世界的心理学者ラム・ダスが考える「死を受け入れること」

 世界的心理学者ラム・ダスが考える「死を受け入れること」
photo courtesy of petersimon.com
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愛に浸る

また別の日が始まった。朝食のオートミールとマンゴを食べ終わり、お皿も片付けてしまったが、私たちは食卓から離れなかった。キルタンアーティストのクリシュナ・ダスが訪ねてきていたので、私たちは40年前にインドで始めた会話の続きをした。クリシュナ・ダスは最近、ラーマクリシュナ(秘伝を授かったインドのヨギで、1893年にシカゴで開催された第1回世界宗教会議で演説したほか、西洋にヒンドゥー教とウパニシャッド哲学を紹介した)の弟子であるヴィヴェーカナンダが書いた手紙を読んだという。この手紙は、ヴィヴェーカナンダが人生の終焉に向かいつつあるときに書いたものだ。自分はエゴのために教えたり話したりしているのだろうか、自分の名声と生徒たちの理解に執着しているのだろうか、そしてそのことが「神と向き合うこと」を妨げているのだろうか。ヴィヴェーカナンダはこうした問いを自分に投げかけていて、クリシュナ・ダスはその姿勢に感銘を受けたと言った。

ラム・ダスも同じことを気にしていると吐露した。クリシュナ・ダスは何年もこのことを思い悩んできた。そしてこのとき、私たちがはっきり自覚しているもののつい忘れてしまうことを口にした。

「私の周りに集まってくる人たちが、ほんとうは少しも私に惹かれていないということがわかりました。彼らは私自身がつながろうとしている愛に満ちた地につながりたいのです」愛に満ちた地、それは私たちがマハラジを通じて発見した場所だ。そこにつながるにはどうしたらいいのか。現世での行い(つまり、私たちのダルマ)と、死ぬ前に学ぶべきこととの間に何か関係があるとしたら、今私たちは何をすべきなのだろうか。
ラム・ダスは言った。「すべては愛の問題だ。重要なのは愛になることだ。私たちはエゴと共に出発して、魂になっていくんだ」

マハラジは愛にのまれた魂だった。これはマハラジ自身が使った表現だ。サダーナ…精神的修行。仕事とは修行である。仕事をしても愛に包まれないとすれば、その仕事は自分に適したものではない。

「恐れが問題であり、恐れの根元は離別にある。私たちは思いやりと愛によって離別を変えていく。このように、恐れが私たちを修行へと向かわせ、さらに愛情溢れる存在へと駆り立てている」

ああ、それだ。とてもシンプルなことだ。

私たちは何をすべきか、そして死ぬ前に(あるいは死に際に)それに執着しないためにはどうしたらいいか。この問いに対する答えは、サダーナと愛だ。私たちはごく短い時間で、オートミールとマンゴから始まって、愛と死にまで行き着いた。

私たちは皆、深い静寂に身を沈めた。


著者について
ラム・ダスはアメリカの精神的指導者。元ハーバード大学心理学部教授、臨床心理学者。1971年に出版されて新時代を開いた『Be Here Now』とそれに続く『Be Love Now』の著者である。ミラバイ・ブッシュは Center for Contemplative Mind in Societyの上級研究員。弁護士、裁判官、教育者、環境団体の指導者、活動家、学生、陸軍を対象にマインドフルネストレーニングの指導を行っており、グーグルの研修プログラム、Search Inside Yourselfを中心的開発者である。

 

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Text by YJ EDITOR
Translated by Setsuko Mori



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