更年期世代の女性が"超熟睡"するために、まずすべきことは?睡眠コーチ・角谷リョウさんのアドバイス

 更年期世代の女性が"超熟睡"するために、まずすべきことは?睡眠コーチ・角谷リョウさんのアドバイス

「疲れているのに眠れない」「寝つきが悪い」「途中で目が覚めてそこから再び寝れない」など、更年期世代にとって睡眠は悩みの種。そこで、15万人の日本人のデータを集め睡眠改善をしてきた「上級睡眠健康指導士」角谷リョウさんに解決策を聞きました!

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ーーそもそもなぜ、更年期になると「眠れない」「眠りが浅い」というお悩みが発生するのでしょうか?

角谷さん:睡眠って、ひとことでいうと「自律神経」なんです。交感神経から副交感神経にどーんと切り替わる作業。なので、女性ホルモンの急激な減少によって自律神経が乱れている更年期は、理論的には「睡眠に入りにくい時期」「良い眠りが取れにくい時期」であると言えますね。

まずは更年期と向き合うこと。これが最初のステップかなと思います。だから、当たり前のことだけど、婦人科に行って更年期の治療に足を踏み入れるのが第一歩です。今は、ホルモン補充療法(HRT)があり、この治療を受けることで更年期障害が改善し、その延長で睡眠課題が大幅に改善したという人がたくさんいます。もう、努力不要で「眠れる」という状態まで回復できるわけです。

あと、意外に思われるかもしれないけど、更年期世代には実は睡眠時無呼吸症候群になっている人が多いです。

ーー意外です!女性ではあまり聞かない気が…

角谷さん:女性って睡眠時無呼吸症候群になりにくいっていうイメージだと思うけど、更年期になるとなる人がとても多いです。女性の場合は、肥満があるとかではなくて、あごが小さいからとかそういう理由だったりするので、マウスピースなど簡単な対処でかなり良くなります。なので、ホルモン補充療法しかり睡眠時無呼吸症候群しかり、まず医療でスクリーニングするっていう選択肢はありだと思いますよ。どんなに睡眠の質を高める工夫をしても、治療には叶わない部分があるので、第一選択は「適切な治療を一回受けること」。ちなみに睡眠時無呼吸症候群の検査は1回3000円ぐらい、マウスピースは10000円ほどで作れます。

ーー病院というと、どこにいけば睡眠時無呼吸症候群の検査を受けられるのですか?睡眠クリニックとか、専門病院じゃないと受けられなかったりするのでは?

角谷さん:専門クリニックじゃなくても受けられますよ!「無呼吸ラボ」っていうサイトがあるのですが、そこで睡眠時無呼吸症候群かどうかの検査ができる病院がわかります。ちなみに、検査と言っても入院するわけじゃなく、調べる機械を貸してくれるだけ。

ーー入院してひと晩検査するのかと思っていました!入院しなくていいんですね。

角谷さん:そう。機械を貸し出してくれるから自宅で使って、その結果はそのまま病院に転送されるんです。なので、受ける側も医療側も大変じゃない(笑)。ぜひ気軽に受けてみてください。

ーーまずは医療機関に頼って、「眠れない原因」である更年期や睡眠時無呼吸症候群の治療を受け、体のベースを整えることが第一ステップであるというお話でしたが、第二ステップとしてはどんな対処が有効でしょうか?

角谷さん:これも真っ当なアドバイスになってしまうんだけど、更年期世代は自律神経やホルモンバランスが乱れるから、生活リズムが崩れやすいんです。例えば、昼や夕方に眠くなったり、それでちょっとうたた寝しちゃったりね。そうなると余計、乱れるんですよ。夕方とかに眠くなってその時にうたた寝したら、もうその日はきっと眠れないと思います。

ーー経験ありますね。

角谷さん:だから、すごくシンプルなことになっちゃうんだけど、眠くなる時間帯に「あえて用事を作る」。例えば夕方に眠くなる人だったら、夕方に買い物に行くとか運動するとか、簡単なことで大丈夫なので「夕方寝ないための行動」をするっていうことです。それでかなり変わります。

あとは、女性が男性よりも睡眠が浅くなる最も大きな要因は、女性の体温にも理由があります。女性の方が、男性よりも体温が低いんです。人間が眠くなる時というのは、体温が高い状態から下がるときに眠くなるって聞いたことありませんか? 人間は体温を放熱するとき、体温に落差が生まれる時に眠くなるんです。それが、体温が低い状態だと、落差が生まれない。ただでさえ体温が低いのに、うたた寝するとさらに体温が下がってしまいます。そもそも、更年期になると女性ホルモン減少によって筋肉量が減ってしまい、体が冷えやすいし寒がりになるんですよ。

ーー確かに、「更年期世代になって冷えが辛くなった」というのは取材でも聞いたことがあります。それも眠りに繋がっているんですね。

角谷さん:そうです。だから、そのループを断ち切るためには、運動することと入浴すること。体の深部体温を上げてくれるのは、この2つです。体の中にしっかり熱を作って、そして放熱する仕組みを整えることが大事です。

教えてくれたのは…角谷リョウさん

1970年、名古屋生まれ。上級睡眠健康指導士。 NTTドコモ、サイバーエージェント、損保ジャパンなど160社以上、15万人以上のビジネスパーソンの睡眠改善をサポートしてきた実績あり。 認知行動療法や心理学をベースにした独自の睡眠改善メソッドによるサポートは評価が高く、講義・サポート依頼が殺到。 また、経営者1,000人以上の睡眠改善を通じて得た経験を活かし、現在は経営者特化型のサポートも実施中。 著書『働くあなたの睡眠術』は台湾・中国・韓国で翻訳出版されるなど、ベストセラーとなっている。 「人は、強制されても生活や行動は変わらない」をモットーに、楽しくみずから自分を変えたくなるようなサポートを追求している。LIFREE 株式会社共同創業者。著書に『働くあなたの快眠地図』(フォレスト出版)、『働く50代の快眠法則』(フォレスト出版)がある。2024年9月にYouTubeチャンネル「睡眠先生リョウ【仕事に超役立つ睡眠術】」を開設。

最新著書

超熟睡トレーニング
『超熟睡トレーニング』(角谷リョウ・著/Gakken)

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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