かぶれ・赤み・発疹…重症化の危険性も?知っておきたい、接触皮膚炎と帯状疱疹の違い|医師が解説


かぶれ・赤み・発疹などの症状で、とくに免疫力が低下している際は注意が必要です。重症化の危険性もある帯状疱疹を発症している可能性もあります。医師が解説します。
接触皮膚炎とは?
接触皮膚炎は、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起きる病気であり、発疹はかゆいことがあり、特定の部位に限定され、しばしば境界がはっきりしています。
接触皮膚炎には、刺激の強いものに触れると誰にでも起こりうる「一次刺激性接触皮膚炎」、あるいはアレルギー要因が関与して発症する「アレルギー性接触皮膚炎」が挙げられます。
基本的には、かぶれた場所が段々とかゆくなり、徐々に患部において赤みを帯びてきて、小さな湿疹や水疱が認められることもあります。
治療は、原因物質を検索して、それらとの接触を避ける、あるいは短期的にステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の投与です。
帯状疱疹とは?
「帯状疱疹」という病気は、水痘(すいとう)帯状疱疹ウイルスを原因として発症する病気のことを意味します。
帯状疱疹になると、発症の初めの段階では皮膚がぴりぴりするような痛みを自覚して、時間が経つと帯状に赤みや水疱形成などの典型的な皮膚症状が出現します。
現代においては、このウイルスの活性化を事前に予防する、あるいは発症に至ったとしても軽症で済ませて重症化しないようにするためには、予防接種が有効とされています。
エイズ(後天性免疫不全症候群)や悪性腫瘍などに関連して水痘帯状疱疹ウイルスをはじめとする病原体全般に対する免疫力が下がると、当然のことながら帯状疱疹を発症しやすくなると考えられます。
この帯状疱疹に罹患すると、皮疹が瞬く間に広範囲に拡大して、顔面神経が麻痺するハント症候群を合併することもあります。
帯状疱疹に万が一罹患した場合には、その中心的な対策としては原因となる水痘帯状疱疹ウイルスに特化したアシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬を投与する治療方法が挙げられます。
また、それらの抗ウイルス薬にくわえて、帯状疱疹は強い痛みを伴うことが多く、一般的な鎮痛剤では対処できないことが多く認められます。
その場合には、麻薬や脊髄神経ブロックなどを組み合わせた治療内容が必要とされるケースもありますし、さらに重症化して入院治療が必要になる人もいます。
接触皮膚炎と帯状疱疹の違い
接触皮膚炎
刺激反応かアレルギー反応のどちらかによって引き起こされて、主に発疹が現れて、かゆみ、痛み、またはその両方を伴うことがあります。
専門医療機関での診断は、発疹の外観と患者が触れた可能性のある物質に基づいて、判断されます。
接触皮膚炎を予防するためには、皮膚炎を引き起こす物質を避けるか、そういうものから身を守ることが大事です。
接触皮膚炎に対する治療法としては、皮膚炎の原因となっている物質を取り除くこと、かゆみを緩和する対策をすること、皮膚にコルチコステロイドを塗ることなどが挙げられます。
帯状疱疹
水疱瘡の原因ウイルスである水痘帯状疱疹ウイルスに感染して罹患する疾患を指します。
子供の頃に初めてこのウイルスによって感染した際には水疱瘡を発症することになりますが、水疱瘡が治癒した後にはウイルスは後根神経節と呼ばれる部位に隠れ住んで、年単位に渡って潜んでいると言われています。
日々感じるストレスや強度の疲れなどがきっかけとなって、ウイルスに対する免疫学的な抵抗力が低下してしまうと、この水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することによって帯状疱疹を起こすことに繋がります。

帯状疱疹は、50歳以降で発症することが多いとされていますが、若年者であってもひどいレベルの疲れが蓄積すると免疫力が相対的に低下して本疾患を発症することもあります。
帯状疱疹の好発年齢は50歳以上であると言われており、日常的に過大なストレスや加齢による水痘ウイルスに対する免疫力の低下を契機として、免疫機能の低下などに伴って体内に潜んでいたウイルスが再活性化することによって帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹は水ぼうそうを引き起こすウイルスが宿主の免疫力低下に伴って再活性化することで引き起こされる症状を呈することが知られており、体の片側に帯状に現れる疼痛や集簇する皮疹などが特徴的とされています。
帯状疱疹の予防方法としては、50歳以上を対象とした帯状疱疹ワクチンの予防的な接種が最近では推奨されております。
まとめ
接触皮膚炎は、日常生活で接することが多い化粧品や香水、ヘアケア用品、日焼け止めの成分、金属の指輪やイヤリング、腕時計などの金属製の装身具、衣類、家庭用の化学薬品、洗剤や医薬品、動植物など、身の周りにあるほとんどの物質が発症原因となり得ます。
物理的に皮膚の角質が障害を受ける刺激性の皮膚炎やアレルギーが関与する皮膚炎、アレルギー物質が光に当たることで変化して接触皮膚炎が生じることもあります。
一方、帯状疱疹は水ぼうそうと同じウイルスが原因で引き起こされる病気で、体内に潜伏していたウイルスが再活性化することで発症するとされています。
一般的に、この水痘帯状疱疹ウイルスは主に幼少時に初めて感染したときには水疱瘡(いわゆる、みずぼうそう)として発症することが殆どですが、その後は成人になっても体内の脊髄神経節という場所に潜伏しています。
帯状疱疹の発症には、加齢や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下することと関係していることが知られていて、健康な高齢者であっても、加齢に伴って免疫力が低下していると発症する可能性が考えられます。
したがって、帯状疱疹にならないために常日頃から十分な休息をとりながら免疫力の維持や向上を心がけて、免疫力を低下させる要因となり得る疲労やストレスのない規則正しい生活を送りましょう。
両者の鑑別が難しく、肌の症状が継続して、心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く