取は高血圧を予防して心筋梗塞の発症リスク低減に直結すると考えられます。

万が一、カルシウムの摂取が少ないと、骨などからカルシウムが溶け出て血液中のカルシウムが増えて、血栓ができやすくなると言われています。

カルシウムを豊富に含むのは、牛乳や小魚、大豆製品、ヒジキや昆布などの海藻類などです。

また、野菜に含まれるビタミン群は、動脈硬化を促進する活性酸素を除去してくれます。

したがって、野菜類、海藻類、大豆製品などは、体に大切なミネラルやビタミンの宝庫であり、急性心筋梗塞を未然に予防してくれますので、普段から心掛けて摂取しましょう。

心筋梗塞の発症を予防するためには、食生活における対策と並んで、習慣的な運動が効果的です。

例えば、ウォーキングなど有酸素運動を1回当たり30分程度、週に3~4回と無理のない範囲で実践している方は心筋梗塞を発症しにくいと考えられます。

現代では自動車のある生活が当たり前になり、駅やショッピングモールなどの公共施設にエスカレーターやエレベーターがあるのが常識になっていますが、よく歩くことは健康維持の基本となります。

歩行時に筋肉を使えば使うほど基礎代謝が上がり、血液の循環がよくなって動脈硬化を予防することに繋がりますので、普段からなるだけエスカレーターやエレベーターには乗らずに階段を上り下りするように心がけましょう。

まとめ

これまで、心筋梗塞とはどのような病気か、心筋梗塞を引き起こす生活内容などを中心に解説してきました。

心筋梗塞を発症した場合には、すぐに救急車で病院に担ぎ込んで早急に治療を施さないと、死亡率約40%と死を招きやすいことでも広く知られており、多くの人を前触れもなく突然襲う恐ろしい病気です。

心筋梗塞は、死に至りやすい危険な病気であり、その発症原因のほとんどは血管の動脈硬化にあると指摘されています。

動脈硬化は食事や運動などを中心に普段の生活スタイルに少し意識して気をつけることで防げますので、心筋梗塞を発症しないためにもまずは普段の自分の食生活や運動習慣を含む生活リズムに気を配りましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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