ミスが多い人に共通する4つの特徴とは?ミスを防ぐ5つの方法【臨床心理士が解説】
ミスをしない人間はいない。そうわかっていても何度も何度もミスをしてしまうと「どうして私はミスばかりしてしまうんだろう?」と落ち込んでしまいますね。そこで今回はミスが多い人の特徴を解説するとともに、ミスを防ぐための対処法についてご紹介します。
ミスが多い人に共通する4つの特徴
まずは、ミスが多い人の特徴について解説します。
必要な情報を見落としている
ミスが多くなる理由の1つ目としては、必要な情報を見落としていることが挙げられます。
例えば、
・大事な情報をうっかり見落とす
・どれが必要な情報なのかわからない
・全体にざっくり目を通したつもりだが詳細を把握していない
など、丁寧に情報をチェックしない状況がミスにつながってしまいます。(*1)
思い込みで行動している
自分の思い込みを頼りに行動することも、思わぬミスにつながります。
例えば、「いつも大丈夫だから、今回もきっと大丈夫だろう」と安全確認を怠った状態で車を運転し、大きな事故につながる「だろう運転」は、まさに思い込みがミスの引き金になることを示しています。(*1)
やるべきことが多すぎて処理し切れない
朝の忙しいときに「洗濯物を取り出して、干して、トイレに行って…」とやるべきことを考えているうちに、なぜか洗濯物を抱えてトイレにいた…など自分でも訳がわからないミスをする人は少なくありません。
やるべきことが多すぎると脳が情報を処理し切れなくなり、ミスが増えてしまうのです。(*1)
ミスの可能性を考慮していない
上記の3つの要因によってミスをしたとしても、あとでミスがあることに気づき、修正できれば何の問題もありません。それでも修正できないのは、「ミスは発生しない」という前提でスケジュールを組んでいるため時間の余裕がなかったり、「自分はミスをしない」と思い込んだりしているから。
「ミスが多い」と言われるのは、ミスの可能性を考慮していない人だといえます。
どうすればミスを防げるのか?
ここからはミスを防ぐ5つの方法をご紹介します。
心身の調子を整える
疲労は見落としや思い込みを生みます。ミスを防ぐためには、心身の調子を整えることが大事です。(*2)
ただ、どれだけ心身の調子を整えようとしても、仕事が多すぎると疲労は回復しない上、仕事が多いことそのものが次のミスを生んでしまいます。
場合によっては仕事量を減らすことも必要です。
集中力を高める工夫
ミスをしないためには集中力を高めることも助けになります。
例えば、身体の揺れや傾きを感知する「前庭覚」は覚醒を高める働きをしています。そのため、ぼんやりしてきたら、作業中にバランスボールを椅子代わりに使ったり、軽い散歩やストレッチで身体を動かしたりすることで、ミスを減らせる可能性があります。
やるべきことをリストアップ
やるべきことを頭の中だけで思い出そうとすると、「あ!あれやろうと思ってたのに忘れてた!」とうっかりによるミスが発生します。
やるべきことは細かなものも紙やホワイトボードなどに書き出して1つ1つこなしていきましょう。終わったものに線を引いていけば達成感も得られます。やるべきことを入力すれば、指定の日時に通知してくれる「リマインダーアプリ」を活用するのも良いでしょう。
環境の整備
「周りがうるさい」「照明がまぶしい」「散らかっていて使いたいものが見つからない」など、集中力や注意力を削ぐ環境はミスのもと。集中しやすい環境を整えましょう。
・うるさい:耳栓やノイズキャンセリングイヤホンなどの活用
・まぶしい:照明を変える、遮光眼鏡などの活用
・散らかっている:必要なものだけ部屋に置くなどの工夫
場所があるなら、「ここは事務作業の場所」「ここは趣味の場所」など、場所ごとに役割を決めると、何をすべきかを見失いにくくなりますし、必要のないモノがあちこちに散らばっていて集中できないことも減ります。(*3)
チェックリストで見直し
作業が終わると「できた!」という解放感でいっぱいになりますが、大事なのは「見直し」です。見直しの際は「チェックリスト」を用いて確認するのがおすすめです。
例えば、メールであれば
□宛先は正しいか
□あいさつ文は正しいか
□要件はわかりやすいか
□締めのあいさつを書いているか
□自分の署名はあるか
□添付ファイルはつけたか
などをチェックリストとしてまとめ、送信前に確認しておくと、送ってから「しまった!」という事態を防げます。
「思い込み」でミスをしやすい人は、他者にチェックしてもらうのも良いですね。
ミスをしても取り返せる時間の余裕
最後にお伝えしたいのが、ミスをしても取り返せる時間の余裕の重要性です。
冒頭でもお伝えした通り、人間は誰でもミスをします。しかし、時間に余裕がないと、ミスの確認・修正もできず、大きな問題に発展したり、他者からの信頼を失ったりしてしまいます。
ミスのチェックも大事な作業だと考え、あらかじめ時間を確保するようにしましょう。
参考文献
*1 篠原一光(2015)認知心理学から見たヒューマンエラー Medical Gases 17(1)pp7-13.
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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