【老けない食べ方】医学博士が教える、肌の老化スピードを遅らせる「最強野菜」トップ3

 【老けない食べ方】医学博士が教える、肌の老化スピードを遅らせる「最強野菜」トップ3
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肌の印象はファーストインプレッションを左右する要素の一つです。「もう歳だから…」と諦めず、生活習慣を改善して体の内側からキレイにすれば肌の老化スピードをゆるやかにできる可能性があります。その第一歩が「野菜を食べる」です。肌の老化対策に効果的な最強野菜について医学博士の岩崎真宏さんに伺いました。

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内因性老化×外因性老化で、肌老化は加速する

――肌の老化を引き起こすものとして、どんな要因が考えられますか?

「肌の老化は、おもに二つの要因によって引き起こされます。一つ目は加齢による内因性老化で、年齢を重ねると起こる細胞の再生能力や機能性の低下は抗えません。二つ目は外的要因によるもので、これを外因性老化と言います。例えば煙草の煙、不健康なライフスタイル、添加物の多い食事、紫外線などが挙げられます。煙草は煙にも酸化ストレスや炎症を引き起こす成分が含まれていて、受動喫煙で肌に煙が触れるだけでも老化因子になるのです。また、市販の日焼け止めクリームに含まれる、二酸化チタンや酸化亜鉛のような化合物も肌に悪影響を及ぼします。ライフスタイルや選ぶ商品によって外因性老化の要素が増えると内因性老化への影響が大きくなり、肌の老化が加速していきます」

――内因性と外因性の老化要因により、肌はどのような状態になるのでしょうか?

「内因性、外因性の老化要因の影響を受けて肌細胞内で酸化ストレスや炎症を起こして細胞機能が障害されると、皮膚のたるみ、乾燥、小ジワ、弾力性や水分保持能力の低下につながります。さらに肌細胞の中には体を作るための設計図にあたるDNAがあり、細胞機能の障害がDNAにまで及び損傷されると、修復機能が働き元に戻ろうとします。しかし、何度も修復を繰り返しているとミスが起こり、DNAの設計図にエラーが発生。すると、傷ついた細胞が正しく修復されなくなり細胞の機能がますます損傷されていきます。細胞を保護するには早いうちに体の内側から対策を講じる必要があり、そのためには酸化ストレスを除去する食べ物の摂取が鍵になります」

炎症、細胞老化…老化対策のキーワードは「ROS」の除去

――肌細胞を損傷し老化を引き起こす「酸化ストレス」とは、どのような状態を指しますか?

「過剰な食事摂取や体に不都合な化学物質や毒物、煙草や紫外線など様々な不純物が体内に入ってきた際、細胞はそれらを除去するために機能します。若い頃は細胞の中の不純物はスムーズに除去されますが、徐々に機能が低下して疲労物質という形で細胞内に蓄積されて細胞の働きを阻害。やがて細胞内外で炎症を起こしている状態を酸化ストレスと言います」

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――その酸化ストレスが老化に影響するわけですね。酸化ストレスに起因する老化のメカニズムを詳しく教えてください。

「細胞を老化させる酸化物質を総称してROS(Reactive Oxygen Species)と呼びます。ROSが蓄積されると酸化ストレスが増加するので、老化のボトルネックとなるROSの除去は肌老化を考えるうえで大切な要素と言えます。ROSが蓄積されると、おもに三つの影響によって老化が促進されます。一つ目は摂取した栄養素をエネルギーに変える働きなどを担う、ミトコンドリアの機能低下。二つ目は細胞自体に炎症の蓄積が起こり、これが発疹や乾燥を引き起こしてシミや小ジワにつながります。三つ目は、ミトコンドリアの機能低下による炎症が起こると細胞機能自体が低下し、不純物が溜まって細胞を老化させていくのです」

――ROSを増やさないためには、生活面でどんなことに気をつければいいですか?

「まず食事面で気をつけたいのは過食です。食事をすると細胞が栄養素をやりくりするうえで多くのROSが発生し、食事の量が多いほどROSが増えて老化を促進します。また、解毒しないと体外に排出できない添加物などの人工成分も注意が必要です。常温でも腐りにくくする、あるいは味や香りを整えるために使用する添加物を細胞は異物と認識して除去する必要があり、細胞が多くの仕事をすることは炎症を引き起こすROSの増加につながります。加えて、残留農薬が細胞の炎症に影響を及ぼすのも明らかです。農薬不使用の食材は細胞が解毒に割く労力を省略できるので、可能な範囲でオーガニックの食材を選ぶのは老化対策の一つの選択肢として効果的と言えます。食事以外では、睡眠時間が短いほどDNAの修復が遅れて損傷の蓄積が起こるので、細胞の修復を促進するためにも睡眠時間の確保が大切になります」

食べて若々しさをキープ!「肌老化のスピードを抑える最強野菜トップ3」

――野菜のなかでも、肌老化のスピードを抑える効果が期待できるトップ3を教えてください。

3位 キノコ類

キノコ類の中でもポルチーニ、ヒラタケ、エリンギ、ブナシメジなどは、ROSの除去と細胞機能の低下、炎症を抑制するエルゴチオネインという成分が非常に豊富。ほかの野菜と共に少量のバターで炒めてだし醬油をかけて食べるとおいしく、和風・洋風どちらの味つけにも適しています。キノコ類は野菜に分類されませんが、食物繊維が主体でカロリーを気にせず食べられる点が野菜と近いため積極的に摂りたい食材の一つです。

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2位 ブロッコリー

ブロッコリーに多く含まれるスルフォラファンという成分は、細胞の老化に関わるROSの除去とミトコンドリアの能力低下を抑制します。たんぱく質も豊富なので、炒めたり茹でたりして加熱するとアミノ酸が放出されて非常においしくなります。また、ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトもおすすめですが、生で食べると辛味成分の硫化アリルが胃のムカムカにつながることがあり、その場合は加熱すると辛味成分は変化します。スルフォラファンは熱に強いためスープや味噌汁、チャーハンの具材などに取り入れてみましょう。

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1位 パプリカ

パプリカの赤色や黄色の色素は、カロテノイドという成分になります。約750種類あるカロテノイドのうち有効成分は特定されていませんが、老化を引き起こすROS、炎症、ミトコンドリアと細胞の機能低下といった肌老化の要因すべてを抑制する働きが認められています。形が似ているピーマンも肌の老化対策に有効。気になる苦味は加熱すると和らぎ、縦に半分に切って内側の白い部分から包丁を入れると細胞が壊れにくいので、苦味成分が流出せずむしろ甘さを感じられます。肉料理との相性がいいのでつけ合わせにして上手に取り入れてください。

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教えてくれたのは…岩崎真宏さん

医学博士、管理栄養士。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることを実証。その後、医学的根拠のある栄養学を実践するために独立。運動指導者、医療スタッフ、保育士、介護士、アスリートなどを対象にヘルスケア人材の育成と雇用創出、コンテンツ開発を行う教育事業を開始し、病気になってからではなく、健康なうちから使いこなせる栄養学を発信している。2017年には一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)も話題。

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取材・文/北林あい

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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