夢を見ることが嫌な経験の処理を助ける!?【研究から「夢の役割」が明らかに】
この研究は、嫌な経験の処理における、夢の役割を特定した初めてのものである。
カリフォルニア大学アーバイン校の睡眠・認知研究室の研究により、夢を見ることが、睡眠による感情記憶処理に積極的に関わっていることが初めて実証的に裏付けられた。感情を揺さぶられるような体験をした後に夢を見ることにより、朝には気分が改善される可能性があることを示唆している。
夢を見ることが、睡眠による感情記憶処理に積極的に関与
この研究では、月経周期が睡眠に及ぼす影響に関する大規模な研究プロジェクトの一環として、30代半ばの女性125人(Zoomで75人、睡眠認知研究所で50人)が参加した。各セッションは午後7時30分に開始され、ネガティブなもの(交通事故など)や、中立的なもの(草原など)を描いた一連の画像を見て、それが引き起こす感情の強さについて、9段階で評価する感情画像テストを行った。その後、すぐに新しい画像と、以前に見た画像の抜粋のみを用いた同じテストを受けた。このテストでは、感情的な反応を評価するだけでなく、それぞれの画像が古いものか新しいものかを示さなければならなかった。
その後、参加者は睡眠覚醒パターンをモニターするリングを装着し、自宅もしくは睡眠研究所の個室で眠りについた。翌日起床後、前夜に夢を見たかどうかを評価し、見た場合は夢の内容と、全体的な気分を、極めてネガティブなものから極めてポジティブなものまでの7段階評価で睡眠日記に記録した。起床から2時間後、前夜に続いて2回目の感情画像テストを行い、画像の想起と反応を測定した。
夢を見たと報告した参加者は、想起する力が優れており、また、中立的なイメージよりも、ネガティブなイメージに対する反応が少なかった。この傾向は、夢を見たことを覚えていない人には見られなかった。さらに、その夢がポジティブなものであればあるほど、翌日のネガティブな画像をよりポジティブに評価した。
感情的な経験の克服を夢が助ける
夢を見ることは、感情的な記憶の優先順位をつけ、その深刻さを軽減するのに役立つ。夢を見たと報告した参加者は、想起する力が優れ、ネガティブなイメージに対する反応が少なかった。この研究は、夢が翌日の感情的な反応を低下させることによって、感情的な反応を積極的に変化させることを示唆している。
- 感情の処理: 夢は感情的な記憶に優先順位をつけ、その深刻さを軽減する。
- 夢の想起: 夢を覚えていた参加者は、感情的な記憶処理がより優れていた。
- ポジティブな影響: ポジティブな夢は、翌日のネガティブな経験に対するよりポジティブな感情反応と相関していた。
「夢を見たと報告した人の方が、感情的な記憶の処理がより優れていることを発見しました。これは私たちが感情的な経験を克服するのを夢が助けることを示唆しています。」
「これは重要なことです。なぜなら、夢が起きている時の経験を反映している可能性があることはわかっているのですが、この調査結果は、夢が中立的な記憶よりもネガティブな記憶を優先し、それに対する翌日の感情的な反応を減らすことによって、起きている間の経験に対する反応を変化させるのに積極的な役割を果たしているという初めての証拠となるからです。」
と、UCアーバインの認知科学教授であり、研究室の責任者である筆頭著者サラ・メドニックは話す。
「この研究は、私たちが日々の経験を自然に処理する際に夢が果たす積極的な役割について、新たな洞察を与えてくれます。また、人々が困難な人生経験を乗り越えるのを助けるために、夢を見ることを増やすような介入策につながるかもしれません。」とメドニックは語った。
出典
https://neurosciencenews.com/dreaming-emotional-memory-26099/
https://www.futurity.org/dreaming-dreams-memory-emotion-regulation-3219432/
AUTHOR
HIDEMI
ヨガ講師 /ヨガ翻訳・通訳者 色、音、言葉が好き。同志社大学国文学科在学中は日本語学を学び、中学生の頃から独自に英語の学びを深める。サロンモデルをしながら、ジュエリーブランド、コスメブランド勤務を経て、2015年よりヨガの指導を始める。外国人講師のWSやTTの通訳、テキスト翻訳等、ヨガ関係の通訳/翻訳業も行う。
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