命に関わることもある〈狭心症〉や〈心筋梗塞〉なりやすい人の特徴とは?薬剤師が解説

 命に関わることもある〈狭心症〉や〈心筋梗塞〉なりやすい人の特徴とは?薬剤師が解説
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がん、脳卒中と並んで日本人の3大死因の一つになっている心臓病。なかでも心臓に栄養を送る血管が狭くなったり、詰まったりすることで起こる狭心症や心筋梗塞など「虚血性心疾患」の割合が高くなっています。 とくに心筋梗塞は命に関わる病気ですが、何の前ぶれもなく突然起こる可能性があります。この記事では狭心症や心筋梗塞について解説します。

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狭心症・心筋梗塞ってどんな病気?

心臓を動かすために必要な酸素や栄養を、心臓の筋肉に送っている血管を「冠動脈」といいます。冠動脈が狭くなって、血流が悪くなる病気が「狭心症」、冠動脈に血栓が詰まったり、けいれんがおきたりして血流が止まり、心臓が壊死を起こすのが「心筋梗塞」です。

狭心症・心筋梗塞の症状とは?

狭心症

狭心症は、冠動脈が動脈硬化によってできたプラーク(血管内部に脂肪や石灰などがたまり瘤のように膨らむ状態)によって狭くなり、血液の流れが悪くなって、酸素の供給が不足するため、一時的な胸の痛みや圧迫感などの発作が起こります。また、血管の壁に動脈硬化が原因でできたプラークが破裂し、それを修復しようとして血小板が集まって血栓(血の塊)をつくり、血流をさらに悪くすることもあります。

症状としては、胸の奥の何ともいえない痛みや圧迫感が起こりますが、数分から数十分で治まります。息切れや冷や汗を伴うこともあります。

心筋梗塞

冠動脈のプラークが破裂してできた血栓により、血管が完全に詰まり、心臓の筋肉に血液が行かなくなって、心臓が壊死する病気が心筋梗塞です。激しい胸の痛みを伴う発作が数十分から数時間に及びます。突然死の原因にもなる非常に怖い病気です。

冠動脈
狭心症、心筋梗塞のイメージ/イラストAC

狭心症・心筋梗塞を招く動脈硬化とは?

狭心症や心筋梗塞を引き起こす原因となるのが、動脈硬化です。本来、血管は血液がスムーズに流れるように、弾力性に富み、その内壁は滑らかです。ところが、脂質異常症(高脂血症)や肥満、加齢などによって血管の内側のところどころにコレステロールなどの脂肪がたまって弾力性を失い、血管が硬くなったり、狭くなったりして血液の流れが悪くなります。血管がこのように変化することを「動脈硬化」といいます。また、動脈硬化は、全身の血管で起こり、狭心症や心筋梗塞だけでなく、脳梗塞、腎硬化症、大動脈瘤などいろいろな病気の原因となります。

動脈硬化
動脈硬化のイメージ/イラストAC 

狭心症・心筋梗塞になりやすい人の特徴

狭心症や心筋梗塞は、動脈硬化が原因ですから、動脈硬化になりやすい人が狭心症や心筋梗塞になりやすい人といえます。動脈硬化を起こす要因はさまざまですが、なかでも、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満の4つは動脈硬化を促進する大きな危険因子で、併発しやすいため“死の四重奏”といわれます。

動脈硬化を引き起こす危険因子

●糖尿病(高血糖)……血糖値が上昇し、血中のインスリン濃度が高くなると脂質異常症やHDLコレステロール(余分なコレステロールを回収する善玉コレステロール)の減少を招きやすく、動脈硬化になりやすい。

●高血圧……血管に高い圧力がかかり続けると、血管壁が傷つき、動脈硬化が進む。また、血管の内壁が膨らんで血管の内腔が狭くなると、血圧が高くなるという悪循環に陥る。

●脂質異常症(高脂血症)……血液中にコレステロールや中性脂肪などの脂質が過剰になった状態で、もっとも危険な因子の一つ。

●肥満……肥満は高血糖や糖尿病、高血圧などの原因になる。とくに問題になるのが内臓脂肪型肥満(脂肪が内臓に蓄積するタイプの肥満)。血糖値をコントロールするインスリンの働きを悪くしたり、血栓ができやすくなったりする。

