忍びよる脅威…要注意!「血管の健康」を守るために食事で心がけたいこととは|管理栄養士が解説
全身の健康を支える「血管の健康」。人生100年時代、一日でも長く健康で過ごすために、今回は、血管の中でも心臓から全身に血液を運ぶ「動脈」の健康に焦点をあてて解説します。
「血管の健康が損なわれる」ってどんな状態?
血管の健康が損なわれている状態とは、血管が硬くなったり、狭くなったり、もろくなっている状態(動脈硬化)です。気づかぬうちに進行し、血管が詰まりやすく、破裂しやすくなり、命にかかわる病気、動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など)を招くおそれがあります[1]。予防するために血管の健康を脅かす原因を知ることから始めましょう。
血管にコッソリ忍びよる脅威とは?
血管の健康を脅かす原因には、加齢・性差のほか、喫煙、脂質異常症、高血圧、耐糖能異常、慢性腎臓病などがあります[1]。特に、脂質異常症や高血圧、耐糖能異常、慢性腎臓病などは食事の影響を受けるため、自身の食事を見直すことは大切です。
気をつけて!食事におけるNGポイント4選
共通するNGポイントは「とりすぎ」です。食事のNGポイント4選を紹介します[1]。
食べすぎ
食べすぎに注意しましょう。食べすぎに注意することで、動脈硬化の原因である内臓脂肪の蓄積を抑えることができます。一食あたりの量や間食の量、お酒の量を見直してみましょう。
肉の脂身、動物脂、加工肉のとりすぎ
肉の脂身や動物脂、加工肉などに含まれる飽和脂肪酸のとりすぎに注意しましょう。なぜなら、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことで、冠動脈疾患の予防が期待されているためです。具体的な量の調整については、個々人の食事内容によって異なりますので、管理栄養士に相談しましょう。
アルコールのとりすぎ
アルコール量は1日25g以下に抑えましょう。アルコールのとりすぎに注意することで、動脈硬化性疾患の予防が期待されています。お酒に含まれるアルコール量は、ビール500ml1本20g程度、日本酒(15%)1合22g程度、焼酎(20%)1合29g程度、チューハイ(7%)350ml20g程度です。お酒の量を調整する時の参考にしてください。
食塩のとりすぎ
食塩のとりすぎに注意しましょう。減塩することで、高血圧の予防が期待されています。漬物を控える、麺類の汁を残す、新鮮な食材を用いる、具たくさんのみそ汁にする、むやみに調味料を使わない、減塩の調味料を使う、香辛料や香味野菜、果物の酸味を利用する、外食や加工食品を控える、などできることから減塩の取組みを始めてみましょう[2]。
今日から取り入れたい!食事におけるポイント2選
「血管の健康」を守るために取り入れたい食事のポイント2選を紹介します[1]。
魚の摂取量を増やす
脂質摂取量のうち、魚に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸(EPAやDHA)の摂取割合を増やすとよいでしょう。なぜなら、EPAやDHAの摂取割合を増やすことで、冠動脈疾患発症の予防が期待されているためです。魚の中でも青背の魚(さばやいわし、あじなど)にEPAやDHAが多く含まれています。魚選びで迷った時のヒントにしてください。
植物性食品の摂取量を増やす
食物繊維を含む植物性食品(野菜、海藻、大豆および大豆製品など)の摂取量を増やすとよいでしょう。食物繊維の摂取量を増やすことで、動脈硬化性疾患の予防が期待されています。汁物に野菜や海藻をプラスする、副菜として納豆や冷奴をプラスするなど、日々の食事に植物性食品を追加してみてください。
「血管の健康」は最大の資産!できることから始めよう
運動や禁煙も動脈硬化性疾患の予防が期待されています。食事だけでなく、運動や禁煙にも取り組むとよいでしょう[1]。
血管の健康のための取組みを始める時期に早すぎることはありません。今日から、未来のあなたのために取組み始めてみませんか。
【参考文献】(すべて2024年9月11日閲覧)
[1] 一般社団法人日本動脈硬化学会, 動脈硬化症疾患予防ガイドライン2022年版
[2] 宮本恵宏, 特定保健指導の対象とならない非肥満の心血管疾患危険因子保有者に対する生活習慣改善指導ガイドライン2018, p41
AUTHOR
なかでかおる
一人でも多くの方の心身の調子を整えるため、食と心の領域で活動中。学術修士では、食行動と動機づけに関する研究を実施。栄養疫学と健康心理学を軸に、食の領域では、特定保健指導やジムでの栄養指導、コラム執筆、研究補助等、心の領域では、コーチングセッションやコラム執筆、研究補助等を行う。
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