●LDLコレステロール値の高い人……コレステロールにはHDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールがあり、LDLコレステロールが増えると血管の内壁にアテロームというドロドロとしたかたまりができて血管を狭くするため、動脈硬化につながる。

●運動不足……食事で摂取したカロリーを消費できず、脂肪としてたまり、肥満、脂質異常症(高脂血症)、高血圧を促進する。

●ストレス……ストレスによって交感神経の緊張が高まり、脈拍数や血圧が上がる。また、血小板機能が活性化し、血液の粘度が高くなる(血液がドロドロになる)。

●喫煙……喫煙は、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らす。また、たばこに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上げる。動脈硬化や高血圧を促進しやすくなり、喫煙者は心臓病による死亡率が高い。

●心臓病の家族歴……遺伝的要因。親に狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患があると、その子どもは心筋梗塞などを発症する危険度が高まる。

女性の血管はしなやか?

女性は男性に比べて、動脈硬化が原因で起こる狭心症や心筋梗塞などの病気が10年以上遅れて発症するといわれています。これは、卵巣から産生されている女性ホルモン、エストロゲンのおかげ。エストロゲンには、LDL(悪玉)コレステロールを低下させたり、血管を拡張させたりする作用があります。そのため、女性の血管は男性よりもしなやかなのです。ただし、閉経を迎え、エストロゲンが産生されなくなると動脈硬化は急激に進むため、注意が必要です。

もし、発作が起こったら?

狭心症や心筋梗塞はだれにでも起こる可能性のある病気です。もし、心臓に原因があるような胸の痛みを感じたら、まず、何より心臓の負担を軽くすることです。歩いている時は立ち止まる。できれば座ったり、横になったりしましょう。ただし、しゃがみこむのは心臓に負担がかかるので禁物です。

4~5分経っても治まらなければ救急車を呼びます。2~3分で治まった場合でも、後で受診して診察を受けましょう。チアノーゼ(血液中の酸素の不足が原因で、皮膚が青っぽく変色する)や冷や汗、息苦しさを伴うような発作はショック状態を起こしているため、迷わず救急車を呼んでください。

心臓病を防ぐために日ごろから気をつけること

狭心症や心筋梗塞を防ぐには、まず、その原因となる動脈硬化にならないように気をつけることが大切です。次のような点に気をつけましょう。

●適正カロリーを守る……カロリーの摂り過ぎに気をつけ、肥満に注意。

●コレステロールの摂取量を減らす……肉の脂身、卵、バター、イクラ、ウニなどコレステロールの多い食品を意識して控える。

●脂肪の質にも注意……血中コレステロールを減らす「不飽和脂肪酸」を積極的に摂る。不飽和脂肪酸は、マグロやサバ、鮭、サンマなどに多く含まれている。 魚類以外では、えごま油やアマニ油といった植物油に多く含まれる。

●食物繊維を摂る……食物繊維は、血中のコレステロール値を減らしたり、腸内の有害物質を体外に排出する働きがある。食物繊維は、淡色野菜よりも緑黄色野菜に多く含まれる。また、海藻やきのこ、豆類、米なら玄米、パンならライ麦パンや全粒個粉パンなどに多く含まれる。

●抗酸化作用のある食品を……LDL(悪玉)コレステロールは、酸化すると、変性してますます悪さをする。酸化させないために、抗酸化作用のある緑黄色野菜をしっかりと。その他、塩分やアルコールの摂り過ぎにも注意を。

●適度な運動を心がける……適度な運動は、中性脂肪の分解を活発にし、HDL(善玉)コレステロールを増やす。なかでも、酸素を取り入れながら継続的に行う「有酸素運動」が効果的。

●ストレスをためない……自分なりの方法でストレス解消を。ストレッチやヨガなどもおすすめ。

まとめ

狭心症や心筋梗塞は、冠動脈の動脈硬化によって引き起こされ、命に関わることもある病気です。動脈硬化は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満などの要因によって起こり、これらは併発しやすいため注意が必要です。肥満の解消、食生活の改善、適度な運動、ストレスの解消などを行うことが予防につながります。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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